14日行われた伊丹市、宝塚市の市長選で、維新の会が大阪府外の首長選で初めて立てた公認候補が、それぞれトリプルスコア(3倍の票差)とダブルスコア(2倍の票差)で惨敗しました。
両市は、先の衆院選比例代表で維新の会が得票率30%前後とトップを占めた地区であったため、今夏の参院選と同県知事選の前哨戦と位置づけて大量のチラシを配布し有名人を動員するなど注力し、橋下大阪市長も2度現地入りしました。
三選を果たした藤原保幸 伊丹市長は「対立候補というよりも橋下大阪市長と戦っている気がした」と述べ、再選を果たした中川智子 宝塚市長は「維新は大阪都構想のなかで、宝塚を大阪の自治体に組み込むようなことを言っていた。維新に宝塚を奪われてはならない」と語りました。
橋下・維新の会は安倍・自民党とともに改憲に前のめりで、自民と共に「改憲勢力3分の2超」を目指す一方で「与党の過半数は阻止する」と述べるなど、相変わらず改憲以外の主張は不明確です。「維新は自民党の補完勢力」(民主党幹部)との批判も定着してきました。
13日付の時事通信によれば、維新の会の支持率は1月4.6%、2月3.3%、3月2.0%、4月1.5%と低下の一途をたどっており、今回の選挙結果もその表れとみることができます。
以下に毎日新聞、東京新聞、朝日新聞の記事を紹介します。
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維新:公認の2氏惨敗 伊丹、宝塚市長選
毎日新聞 2013年04月15日
任期満了に伴う兵庫県伊丹市長選と同県宝塚市長選が14日投開票され、伊丹市は藤原保幸氏(58)=自民、民主、公明推薦=が3選、宝塚市は中川智子氏(65)=民主支持=が再選を果たし、いずれも現職が勝利した。日本維新の会が大阪府外の首長選で初めて公認候補を擁立。今夏の参院選と同県知事選の行方を占う選挙としても注目されたが、惨敗した。
維新は、伊丹市長選に岩城敏之氏(52)、宝塚市長選に多田浩一郎氏(40)と、いずれも前市議の2新人を擁立。橋下徹共同代表が告示日の7日と投票前日の13日の2度にわたり両市に応援に入り、公務員批判を展開し市役所改革を主張した。両市は大阪のベッドタウンで、昨年の衆院選比例代表でも維新の得票率が30%前後でトップ。大阪府外への支持基盤の拡大を目指す維新は、勝利の可能性が高い地域とみて力を注いだ。
しかし、他陣営からは、橋下氏が大阪(伊丹)空港の廃港を主張してきた点を批判された。さらに、選挙前に維新幹部が阪神地区や神戸市を「特別区」にする将来構想を披露したところ、維新と大阪都構想から兵庫を守ろうとするキャンペーンを展開されて、防戦に追われた。
投票率は伊丹市41.92%、宝塚市45.94%。【森本宗明、山田毅】
維新、初公認2氏大敗 兵庫・伊丹、宝塚市長選
東京新聞 2013年4月15日 01時03分
任期満了に伴う兵庫県伊丹、宝塚両市長選が14日投開票され、伊丹市長選で自民、民主、公明推薦の無所属現職藤原保幸氏(58)が3選、宝塚市長選で民主支持の無所属現職中川智子氏(65)が再選を果たした。両市長選には日本維新の会が首長選で初めて公認候補を擁立したが、いずれも大差で敗北した。伊丹の投票率は41・92%。宝塚の投票率は45・94%。
日本維新は両市長選を夏の参院選や独自候補の擁立を検討する兵庫県知事選の前哨戦と位置付け、拠点とする大阪からの勢力拡大を狙った。共同代表の橋下徹大阪市長が現地入りするなど総力戦で臨んだが、戦略見直しを迫られるのは必至。
維新、兵庫2市長選で敗北 「橋下氏の名だけで勝てぬ」
朝日新聞 4月15日
14日投開票された兵庫県伊丹、宝塚両市長選は、日本維新の会が初めて大阪府外に公認候補を立てて挑んだ首長選挙だったが、いずれも敗北した。本拠地・大阪で選挙の強さを誇ってきた維新はまず隣県の兵庫で首長選に勝利し、夏の参院選へと弾みをつけたい考えだったが、課題を残した。
維新は7月の兵庫県知事選も候補者擁立を検討中だが、2市長選の敗北が判断に影響する可能性がある。地方選挙を総括する今井豊副代表は「与党が強い中、態勢もないところで善戦したが、橋下徹共同代表(大阪市長)の名前だけでは勝てないという課題が浮き彫りになった。良い引き締めになった」と話した。
昨年の衆院選で54議席を得た維新だが、大阪府外の小選挙区で勝てたのは強固な地盤を持つ平沼赳夫、園田博之両氏のみ。夏の参院選に向け、府外での支持拡大が急務となっていた。