マスメディアがアベノミクスと持ち上げている安倍政権の経済政策に対して、「浦島太郎の経済学」とする批判がありますが、安倍政権は外交分野でも時代錯誤的な言動が顕著です。
国会ではいわば書生論的な言辞を繰り広げ、村山談話はそのまま踏襲しているわけではない、侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっておらずどちらから見るかによって異なるとしました。その上で中・韓両国は途中から靖国参拝批判をし出したもので「脅迫」には屈しないなどとして、これまで歴代の日本政府が何とか維持してきた近隣諸国とのいわば『諒解的な関係』を弊履のごとくに捨て去りました。
マスメディアが作り上げた60%、70%という高支持率がそうさせたともいわれています。その結果近隣国との関係はどうなったのでしょうか。
26日(以下日付:共通)の時事通信は、韓国外相が「安倍政権の時代錯誤の言動は嘆かわしい」と語ったことを伝えました。同じく時事通信は「中国の習指導部は安倍政権の閣僚とは会わないと決めた」として、これから中国との関係が一層冷える一方であることを、東京新聞は「中国は尖閣列島は『核心的利益』=譲れない国益 と初めて明言」したので、やはり今後は日本に対し一層強硬に出る可能性が高まったことを伝えています。
さらに東京新聞は「米政権が安倍首相の発言に懸念を示し、自制を促している」ことを、朝鮮日報は「日米は最も重要な同盟ではなく、中国と韓国が対米関係では優位にある」 とする米特派員の記事を伝えています。
また韓国の中央日報は「米メディアが日本は周辺国を逆なでする間違った行為をしている」として、ニューヨークタイムズが「日本政府は周辺国の歴史的な傷に触れている」と主張したことや、フォーリンポリシー(外交専門誌)が「日本政府の人たちが靖国神社を参拝するのは、この時期に非常に間違った考え、日本は今、敵ではなく友人が必要な時だ」と指摘したことを伝えています。
安倍政権はいま不可解な高揚のもとで「孤絶」の道を突き進んでいます。
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時代錯誤の言動、冷や水=安倍政権「嘆かわしい」-韓国外相
時事通信2013年4月26日
【ソウル時事】韓国の尹炳世外相は26日、日中韓3カ国協力に関する国際シンポジウムであいさつし、「過去のアジアでの不幸な歴史について、日本の一部指導者らの時代錯誤的な言動は、新たな東北アジアの未来を共に築こうとする域内の国家の努力に冷や水を浴びせるもので、嘆かわしい」と安倍政権を批判した。
さらに「歴史に対する正しい認識を土台に、周辺国と信頼を構築しながら、東北アジアの平和と発展を成し遂げることが必要だ」と注文を付けた。
外相は「3カ国は世界経済のけん引役を果たしている。3カ国の協力は地域を超え、国際社会全体の安定と発展の核心的要素となっている」と強調。一方で、「歴史と領土問題、軍拡競争、核の脅威などで域内国家間の協力に多くの障害が生じている。3カ国が早急に克服しなければならない最も大きな障害物だ」と述べた。
その上で、朴槿恵政権が目指す「東北アジア平和協力構想」に言及し、「相互に利益になる分野で協力の習慣を形成していき、少しずつ信頼を蓄積していこうというものだ」と語った。
「安倍政権」と会わない習指導部=尖閣・靖国、冷え切る関係-中国
時事通信2013年4月26日
【北京時事】中国共産党・政府の中央指導者は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる摩擦に加え、麻生太郎副総理らの靖国神社参拝を受け、安倍晋三首相に直結する閣僚らと会談しない姿勢が鮮明になっている。中国側は経済交流を中心に関係改善を模索したい意向もあるが、「安倍首相は会談するため中国に妥協することはないだろう」(日中関係筋)とも見ている。譲歩しない両国指導者間の信頼がなくなり、関係は冷え切っている。
太田昭宏国土交通相は日中間の観光交流回復に向け、日本の大型連休中の5月上旬に訪中したい考えを中国側に伝達した。公明党代表時代、積極的に対中交流を進めた太田氏は強い意欲を燃やし、「最低でも(観光担当の)汪洋副首相と会談したい」意向だったが、中国外務省関係者によると、汪副首相らが会談に難色を示し、訪中は見送られた。
日中間では、5月下旬に予定された日中韓首脳会談が中国の意向で先送りになったほか、高村正彦自民党副総裁が率い、5月初旬に予定された日中友好議員連盟の訪中団も中止。高村氏らが希望した習近平国家主席や李源潮国家副主席らは会談に応じなかった。(以下省略)
中国、尖閣は「核心的利益」 初の明言、対日さらに強硬に
東京新聞 2013年4月26日
【北京共同】中国外務省の華春瑩副報道局長は26日の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「釣魚島の問題は中国の領土主権問題に関係している。当然、核心的利益に属する」と明言した。
中国政府が尖閣について、譲れない国益を意味する「核心的利益」と位置付けていることを外交当局者が公式に確認したのは初めて。習近平指導部が尖閣問題を国家の最重要課題に格上げしたことを意味しており、今後、日本に対し一層強硬に出る可能性が高まった。
指導部内では尖閣を核心的利益と位置付けるかどうかをめぐり議論があったとされるが、日本に妥協しない方針を確定したとみられる。
米政権、安倍首相発言に懸念 中韓にらみ自制促す
東京新聞 2013年4月26日 08時57分
【ワシントン共同】歴史認識をめぐる安倍晋三首相の発言や閣僚の靖国神社参拝に対し、オバマ米政権が東アジア情勢の不安定化を招きかねないとして、日本政府へ外交ルートで非公式に懸念を伝えていたことが分かった。日米外交筋が25日、明らかにした。
国務省のベントレル報道部長は「公式な抗議」はしていないとした上で「中国や韓国のように他国も懸念を表明している。各国間の強く建設的な関係が地域の平和と安定をもたらすことを、われわれは今後も訴えていく」と述べ、安倍政権に中韓を刺激しないよう自制を促した
「日米は最も重要な同盟ではない」 米国の微妙な変化
朝鮮日報 2013/04/26 09:05
米国オバマ政権幹部が今年初め「日米関係はもはや全世界で最も重要な同盟関係ではない」と韓国側に語っていたことが25日までに分かった。ソウルの外交筋によると、同幹部は当時、ワシントンを訪れた韓国側関係者に中国が浮上した北東アジアの状況を説明しながら「日米同盟は依然として重要だが、最も重要だとは言えない」と指摘したという。
韓国側関係者によると、米国は当時、日米関係の重要性を認めながらも、アジアは大きく変化しており、最も重要な国は中国だと判断していることを明かしたという。韓米関係に詳しい消息筋は「米国は昨年12月に発足した安倍政権の誤った歴史認識で北東アジアに大きな混乱が起きることを懸念している」と述べた。
オバマ政権の関係者は「韓国は大陸にある国の中で唯一の、米国の同盟国だ」と述べ、韓米同盟を引き続き発展させていく意向も示したという。
毎日新聞によると、日本を訪れているバーンズ米国務副長官は加藤勝信官房副長官と会い、日本の閣僚による靖国神社参拝に対する日本政府の立場をただし、韓国と中国の反応に関する意見を交換したという。バーンズ国務副長官は席上、安倍内閣の歪曲(わいきょく)した歴史認識は好ましくないとの米国の立場を伝えたとみられる。
東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員 朝鮮日報日本語版
米メディア 「日本、周辺国を逆なでする間違った行為」
中央日報 2013年04月26日
(前 略)
ニューヨークタイムズ(NYT)など米国メディアも日本を強く批判をした。NYTは「日本の不必要な国粋主義」と題した24日付の社説で、「日本政府が周辺国の歴史的な傷に触れている」と主張した。
NYTは「昨年12月就任した後、安倍首相と自民党は長期的な沈滞に陥った日本経済を復活させ、北朝鮮問題などを解決するために力を注いできた」とし「しかし今は、当面の懸案とは関係ないことで韓国や中国など周辺国と対立していて、これは安倍首相が自ら招いた」と批判した。
特に「日本国会議員168人が集団参拝した神社には第2次世界大戦の戦犯も含まれている」とし「北朝鮮の核・ミサイルなどに周辺国がお互い協力して対処すべき時期に、日本が中国と韓国の敵対感情を助長するのは無謀な行為」と強調した。
外交専門誌フォーリンポリシーも24日の記事で、「日本政府の人たちが靖国神社を参拝するのは、この時期に非常に間違った考え」とし「日本は今、敵ではなく、友人が必要な時だ」と指摘した。
同誌は「安倍首相と閣僚は日本を助けられる周辺国を侮辱する行為をなぜこの時期にするのか分からない」とし「それは危険で無謀な国内政治用」と主張した。さらに「オバマ大統領は安倍首相にもう靖国神社を参拝すべきでないと直接忠告するのがよい」と強調した。