2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかった日本政府に対し、広島や長崎の被爆者団体などから26日、強い憤りが表明されました。
声明文には「核兵器の使用によって、直接に人が死ぬだけでなく、社会や経済の発展は停止し、環境は破壊され、将来の世代は健康や食料や水を失うことになる」、「いかなる状況でも核兵器を二度と使わないことこそが人類生存の利益につながる」などとうたわれていました。この声明に対しては事前にスイスから共同声明への賛同を求められていたのですが、日本政府は今回も署名を拒否しました。
唯一の被爆国である日本は核兵器廃絶が「国是」の筈なのですが、これまでもいわゆる「究極的廃絶論※」的な提案は自ら行ったり賛同したりしてきましたが、直近では昨年10月、スイスなど16カ国が「核兵器を非合法化する努力の強化」を促した声明案への署名を拒否するなど、核兵器の廃絶につながる非同盟諸国の「交渉の開始」提案や核兵器の「使用禁止」など当面の行動には、ことごとく不賛成の態度をとり続けてきました。
※ 最終的には核兵器は無くしたいとする願望論
いうまでもなくアメリカの意向に反することはしないという考え方からです。
以下に、東京新聞の記事とNHKニュースを紹介します。
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核兵器の共同声明不参加は裏切り 広島、長崎から非難次々
東京新聞 2013年4月26日
広島や長崎の被爆者団体などは26日、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかった日本政府に対し、相次いで強い憤りや非難を表明した。
広島の原水爆禁止広島県協議会(広島県原水協)や広島県保険医協会は「国際社会の期待を裏切った」などとする抗議文を安倍晋三首相あてに送付。広島県原爆被害者団体協議会の大越和郎事務局長(73)は「いまの政府に被爆国の政府を名乗る資格はない」と批判した。
一方、長崎の被爆者5団体は、政府に対し「驚きと強い憤りを禁じ得ない」とする抗議文を郵送。 (共同)
日本 NPTの核不使用声明に署名せず
NHK NEWS web 2013年4月25日
スイスのジュネーブで開かれているNPT=核拡散防止条約の会議で、核兵器は非人道的なものだとして、いかなる状況でも使用すべきではないなどとする共同声明が提出されましたが、唯一の被爆国の日本はこの声明に署名せず、NGOなどから批判の声が上がりました。
この共同声明は、ジュネーブで行われているNPTの再検討会議に向けた準備会合で24日、南アフリカの代表団が提出しました。
声明では「核兵器の使用によって、直接に人が死ぬだけでなく、社会や経済の発展は停止し、環境は破壊され、将来の世代は健康や食糧や水を失うことになる」として、核兵器の非人道性を強調しています。
そのうえで、「いかなる状況でも核兵器を二度と使わないことこそが人類生存の利益につながる」として、核兵器の不使用を訴えています。
共同声明には74か国が名前を連ねましたが、唯一の被爆国である日本は署名しませんでした。
これについて、軍縮会議日本政府代表部の天野万利大使は、記者団に対し、「核兵器が使用された場合の影響が非人道的なものだという点では賛同している」としたうえで、「いかなる状況でも使用しないとしている点が、日本の安全保障政策と相いれない」と述べました。
日本がアメリカのいわゆる「核の傘」で守られていることを、署名をしない理由の1つにしたものですが、会議に参加しているNGOなどからは批判の声が上がり、ジュネーブの軍縮会議日本政府代表部の建物の前で、およそ50人が抗議活動を行いました。