2013年4月3日水曜日

日本維新の会は憲法観で自滅 (続報)


 30日の日本維新の会党大会で示された同党綱領に於ける憲法観に対して、各党は一斉に批判(民主党、生活の党、共産党)や、警戒感(公明党)乃至 違和感(自民党、みんなの党)を表明しました。

 石原維新共同代表は以前あるTVに出演したときに、キャスターの問いかけに関係のない発言をし続けたので視聴者に違和感を与えましたが、30日付で産経新聞に掲載された「石原慎太郎維新共同代表会見詳報」を読んでも、やはり司会者のことなど全く無視して独白的に語り続けています
 【石原慎太郎維新共同代表会見詳報】   産経新聞 2013330

 主張の内容自体もさることながら、このように全く人の言うことに関心を持たずに、自分の思い込みの中に閉じこもっているような人に、公党が率いられていて問題はないのでしょうか。
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民主 維新と共闘取りやめ 参院選 「憲法観全く異なる」
東京新聞 201342日 朝刊

 民主党は1日の役員会で、夏の参院選の対応を協議し、日本維新の会、みんなの両党と選挙協力を目指す方針を転換し、全選挙区で独自候補を擁立することを決めた。両党が民主党を置き去りに選挙協力を進めているのと、維新が330日に決定した党綱領が大幅改憲を打ち出すなど保守色を強めたことを受け、共闘は難しいと判断した。

 民主党の細野豪志幹事長は1日の記者会見で、参院選に関し「維新とは協力しない」と明言。「維新の憲法観は、民主党と全く異なる」と理由を説明し、維新の党綱領について「自助自立が前面に出た考え方だ。民主党が目指す共に生きる社会とは対極だ」と指摘した。
 民主党は役員会で、参院選の目標を自民、公明両党の過半数割れと、改憲勢力の3分の2獲得の阻止とすることも確認した。
 民主党は31ある改選1人区を中心に、維新とみんなに選挙協力を呼び掛けてきた。昨年の衆院選で、小選挙区で候補者を乱立させた野党が共倒れしたためだが、維新とみんな側は民主党との共闘に否定的だった。

◆「改憲」維新の新綱領 過激文言に他党尻込み
 日本維新の会が新綱領で大幅な現行憲法の改正を目指す方針を掲げたことに、他の改憲勢力からは歓迎の声だけでなく、あまりの突出ぶりに戸惑いも出ている。改憲に慎重な勢力は反発と警戒を強めている。(関口克己)

 自民党の石破茂幹事長は一日の記者会見で、維新の憲法に関する綱領の内容について「認識を共有する」と評価。ただ、綱領が現憲法を「絶対平和主義という非現実的な共同幻想を押しつけた元凶」と酷評した点には「絶対平和主義という言葉かどうかは知らない。国家として『憲法が悪かった』と言うべきだと思っていない」と複雑な反応も見せた。
 維新は参院選での躍進を前提に、自民党に改憲を迫る戦略を描いている。自民党にとって、実際に改憲を目指すなら維新の協力は不可欠だが、連立政権を組む公明党は改憲に慎重なため、改正手続きを定めた96条の要件緩和を先行させたいのが本音。石破氏の発言を見ると、維新がどこまで大幅改憲に本気なのかをつかみあぐねているようだ。 

 一方、改憲、護憲を問わず、新綱領に否定的な声は多い。
 参院選での選挙協力を進め、最も維新と距離が近いみんなの党の渡辺喜美代表は「憲法を時代に合わせて変えていこうというのはその通りだと思うが、そのレトリック(修辞法)を聞いて思わず後ずさりした」と困惑。「別々の政党でやっていく方が、これからの政界再編にとってはいい気がする」と合流を否定した。

 生活の党の小沢一郎代表は「維新は体制を変革するイメージでとらえられている。旧体制(の自民党)と一緒となることは、国民は『?』という感じを持つかもしれない」と批判した。
 共産党の市田忠義書記局長も「ますます自民党政治の補完勢力であることがあらわになった」と強調した。
 公明党幹部は「維新は何かで存在感を示したいのだろう」と分析しつつ「もともとは地方分権を掲げていたのではないか」と警戒感を示した。
 

改憲めぐりさや当て 「理解されぬ」山口・公明代表 「尻込み」石原・維新共同代表
東京新聞 201343

 公明党の山口那津男代表は2日の記者会見で、日本維新の会が夏の参院選の目標に改憲勢力で発議に必要な3分の2以上の議席確保を掲げたことについて「この参院選で(改憲を)争点にするには時間も、国民の意識も十分に熟していない」と批判した。
 山口氏は衆院憲法審査会が先月から本格的な審議を始めたことを踏まえ「国会で逐条的な検討をしているが、改正を意識した議論ではなく、基礎的な議論を行っている」と説明した。
 維新が与党の過半数獲得阻止と改憲勢力で3分の2以上の2点を参院選の目標としたことについては「矛盾している。国民が容易に理解できない」と指摘した。

 一方、維新の石原慎太郎共同代表は2日、国会内で開かれた国会議員団役員会に退院後初めて出席し、夏の参院選について「争点は憲法になる」と強調した。
 石原氏は「公明党は尻込みし、(改憲について)はっきり言わないだろう。(改憲が)政界再編成の一つの大きなメルクマール(指標)になる」と述べた。



橋下氏“ありえない国際社会観”と憲法攻撃 自民党と同一発想
 「外交不在」の曲解
    しんぶん赤旗 201343

 日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は3月30日の同党大会で、「日本国憲法が、ありえない国際社会観を掲げたことがものすごい問題だ」と日本国憲法前文を攻撃し、改憲への強い動機づけとして示しました。
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 橋下氏が攻撃する憲法の「国際社会観」とは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」(前文)という記述です。橋下氏はこれについて、「自分たちの安全と生存を諸国民の信義と公正を信頼するだけで保持するのは、ありえない。日本国民は安全保障について考えたこともないが、ここが元凶だ」と難癖をつけたのです。

 これは、憲法前文の規定を「ユートピア的発想による自衛権の放棄」として削除し、不戦の決意や平和的生存権の規定を削除した自民党改憲案と同一の発想です。
 しかし、日本国憲法が「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するというのは、“状況任せで何もしない”という消極的態度を示すものでは全くありません。
 この規定は、アジアと世界に対する日本の侵略戦争についての明確な反省を前提に、日本国民が諸国民と共に平和のために努力を継続する決意を表明したものです。

 さらに前文は、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐ(い)る国際社会において、名誉ある地位を占めたい」、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と続けています。
 つまり前文は、紛争の根源に目を向け、平和と自由、民主主義と貧困克服のための国際的実践の先頭に立つことを表明しているのです。“何もしないで平和がやってくる”とか“一国平和主義”などというのは憲法を曲解するものです。

 安倍・自民党と共に侵略戦争を正当化し、日本軍「慰安婦」問題での強制性を否定する日本維新の会には、そもそも憲法を論ずる資格がありません。さらに、諸外国との対話のテーブルを広げるイニシアチブも示さず、日米同盟強化と軍事対応に一辺倒の姿こそ、世界の流れから取り残された「外交不在」を示すだけです。  (中祖寅一)