日本の人権団体が18日、イラクの中部ファルージャで生まれつき体に障害のある子どもが増加(実に新生児の15%)しているとする報告書を発表しました。原因は米軍などが使った劣化ウラン弾や爆弾に充填された重金属に含まれる汚染物質と思われます。
劣化ウランとは天然ウランからウラン235を分離した残りのウランのことで、鉄の2.5倍の重さを持つのでこれを砲体に使った劣化ウラン弾を用いれば、戦車の装甲板を簡単に貫通できます。そのためイラク侵攻の際に米軍が多用し、現在でもイラクの至るところで放射能が検出されるということです。
イラク政府は何故かアメリカに遠慮して先天性障害児についても触れたがらず「先天性障害児の出生について特に問題はなく、ファルージャにおいても、平均に比べて年に1、2例多いだけだ」と述べているそうですが、ある記者が女性医師に「障害児の出生は1週間に1例程度ですか」と尋ねたところ、「とんでもない。1日に2例から3例ですよ」という答が返ってきたということです。
新生児の悲惨な障害の様子は、4月6日のTBS報道特集でも、現地に滞在している高遠菜穂子氏が新生児病棟を訪問するシーンのなかで報じられました。
(動画は下記:三角マークをクリックすればスタート。10分頃から病棟訪問のシーン)
以下に沖縄タイムスの記事を紹介します。
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イラクで障害児が増加 兵器用重金属原因か
沖縄タイムス 2013年4月19日
【カイロ共同】 日本の人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」は18日、2003年に始まったイラク戦争後、同国中部ファルージャで生まれつき体に障害のある子どもが増加しているとする報告書を発表した。原因として、米軍などが使った劣化ウラン弾や兵器用の重金属に含まれる汚染物質が疑われるとの専門家の見方を示した。
ファルージャはイラクが米軍主導の占領統治下にあった時期を含めて米軍などが激しく攻撃した地域。同団体は今年1月上旬から約1カ月間、地元の総合病院で医師や家族から聞き取りした。
報告書によると、03年以降、この病院で生まれた子どものうち約15%は肢体が不自由で、同団体は通常より数倍多いと指摘。
今回の調査期間中だけでも無脳症のほか、両脚が外側に曲がった赤ちゃんが生まれた。臓器の一部がない場合など、出生時には確認できない症状も多いという。