2013年4月23日火曜日

日本の震災体験が中国学生の手で・・・



 20日の四川省の大地震で多大な被害を出した中国では、学生を中心「地震大国」の日本に地震対策や復興体制などについて学ぶべきだとする意見相次ぎ、大阪市が作った『避難マニュアル』を広東の学生たち30人が手分けして中国語に翻訳し、それをネット上で配信したということです。学生たちは授業の合間に寝食を忘れて取り組み、翌21日夜には28ページの半分を訳し終えました。
 また日本に留学している学生も、居住地で町から受け取った『地震発生から10分以内の行動マニュアル』を中国語に翻訳してブログに載せたということです。
 政治的に断絶している日中間でも、学生たちの行動によって日本での震災体験が中国の中で活かされるのは嬉しいことです。

 四川省では2008年にも大地震が起き、そのときには校舎の倒壊で犠牲になった1万9000人の生徒を含めて9万人以上の犠牲者が出ました。校舎の大々的な倒壊は役人が黙認した手抜き工事が原因でした。その後建物の耐震基準は強化された筈ですが・・・
 なぜ地震のたびに日本とは比べものにならないほど多数の犠牲者が出るのかについて、中国の電子掲示板には辛らつな意見が掲載されています。

 以下にサーチナニュースの記事を紹介します。
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日本の経験貸して…広東の学生、大阪の地震マニュアルを翻訳配信
サーチナニュース2013年422
 中国四川省雅安市で20日にマグニチュード7.0の地震が発生、大きな被害が出たことをうけ、中国国内では「地震大国」の日本に地震対策や復興体制などについて学ぶべきだとする意見相次いだ。中国メディア・南方都市報は22日、広東省の日本語学生らが大阪市の避難マニュアルを自発的に翻訳し、ネット上で配信したことを伝えた。

 記事は、地震が発生した20日に広東外語外貿大学日本語学部の学生、教員30人あまりが「日本の経験を借り、より多くの人に地震から身を守る方法を教えたい。微力でも被災地のためになれば」との思いから大阪市の「地震緊急避難マニュアル」の中国語翻訳作業に取り掛かったと紹介した。
 日本での生活経験がある同学部の教員、程亮さんを中心に、学生らは授業などの合間を縫って翻訳、編集、校正作業を実施。21日夜までに28ページの半分を完成させ、同学部の学生向け雑誌の微博(中国版ツイッター)アカウント上で公開した。
 程さんは「とても積極的だった。寝食を忘れて十数時間も続けて作業した彼らに感動した」と作業に参加した学生らをたたえた。そして、「隣国日本には学び、参考にすべき経験がたくさんある」として今後さらに日本の実用的な素材をボランティア翻訳する意思を示した。(編集担当:柳川俊之)

【中国ブログ】日本の「地震10分間マニュアル」を参考に!
サーチナニュース 2013421
 中国・四川省で発生したマグニチュード7.0の地震により、現地では150人以上の死者が出るなど、甚大な被害が発生した。中国国内のブログも地震関連の記事が大半を占めており、「地震大国」日本の教訓を生かすべきとの声も多い。
 日本在住と思われる、新浪ブログのアカウント名・〓月清照さんは地震発生後の21日、「私の住む市では毎年町内で地震訓練を行うほか、行動マニュアルを配布している」と紹介。手元にあるという『地震発生から10分以内の行動マニュアル』の中国語訳を掲載した(〓は不の下に見)。
 紹介したマニュアルには、発生から2分以内は机の下などに隠れて身を守ること、5分以内に火の元や電気を消すこと、10分以内に通信機器の確保や屋外脱出の判断を行う、といった内容が盛り込まれていた。
 いつ起きてもおかしくないと言われる大地震への備えを進める日本の経験や知識を、同じく地震多発国である中国にも広まることは喜ばしいことだ。その一方で、日本の地震マニュアルは耐震を意識した建物やインフラがあってのものであり、容易に崩れる古いレンガ造りの家が並ぶ地域ではそのままは使えない。
 2008年の四川大地震から約5年後に再度同省で発生した大地震。国はもちろんのこと、同省を含め、地震多発地帯にある地方政府が地震対策研究や呼びかけをさらに強化し、現地の状況に合わせた独自の「災害行動マニュアル」が住民の手元に行き渡るようになることを願いたい。(編集担当:柳川俊之)

【中国BBS】地震の死傷者、日本は少ないのになぜわが国は多い?
サーチナニュース 2013423
 中国大手検索サイト百度の掲示板に「中国では地震が起きると多くの死傷者が出るのに、日本はなぜ少ないのか?」というスレッドが立てられた。スレ主の疑問に対して、中国人ネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。

■「地震被害」 写真特集
 四川省雅安市蘆山県で発生したマグニチュード(M)7.0の地震が3日目をむかえ、これまでに死者192人、行方不明者23人、負傷者1万1470人が確認されている。スレ主は、中国で地震が発生するたびに死傷者が多く出るのはおから工事」(説明は後出が原因ではないかと推測している。
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 スレ主の主張に対して「中国はどこもおから工事で、高い建物が好き。検査もロクにしないから地震が来たらアウト」、「ほとんどがおから工事で、人の命を何とも思ってない」、「腐敗した制度の汚職役人のせいだ!」など、スレ主に同意するコメントが多く寄せられた。
 しかし、「日本は地震帯で頻繁(ひんぱん)に起きるが、中国ではほとんど起きない。だから耐震意識が低いし、古い建物も非常に多い」という意見があったが、「四川省は地震がよく起きる地域だけど」という反論も寄せられた。
 日本の建物は頑丈であることを指摘するコメントも多く、「日本の家は耐震設計だから丈夫。農村の家でも非常にしっかりしている」と指摘するユーザーがいたがまさにそのとおりだ。
 一方、「農村では自分の手で家を建てるからなあ」、「発展が遅れた農村部で地震が発生している。もともと農村部の家は危ない」などの理由が挙げられた。
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 中国の農村部では耐震性などの概念はほとんどないのが現状だ。レンガなどを積んだ手作りの家が多く、レンガの家は木造に比べて地震に弱いため、崩れた家の下じきになる人が出るものと考えられる。
 ネットユーザーから主張があったおから工事とは、建材の質を不当に落としたり、量を切り詰めることで経費を浮かせた工事で、いわゆる手抜き工事の典型的なパターンだ。中国語では「豆腐渣工程(Doufuzha Gongcheng)」。「豆腐渣」は豆腐を作る際に出る「かす」、すなわち「おから」。「工程」は「工事」の意。(編集担当:畠山栄)