衆院憲法審査会が11日開かれ、憲法第6章「司法」に関し各党の委員が見解を表明しました。
最高裁が違憲立法審査権を十分行使していないとして、憲法判断を専門に行う憲法裁判所を新設する提案があり、その是非をめぐり各党の主張が分かれました。
民主党と日本維新の会は、最高裁とは別に法律の憲法判断を専門的に担う憲法裁判所の新設を主張しました。それに対して自民党は憲法改正草案に憲法裁判所新設を盛り込んでおらず、「明確な方針はない」との公式見解を表明しましたが、同党の出席議員からは「憲法裁判所の設置を真剣に検討すべきだ」(中谷元氏)、「憲法裁判所をつくるか最高裁の中に憲法部をつくり、憲法判断の部署を独立させる必要がある」(船田元氏)など積極的な意見が出ました。
公明党は「司法の政治化を招く」と慎重姿勢を示し、共産党は最高裁裁判官の任命が政治でゆがめられているままで憲法裁判所を設置するのでは解決にならないと反対しました。
最高裁裁判官の国民審査の形骸化を指摘したみんなの党は、内閣が任命する際に国会同意人事とするよう提案しましたが、公明党は司法の独立の観点から「行き過ぎだ」と反対しました。
先日開示された米政府解禁文書で、司法の独立が米国への従属的関係のもとで侵害されてきたことが明らかになったことを共産党が批判し、公明党や民主党の議員からも「事実とすれば司法権の役割を逸脱するもので、国民の裁判所に対する信頼を失墜させる行為だ」「きわめて遺憾」との発言がありました。
次回は18日に第7章「財政」について議論します。
以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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衆院憲法審査会:憲法裁判所設置、民主など前向き
毎日新聞 2013年04月12日
衆院憲法審査会は11日、第6章「司法」について自由討論した。法律が憲法に違反していないか専門に審査する「憲法裁判所」の設置に関し、民主党と日本維新の会が前向きな主張を展開したが、公明党と共産党は慎重姿勢を示した。自民、みんな、生活の3党は「党内で議論中だ」として意見を明示しなかった。
現行憲法は、法律などが違憲かどうか判断する最終権限を最高裁に与えている。民主党の三日月大造氏は「違憲審査権は十分に行使されていない。憲法裁判所を設置して違憲審査を拡充すべきだ」と主張した。
維新の新原秀人氏は、党内で設置に前向きな議論をしていることを紹介したうえで、「憲法裁判所と最高裁の関係をどう位置づけるかが大きな課題だ」と語った。
一方、公明党の浜地雅一氏は「抽象的な審査を行うことにつながる憲法裁判所の設置は理論的に困難だ。裁判所の政治化も招く」と反対論を唱えた。【仙石恭】