20日に衆院議員会館で行われた「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」について、植草一秀が21日、22日の両日連続で概要を報告していますので紹介します。
これは2月12日に紹介した「日本政治立て直すために主権者が真摯に考察する(植草一秀氏) 」の続編に当たります。
なお勉強会の詳細は下記の動画で視聴できます(2時間21分)。
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安倍政権の暴走を阻止して日本政治を刷新する
植草一秀の「知られざる真実」 2015年2月21日
昨日、2月20日午後5時から、衆議院第一議員会館多目的ホールにおいて、「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」が開催された。
150名を超す市民と多数の国会議員が参加して、熱気に溢れる発言が提示された。
日本政治はいま、まさに最大の危機に直面している。
この現状についての的確な問題摘示がなされ、現状を打破するための方策が提案された。
冒頭、勉強会の主宰者の一人である辻恵元衆院議員から、勉強会開催の経緯ならびに目的について説明がなされた。
国会議員会館施設を使用するために、会の名称等において制約があるが、基本は、日本政治の現実が危機的であるとの認識を共有したうえで、この現状を打破するための方策を具体的に検討してゆくことの重要性が強調された。
この会合を皮切りに、日本政治を刷新するための活動を継続してゆく方針が示された。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏はイスラム国による邦人拘束事件を例示して、日本政治の危機を鋭く抉り出した。
伊藤成彦中央大学名誉教授は日本国憲法を守ることの重要性を指摘した。
気鋭の政治学者である白井聡氏は、米国に支配される日本政治の現状を的確に指摘するとともに、その本質を日本国民が正確に認識していないことの問題を指摘した。
同時に、日本政治の変革を実現するには、日本の主権者に変革を実現し得る「力」が付与されることの重要性が指摘された。
最後に全体を総括して伊東章弁護士から、運動の継続の重要性、安倍政権に対峙する政治勢力、ならびにそれを主導する主権者の連帯の重要性が強調され、今回の会合を発火点として活動の輪を広げてゆくことが提案され、参加者の賛同を得て勉強会が閉幕した。
私からは、今回の勉強会開催が目指す方向性について基調報告をさせていただいた。
以下にその概要を記す。
1.問題の所在
いま、日本政治の何が問題であるのか
日本政治はいま、最大の危機に直面している。
その危機には三つの断面がある。
第一の断面は、「政治理念・哲学の危機」である。
2009年に政権交代の大業が成就した。
日本政治史上、初めて、主権者が自らの手で樹立した政権が誕生した。
その理念、哲学は、「国民の生活が第一」であった。
米・官・業という既得権が支配する政治を、主権者が支配する政治に刷新することが目指された。
しかし、その方向性自体が、この政権に対する激しい攻撃、謀略が仕掛けられる原因にもなった。
小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対する類例を見ない人物破壊工作が展開され、新政権は破壊され、
「国民の生活が第一」の政治も破壊されてしまったのである。
そして、菅政権、野田政権を経て、いま、安倍晋三政権の下で「官僚と大資本と富裕層の生活が第一」の政治が完全復活してしまったのである。
第二の断面は、
「多数決原理の危機」である。
安倍政権与党が昨年12月14日の総選挙で得た比例代表選挙での得票は、全有権者の24.7%にしか過ぎない。
この安倍政権与党が衆院定数475の68.4%にあたる325議席を占有した。
主権者多数の意見が国政に反映されない事態が生じている。
与党と野党の得票率は与党46.8%に対して、野党が53.2%だった。
しかし、議席は与党が68.4%を占有、野党の議席は全体の31.6%となった。
「日本政治の危機」第三の断面は、「国民の生命・自由・幸福を追求される権利が根底から覆される明白な危険が迫る」という危機である。
私たちの目の前には、六つの重大問題がある。
原発、憲法、TPP、消費税、基地、格差 の問題だ。
これらの問題に対する安倍政権の基本方針が、主権者である国民の「生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険」をもたらしている。
この事態に対して、日本の主権者国民は、自衛権を発動して、安倍政権の攻撃に対処する必要がある。
2.提言
この現状を踏まえ、三つの提言を示した。
提言、結論については、次回のブログ記事に記述する。
(以下有料ブログのため非公開)
政策主導・主権者主導で第二平成維新を実現
植草一秀の「知られざる真実」 2015年2月22日
2月20日に衆議院第一議員会館で開催された「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」 http://www.ustream.tv/recorded/59043870 について、ジャーナリストの高橋清隆氏が記事を掲載下さったのでご高覧賜りたい。
この勉強会を契機に、「主権者フォーラム」を正式に立ち上げ、「主権者の党=人民党」をネット上に創設してゆきたいと考えている。
この会合で私は基調講演をさせていただいた。
日本政治の現状認識 提言 結論 の構成でお話させていただいた。
日本政治の現状について、「民主主義の危機」を訴えた。
2009年に日本の歴史上、初めて、民衆の力による政権樹立が実現したが、爾来、5年の年月が経て、日本政治は最悪の状況に陥っている。
私は「民主主義の危機」の三つの断面を提示した。
第一は、政治理念・哲学の危機。
2009年に誕生した鳩山政権は、「国民の生活が第一」の政治を目標に掲げ、「主権者のための政治」実現を目指した。
ところが、この政権は既得権益勢力の総攻撃を受けて破壊され、5年後の現在は、「官僚と大資本と富裕層の生活が第一」の政治に転落し、「米官業のための政治」に完全回帰してしまった。
第二は、多数決原理の危機。
安倍政権与党は昨年12月の総選挙で総議席の68%を占有することになったが、安倍政権与党に投票した主権者は、全体の24.7%に過ぎなかった。
安倍政権の政治に反対の意思を持つ主権者の方が多いが、その「民意」が現実政治に反映されないという事態が生まれている。
日本政治は「民意と国会議席構成のねじれ」という事態に直面している。
第三は、主権者の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される危機。
安倍政権は 原発推進、解釈改憲、TPP参加、消費税大増税、辺野古基地建設、格差推進の方向に政策を進めている。
このことによって、主権者の「生命、自由、幸福を追求する権利が根底から脅かされる明白な危険」が生じている。
主権者は自衛のために、安倍政権を退場させる権利を有していると判断される。
この現状を踏まえて、三つの提言を示した。
第一は、主権者の行動原理に関する提言である。
それは、「与えられた民主主義から勝ち取る民主主義へ」である。
日本の民主主義は外から与えられたものであるために、主権者の覚醒と自覚が不足している。
主権者が主権者であることを自覚し、主権者が日本政治を刷新する主体にならなければならない。
提言の第二と第三は、日本政治再刷新を実現するための行動基準である。
「政策主導」と「主権者主導」を提言した。
政権交代の実現は重要であるが、間違えてならないことは、政権交代は「手段」であって「目的」ではないことだ。
政権交代が実現するとしても、自公政権の補完勢力による政権が樹立されても意味はない。
したがって、政界再編の基軸には、「数合わせ」ではなく「政策」が置かれなければならない。
安倍政権の政策方針は、「戦争と弱肉強食」である。
これに正面から対峙する「平和と共生」、「平和と友愛」を明確に打ち出す必要がある。
そして、「原発、憲法、TPP、消費税、基地、格差」 の六大問題について、安倍政権に対峙する政策方針を明示し、その政策方針の下に主権者と政治勢力が集結するのである。
そして、既存の政党に、この政治再刷新を委ねても、党利党略が優先してしまい、迅速に主権者勢力の結集が実現しないことを踏まえて、政治再刷新の運動を主権者が主導するべきことを訴えた。
結論として、日本政治刷新を実現するために、主権者の連帯の輪を大きく広げる「主権者フォーラム」の創設と、その主権者を土台に創設される「主権者政党=人民党」の創設を提唱した。
(以下有料ブログのため非公開)