2015年2月23日月曜日

改憲発議「最後の過程」にと安倍首相

 国務大臣や国会議員には憲法99条で日本国憲法の尊重擁護義務が課せられています。安倍首相にはどうしてもその憲政の大原則が理解できないようです。
 その上憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」の部分をとらえて、「他国を信頼することで国防を疎かにしようとするみっともない憲法」だとまで述べています。
 
 他国を絶対に信頼しない生き方の見本は米国ですが、ではその実態はどうなのでしょうか。
 米国は長年にわたって軍事に金をかけ過ぎた結果、いまや世界一のGDPをもってしても国家財政は破綻の危機に瀕し、今後の海外出兵の費用は出来るだけ日本などに肩代わりさせようというのが基本構想です。
 現にその構想の下に日本に種々働きかけていて安倍首相はそれに唯々諾々と付き従っているのですが、それこそ実にみっともない話です。
 
 また首相は盛んに憲法はアメリカから押し付けられたものだと主張しますが、では「9条 戦争放棄」の提案者が幣原首相当時)であった※1ことや、GHQが当時日本の色々な市民グループが提案していた「草案」を参考にして原案をまとめたという事実についてはどのように考えているのでしょうか。
※1 2014年5月9日 「憲法9条の成立過程について」 BLOGOS記事の紹介 
 
 ちなみに当時日本政府側もGHQの要請に沿って憲法草案を作成する委員会を発足させていましたが、美濃部達吉氏を実質的なリーダーとする委員会がまとめたものは、軍国主義体制に関する部分を除くと殆どが「大日本帝国憲法」と瓜二つのもの(自民党の現在の改憲草案もまさにそうです)だったので、GHQもさすがにそれは容認できませんでした
 
 美濃部氏は新憲法制定の国会でただ一人反対票を投じましたが、安倍首相もその考えどおりに大日本帝国憲法を再来させようというのでしょうか。
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 安倍首相は20日の衆院予算委員会で、改憲について「条件が整ってきた。どういう条項で国民投票にかけるか、国会発議に至る最後の過程にある」と述べました。
 首相は19日の衆院予算委でも、在任中の国会発議を目指す考えを示しました。
 これまでにも船田元憲法改正推進本部長は、改憲の発議とその賛否を問う国民投票の時期について、来年夏の参院選後というのが首相の意向であると述べています
 
 自民党改憲案の執筆者で改憲推進本部事務局長の礒崎陽輔首相補佐官21日、盛岡市で「来年中に国民投票までもっていきたい。遅くとも再来年の春には行いたい」とし、改正項目については、国家緊急権2▽環境権▽財政規律の確保などを例に挙げ「民主党も入れて3分の2を取れる内容にしないといけない」と述べました。
 彼は、「とにかく1回、改正することが大事だ。『そんなに怖いものではない』ということになれば、2回目以降は難しいこともやれる」という自民党の作戦も明らかにしています
自民党は盛んに緊急事態条項(=国家緊急権)が手軽なものであるかのように装っていますが、これは国民にそのように思わせてきわめて危険な改憲を実現しようとするもので、これまでも識者の警告を紹介してきたとおりです。
 
 首相もまた20日の衆院予算に員会で、「ただ、私の思いだけではかえって邪魔になる場合もあるので、どんどん議論していただきたい」と、衆参憲法審査会での議論の進展に期待を示すなど、情勢は有利だという余裕をベースにして振る舞いを「より巧妙化」させようとしています。
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国会発議「最後の過程」 首相、改憲に積極答弁
東京新聞 2015年2月21日
 安倍晋三首相は二十日の衆院予算委員会で、改憲について「(国民投票法成立などの)条件が整ってきた。どういう条項で国民投票にかけるか、国会発議に至る最後の過程にある」と述べた。首相は十九日の衆院予算委でも、在任中の国会発議を目指す考えを示しており、改憲に積極的な発言が目立っている。
 
 首相は二十日の予算委で、自主憲法制定を党是とする自民党が結党六十年を迎えることにも触れて「修正すべき点は修正する、足らざる点は追加していくということも含め、真剣に議論しなければいけない」と述べた。
 具体的な改憲項目については「憲法審査会で議論する中で、絞られていくことが大切だ」と指摘。「(改憲)時期なども含め、議論を進めてほしい」と与野党に求めた。
 
 十九日の予算委では、改憲を目指す時期などについて「国会の議論を見定める。自民党総裁だから最終的な判断はする」と、在任中の国会発議に意欲的な考えを示している。 
 
 
憲法改正:礒崎首相補佐官「来年中に国民投票まで」
毎日新聞 2015年02月21日
 礒崎陽輔首相補佐官は21日、盛岡市内で開かれた自民党の憲法改正に関する会合で講演し、憲法改正の時期について「来年中に国民投票までもっていきたい。遅くとも再来年の春には行いたい」と述べ、来年夏の参院選後、速やかに衆参各院で改正を発議し、国民投票の実施を目指す考えを示した。
    
 礒崎氏は自民党憲法改正推進本部の事務局長を兼務している。改正項目については、国家緊急権▽環境権▽財政規律の確保−−の明記などを例に挙げ「民主党も入れて(発議に必要な衆参各院の)3分の2を取れる内容にしないといけない」と述べた。
 衆参両院の改憲勢力の現状については「ちょうど3分の2ぐらいで、憲法改正が見えるところに来た」と指摘し、「とにかく1回、改正することが大事だ。『そんなに怖いものではない』ということになれば、2回目以降は難しいこともやっていこうと思う」と語った。【青木純】
 
 
憲法改正、首相「最後の詰めに入る入り口まで来た」 
TBSニュース 2015年2月20日
 安倍総理大臣は20日の国会で、自ら「悲願」としている憲法改正について「最後の詰めに入っていくという入り口までやっと来たわけだから、よく憲法調査会において議論を進めていただきたい」と語り、改めて強い意欲を示しました。
 
  「これからはより幅広く議論が進み、どういう条項において、ではこれは国民投票にかけようかというところにいま至るこの過程に、最後の過程にあるんだろう、こう思います。今こそこの最後の詰めに入っていくという、入り口までやっと来たわけでありますから、ここはですね、時期等も含めてよく憲法調査会においてですね、議論を進めていただきたいとこのように思います」(安倍晋三 首相)
 安倍総理は、憲法改正についてこのように述べた上で「全国に議員が出て行って国民に直接訴えていくことも大切だろう」と述べて、憲法改正に向けて改めて強い意欲を示しました。