2023年2月22日水曜日

22- 岸田首相が国民からまったく支持されない理由

 岸田首相は〝財務省派″だと言われます。政治は詰まるところ金なので、財務省が他の官庁に対しても議員に対しても絶対的な強さを持っているのは間違いないでしょう。

 ただ財務省はいつも増税を叫ぶだけで、他に何か政治的な理念があるようには思えません。聞こえてくることといえば、何年後には消費税を何%に上げないと収支がバランスしないというような話だけです。そして消費税アップに対する執着は強く、かつて安倍首相が消費税をアップを2回延期したとき、財務省は本気で安倍首相を潰すことを考えたと安倍氏自身が語っています。大企業の内部留保が500兆円を超える事態になっているのにそれを取り崩すというような算段も、彼らには皆無のようです。
 そうすると岸田首相は保身のために〝財務省派″になったのでしょうか。政治的な思想・信条は何もないようなので、一番メリットの大きいところに身を置くことに何の抵抗もなかったのでしょう。
 現代ビジネスに、小倉 健一氏による「 ~ 『岸田首相が国民からまったく支持されない理由』を明かそう」という記事が載りました。
 小倉氏によると、「岸田氏は『増税をすると国民が安心して経済成長をする』という『謎』の理論の持ち主で、その持論については筋金入り」だそうです。
 しかし「謎」と書いている通りその解説はないので、あらぬことを考えるしかありません。
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側近も長男も信者もみんな目を背ける
「岸田首相が国民からまったく支持されない理由」を明かそう
                     小倉 健一 現代ビジネス 2023/2/20
                             (イトモス研究所所長)
もう同情の余地はない
 批判を受けるたびに軌道修正を繰り返しつつ、新安保3文書の閣議決定など実績をつくってきたと自負する岸田政権だが、支持率の低迷が続く。自民党内の一部からは「意外にやっている」「ちゃんとやっている」という声も上がるが、実態はどうなっているのだろうか。岸田首相は、なぜ評価が低いのだろうか。いくつかの観点から明らかにしていきたい。
【写真】岸田文雄と写真におさまり、山口組五代目とも盟友だった「同和のドン」

 まず、岸田首相の資質についてだ。
 安倍晋三元首相は、政敵関係にあった小池百合子東京都知事を評して、「彼女を支えている原動力は、上昇志向だと思いますよ。誰だって上昇志向を持つことは大切です。でも、上昇して何をするのかが、彼女の場合、見えてこない。上昇すること自体が目的になってしまっているんじゃないかな。上昇する過程では、小池さんは関係者を徹底的に追い落としてきましたね」(『安倍晋三 回顧録』)としている。あるときは一緒になって政権を運営していた人物が、政敵となったのだから、評価は厳しくなって当然だが、先ほどの引用部分で、「彼女」「小池」となっているところをピッタリ当てはまる人物がいる。そう、岸田首相だ。

 岸田首相は、菅政権の支持率が低迷すると、真っ先に総裁選に立候補すると表明し、菅政権に対して「国民の声が届かない」「国民の声が届かない」と繰り返し主張をしてきた。総裁選中には、ある程度、ライバル候補とディベートすることも必要であるから、同じ党といえども批判は許容されるものであろう。しかし、岸田氏は、総裁選で勝利した後、菅首相(当時)が壇上が岸田氏へ花束を渡し、菅首相がまだ壇上にいるところで、「国民の声が届かない」と批判を繰り返したのである。
 今、岸田政権内では、アピールが下手だとか、実績が上手く伝わっていないなどと主張する一群がいるが、そもそも、国民の声が届かない状態をなんとかするということで、総裁選に勝利したのが岸田文雄首相であり、菅前首相に対して「私が国民の声を聞く」とマウンティングまでしたのだ。同情の余地がないというか、岸田首相に投票した自民党員は、もっと怒った方がよいのではないか。菅前首相への冷遇をみても、ライバルは徹底的に叩き落とすという見せしめに近いものを一貫して感じる。
 上昇志向という点でも、小池知事を笑えない。安倍政権の政調会長だった時代から、岸田首相は、財政再建岸田氏の場合、財政再建とは行財政改革ではなく、増税のことが持論であった。財政健全化の道筋を示すことが、消費を刺激して経済の循環を完成させる」「財政出動が将来への不安を増大させかねない」「最優先の課題として消費税引き上げが必要」と繰り返し主張してきた。つまり、増税をすると国民が安心して経済成長をするという謎の理論だが、岸田首相はこの持論については筋金入りだ。

上昇志向の犠牲となった国民
 しかし、総裁選、その直後の衆院選、そして昨年夏の参院選挙と、自分が首相の地位を獲得し、長期政権へと地盤を固めるまで、増税議論の一切を封印してきた。防衛費倍増、異次元の子育て支援を表明するにあたって、大増税を突然に唱え始めたのである。岸田首相の上昇志向の犠牲になった国民の側からすれば、支持率が低くて当然であろう。
 文藝春秋電子版(2023年1月9日)によれば、『防衛費で「総額43兆円」という数字を掲げた。これを気前よく丸呑みした岸田の決断に、萩生田らは当初は喜んだ。だが、それもつかの間、岸田は財源として「増税」に舵を切ったのだ』『岸田の決意は固い。「側近で政務秘書官の嶋田隆が財政健全派だからとみる向きもあるが、実際は嶋田の意向に引っ張られたのではなく、首相が自ら考えを重ねた結果、増税すると腹を決めた。かなり手ごわい」(官邸筋)』という。
 いまだに見えてこない『新しい資本主義』というのも、選挙に勝つための方便だったということだろう。「検討」を連呼して「検討使」と揶揄されたのを気にして、実績をつくるために官僚があげてきたものを右から左へと実行に移しているのが現状だが、本人が結局何がしたいのかはいまだにわからないいや、増税はやりたいのだろう。日本経済と家計への悪影響が必至の大増税だけが、本人のやりたいことなのだ。

 とはいっても、岸田首相はたくさんの実績をつくってきたではないか、という人がいるかもしれない。筆者も、岸田政権が実績を残してきたことは知っているが、評価に値するかというと、少々疑問符をつけざるを得ない。
 政権サイドが誇らしげに掲げている「岸田内閣の実績」なるものは、岸田政権でないと実現しなかったのかということだ。国民に増税することを一切言わずに実施した騙し討ちのような衆院選挙、参院選挙で圧倒的な議席を手に入れている。現在、衆院465議席の中で、自民党260人、公明党32人。参院245議席のうち、自民党111人、公明党28人だ。基本的には、どんな法案であっても、何一つ苦労なく、実現できる。
 その中で、例えば、ウクライナ戦争でロシアの侵略と戦っているというが、もし、安倍政権、菅政権が今でも続いていたとしたら、違った結果になっていただろうか。そんなことはないだろう。防衛費倍増、新安保3文書、NISAの拡充、最低賃金アップなども当然のように実行していた可能性がある。政権を長く続ければ、どんな政権であっても実績がつくれるものだ。

岸田氏でなければできなかった政策はあるのか?
 例えば、サッカーの話をして恐縮だが、ワールドカップで優勝したアルゼンチン代表のエース、メッシ選手個人の技量のすごさについて、このような解説がある。
 「スペインのサッカーリーグ『リーガ・エスパニョーラ』で、386ゴールを記録した。しかし、史上最高のボールキッカー(メッシのこと)であっても、彼のゴールの70%以上は、彼が誰であるか、ボールが彼の足を離れたらどこに行くかを気にしないモデルによって説明できる」(RYAN O’HALON著『NET GAINS』)
 メッシ選手はサッカーの天才である。しかし、得点の7割以上は、メッシでなくても(スペインのトップリーグの攻撃選手であれば)得点できたことがデータでわかっている。ということであれば、メッシ選手の本当の凄さは、メッシ選手でなくては得点できなかった30%未満のゴールということになる。メッシ選手の本当の実力を説明するには、その3割未満の部分に焦点を当てた方がよい。

 話が少し逸れたが、わたしたちが岸田首相の評価として焦点を当てるべきは、岸田首相でなくてもできたであろう政策実現ではなく、岸田首相でないとやらなかったであろう政策なのだ。それが何かを私たちは考えるべきだろう
 現在のところ、それは騙し討ちによる大増税、そして、岸田首相長男・翔太郎氏の首相秘書官への縁故採用ということになる。翔太郎氏の採用をめぐっては、「岸田首相は、翔太郎氏の指導係に元経産事務次官の嶋田隆首相秘書官(57年、旧通産省)や、荒井勝喜首相秘書官(平成3年)らを考えている」(文藝春秋電子版・2022年11月9日)という報道もあり、「パリ、ロンドンへの観光旅行」批判前から、翔太郎氏が即戦力でないことは明白であった。仕事をきちんとしているなら、その評判が漏れ伝わってきてもいいと思うが、現状、そのような報道はない。
 首相秘書官としての年収は、1000万円を超えることもあったとされていて、官房機密費にもアクセスできる特権階級である。それを縁故で採用するということにあまりに無神経ではないだろうか。
 例えば、小泉進次郎衆議院議員は、秘書時代に、そのような厚遇を受けていない。むしろ、政治について勉強したければ、小泉進次郎氏のもとで私設秘書をするのが一番良いのではないだろうか。NEWSポストセブン(2023年2月16日)によれば、進次郎氏は地元秘書を月額25万円で募集しているということである。採用条件に、経歴や資格は不問で人物本位の採用として〈小泉進次郎と共に、政治を動かしたいという熱意のある方〉〈勤務態度などを考慮し、公設秘書(特別職国家公務員)への登用もあります〉という。雑巾掛けから始めるとはまさにこのことではないだろうか。

 国政選挙がしばらくないことから、岸田首相が退陣することはないと予測する人は多い。自民党の国会議員にしてもわざわざ政局をつくって、万が一にでも解散となり、自分の地位を失うのを恐れているはずだ。このまま、増税内閣が続くことになるが、国民負担率が1%上昇すれば成長率は0.30%低下し、潜在的国民負担率が1%上昇すれば成長率は0.27%低下することが、日本銀行「国民負担率と経済成長」(2000年)によって明らかになっている。政権サイドが実績を強調しても、日本経済と家計の危機は続くことになる。