2023年2月5日日曜日

軍事力強化資金 手段選ばぬ財源調達をやめよ(しんぶん赤旗「主張」)

 岸田政権は大軍拡に向けて5年間で43兆円を確保するために「防衛力強化資金」を新設し、23年度予算で24年度以降の軍事費を先取りする財源確保法案を3日、閣議決定しました。

 年度によって異なる「税外収入」はこれまでは予算立案の都度その使途を決めてきましたが、今後ははっきり見通せる税外収入分は最優先で軍事費に回すというものです。
 具体的には、外国為替特別会計、財政投融資特別会計からの繰入金、国有財産の商業施設の売却益、国庫への返納金など4・6兆円の税外収入を新設の「防衛力強化資金」に繰り入れ、そのうちから1・2兆円を23年度に支出し、残りを24年度以降の軍事費に充てるというものです。
 1日の衆院予算委共産党の宮本徹議員が指摘したとおり、政府は国立病院機構地域医療機能推進機構から積立金の半分と「ゼロゼロ融資資金」の残金を返済させ、それを「防衛力強化資金」に注ぎ込もうとしています。これでは無用の軍備が増えるばかりで、肝心の国民の健康は阻害され、中小企業の苦衷は救わないということになります。
 しんぶん赤旗が「軍事力強化資金 手段選ばぬ財源調達をやめよ」という「主張」を掲げました。
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主張軍事力強化資金 手段選ばぬ財源調達をやめよ
                        しんぶん赤旗 2023年2月4日
 岸田文雄政権は、安全保障3文書を実行に移す大軍拡のため、5年間で43兆円もの大軍拡の一環です。「防衛力強化資金」を新設し、2023年度予算で24年度以降の軍事費を先取りする異常な予算の使い方です。

医療・中小企業費を流用
 同資金への繰入金3・4兆円を合わせて23年度の軍事費は10・2兆円と、歳出総額の9%を占めることになります。
 「防衛力強化資金」に4・6兆円の税外収入を繰り入れます。内容は、外国為替特別会計、財政投融資特別会計からの繰入金、国有財産の商業施設「大手町プレイス」の売却益、国庫への返納金などです。1・2兆円を23年度に支出し、残りを24年度以降の軍事費に充てます。
 国庫への返納金には国立病院機構(NHO)の積立金422億円、社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円、中小企業向けの「ゼロゼロ融資」基金の残金2350億円が含まれます。
 公的病院はコロナ患者の受け入れで中心的役割を果たしています。昨年の感染症法改定ではパンデミックの際に医療提供義務が課されることになり、それに対応した施設の改修や老朽化対策が必要になっています。
 この問題を1日の衆院予算委員会で取り上げた日本共産党の宮本徹議員は、今の積立金675億円でも足りないというJCHO当事者の声を紹介し、軍事費への流用をやめるよう岸田首相に迫りました。積立金の半分を返納させて軍事費に回すなど、医療切り捨てにほかなりません。
 流用は、医療労働者の待遇改善にも逆行しています。国立病院の看護師の賃金は国家公務員の人事院勧告よりも低く抑えられ、他の公的病院よりも低水準です。医療の財源は現場で働く人のために使うべきです。
 ゼロゼロ融資は、コロナで苦境にある中小企業の資金繰り対策として実施された実質無利子・無担保の貸し付けです。政府は、22年9月末に申請受け付けを終了したことを理由に基金の残金を返納させるとしています。中小企業の苦しみを無視する姿勢です。
 中小・零細を中心に企業の22年の休廃業・解散は、民間調査会社、東京商工リサーチによると、4万9625件で、過去2番目の多さです。しかもこれから本格化するゼロゼロ融資の返済は、中小企業の深刻な重荷となっています。
 23年度予算案に計上された中小企業対策費はわずか1704億円で、22年度から9億円減らされています。基金の残金は中小企業支援に使うのが当然です。

安保3文書の撤回こそ
 岸田政権は軍事費確保のために、東日本大震災の復興特別所得税を増税・流用し、軍事費のために4343億円の建設国債を発行しようとしています。国民の暮らしも財政のルールも無視した、手段を選ばない財源調達です。
 かつてない軍拡予算は、軍事対軍事の緊張を高め、コロナ禍と物価高にあえぐ国民の生活苦をさらに深刻なものにします。将来の世代にも重荷を負わせます。平和と暮らしを守るために財源確保法案も安保3文書も撤回し、大軍拡をやめるしかありません。