2023年2月27日月曜日

書評『統一協会=勝共連合とは何か』 教義の虚偽性を分析 杉井静子氏

 統一協会の教祖・文鮮明は米国で脱税で刑務所に入り、北朝鮮では淫行の罪で実刑受けているということです。
 彼は自分をキリストと並ぶ「メシア」だと称したようですが、死後には何も起こっていません。これでは単に「自称」しただけということになるのではないでしょう。
 しんぶん赤旗に、1978年6月の東京・立川市議選で勝共連合と対峙た弁護士・杉井静子氏による 日隈威徳 著『統一協会=勝共連合とは何か』(新日本出版社・1800円)についての書評が載りました。
 短い記事ですが〝統一協会=勝共連合″の本質が良く分かります。
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書籍評論文
再読 日隈威徳 著『統一協会=勝共連合とは何か』
 教義の虚偽性を分析 反共謀略の実態暴く 杉井静子(=評者)
                       しんぶん赤旗 2023年2月26日
 本書は1984年9月に刊行された日限威徳著『勝共連合』に元赤旗記者柿田睦夫さん書き下ろしの解説を加えて、新装再刊されたものである。

政治との癒着
 統一協会の霊感商法等による被害の救済については、不十分ではあるが昨年末立法措置がされた。しかし政治との癒着、とりわけ自民党との組織的な癒着については、いまだ全容は未解明である。だからこそ本書は時宜を得ている。解説にあるように、綿密な取材と事実に基づいて統一協会=勝共連合の実態を暴いている。さらに宗教学者らしくその教義″のいかさまぶりを深く分析、諭じている
 本書で教祖文鮮明の反社会的な人間性、すなわち、アメリカで脱税で刑務所に入り、北朝鮮では淫行の罪で逮捕、実刑も受けていることを改めて教えられた
 評者は1978年6月の東京・立川市議選で勝共連合と対峙た。彼らは市内各所で日本共産党の演説を妨害し、投票日前日、反共謀略ピラを全戸配布しようとしたのだ。私たち弁護士は深夜でかかって裁判官を説得し、ビラ配布差し止め処分を勝ち取った。
 本書ではこうした謀略的な選挙妨害は1970年の京都府知事選から始まること、1960年代はじめKCIA(韓国中央情報部)に指導され、国際的な反共謀略集団に成長転化″した過程と、それが岸信介はじめ右翼政治家と深く関係していることが明らかにされている。

家族観の一致
 あからさまな選挙妨害は2000年代に入ると見えなくなるが、彼らは教科書攻撃、スパイ防止法制定促進等、地方議会決議をあげる運動を展開するようになる。それを通じて自民党や保守政治家を取り込む。そして選挙支援の運動員等を派遣し、その返礼として催しへの出席、挨拶、祝電、祝辞を取り付ける。政治との癒着の実態が解明されている。
 そ癒着の根っこには「家族観」の一致がある。鮮明の「血分け」で清められ、文に指名される集団結婚″。文夫婦を父母とする大家族。このゆがんだ家父長制度は自民党の改憲草案にも通ずる家族観である。そこに「同性婚反対」「夫婦別姓反対」等、保守的政治家との共通基盤があったことが分かる
 本書は「『勝共』とは、反平和、反民主、反主権、反人権、反理性の謂である」とし、「かれらとのたたかいは、民主主義と平和をまもり発展させるたたかいであり、それ故に、民族的、国民的な課題となっている」と結ぱれている。
 統一地方選を前にして彼らの正体を見破るための必読書と言える。

                          (すぎい・しずこ 弁護士)