2023年2月4日土曜日

敵基地攻撃能力保有の核心は何か 志位委員長が会見(しんぶん赤旗)

 共産党の志位和夫委員長は2日の記者会見で岸田首相の衆院予算委での答弁姿勢について問われ、31日の自身の質問に触れ、「全体として聞いていることに答えず、長々と時間をつぶし、うそを平気で言う。不誠実な答弁の繰り返しだった」と批判しました。信念もなければ真実もないという岸田首相の本質を言いつくしています。

 そして岸田氏は最も肝心な「憲法と安保3文書の整合性」について、「まともな説明が一切出来なかった」のでした。
 志位氏はまた31日、同日行われた衆院予算委での基本的質疑で「基地攻撃能力保有の核心は何か」について明らかにされた内容を、記者団に説明しました。
 まず政府が「何のために敵基地攻撃能力をいま持とうとしているのか」については、その最大の動機の一つが「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に日本が参加することで、それによって米国が始める戦争に米軍と一体になって日本が参戦できるようになるためです。
 そして「敵基地攻撃能力」の実態は「極超音速兵器」であり、具体的には「極超音速誘導弾」「極超音速滑空弾」飛行速度はマッハ5超、射程は前者が3千km、後者が2千km)あるということです。
 これで政府が防衛3文書の改定で目指しているものの実態が明らかにされました。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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首相、平気でうそをつき 不誠実な答弁 衆院予算委 志位委員長が批判
                        しんぶん赤旗 2023年2月3日
 日本共産党の志位和夫委員長は2日、国会内で記者会見し、岸田文雄首相の衆院予算委員会での答弁姿勢について問われ、1月31日の自身の質問に触れ、「全体として聞いていることに答えず、長々と時間をつぶし、うそを平気で言う。不誠実な答弁の繰り返しだった」と批判しました。
 志位氏は、1959年に伊能繁次郎防衛庁長官が敵基地攻撃能力の保有は「憲法の趣旨とするところではない」と明瞭に述べていることを示し、これまでの政府答弁と「安保3文書」は矛盾しているとただしたのに対し、首相は質問にまともに答えず、「安全保障環境が変化した」としか答えられなかったと指摘。憲法と「安保3文書」の整合性について「まともな説明がいっさいできなかった」と厳しく批判しました。
 さらに志位氏は、平気でうそを言う最たるものとして、「『統合防空ミサイル防衛』(IAMD)はアメリカと日本は全く別物であり、自衛隊は独立の指揮系統で動く」と述べたことをあげました。志位氏は「日米共同声明で『協力を強化する』と合意し、米空軍が機関誌で『シームレス―切れ目のない融合』を求めている。米軍は公然と先制攻撃戦略を掲げており、首相の答弁は全くのうそだ」と厳しく批判しました。
 志位氏は「首相の答弁全体を通して、背筋の凍るようなことを実行に移そうとしながら、その恐ろしさを自覚していない。ここに一番の恐ろしさがある」と指摘し、「反戦平和の党としての日本共産党の存在意義をかけて危険な道を告発し、平和を準備する外交こそ必要だという対案を掲げて大いにがんばりたい」と表明しました。


敵基地攻撃能力保有の核心は何か 志位委員長が会見
                        しんぶん赤旗 2023年2月3日
 日本共産党の志位和夫委員長は1月31日の記者会見で、衆院予算委員会での自身の質問を振り返りながら、岸田政権の大軍拡・敵基地攻撃能力保有の核心は何かについて明らかにしました。会見での発言を紹介します。
 今日の予算委員会の質疑では、今やられようとしている敵基地攻撃能力の保有と大軍拡の一番根本的な問題について提起しました。憲法との関係、「専守防衛」との関係、「抑止力」との関係、さらに「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)で「米軍とシームレス(切れ目なく)に融合」していく――これらの根本問題が提起できたと思います。

日米「融合」での「統合防空ミサイル防衛」がことの核心
 今回の質問を準備する過程で、「何のために敵基地攻撃能力をいま持とうとしているのか」について探求をしてみたわけですが、その最大の動機の一つが「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に日本が参加することにあることは間違いないと思います。
 首相は「日本は独自にやる」と言いましたが、そんな代物ではありません。質問で読み上げた通り、「シームレスな融合が必要」だと米軍が言っています。「ミサイル防衛」と敵基地攻撃の両方を一体にやるわけですから、まさに瞬時の軍事的な対応が必要になります。おのおのがバラバラにやっていたら軍事作戦として成り立つ道理がありません。
 まさに日米が「融合」する形での軍事一体化になります。そして、米国は先制攻撃の方針を公然と持っています。そうなると、そうした先制攻撃の戦争に日本が参戦するという危険性が現実のものとしてあるわけです。
 IAMDは、米国がいま地球的規模で構築しているシステムです。それに自衛隊が参加しようと思うとこれまでの自衛隊では参加できません。敵基地攻撃能力を持たないと役に立たない。敵基地攻撃能力を持つことが「エントリー=参加資格」となっている。敵基地攻撃能力を持って参加し、「融合」する形で軍事活動をやっていく。ここに核心があると思います。
 米国は正義の戦争をやっている国ではありません。今日お話ししたように、先制攻撃の戦争をたくさんやっている。そういう国と軍事で「融合」する危険性は恐るべきものであるということが、非常に明瞭になったのではないでしょうか。

米軍の二つの文書が示すもの
 今日の質問で使った米統合参謀本部の文書「対航空・ミサイル脅威」(2017年4月)、米空軍が発行している機関誌『航空宇宙作戦レビュー』をぜひ見ていただけたらと思います。
 米統合参謀本部の文書には、非常に詳しくIAMDのドクトリン(教義)が書かれており、その中心的な内容として、「攻勢対航空作戦」(オフェンシブ・カウンターエア)が明示されています。
 文書の冒頭では「攻勢対航空作戦」とは何かについて、「敵のミサイルサイト、飛行場、指揮統制機能、インフラストラクチャー」を破壊または無力化する、そして「離陸・発射の前と後の双方」においてと、「先制攻撃」を明示しています。文書の中には「先制」という言葉が何度も登場します。先制攻撃の宣言なんです。
 もう一つ、米インド太平洋軍のIAMDに関する米空軍の機関誌を示しましたが、そこには、これまでの米国と同盟国との関係は「サイド・バイ・サイド――隣に並んでの統合」だったと明示されています。「ノルマンディー上陸作戦」「イラク作戦」などもそうだったが、今度は違う。「シームレス――切れ目のない融合」なんだということが非常に明瞭に書かれています。
 今やられようとしている「統合防空ミサイル防衛」というのは、米軍と自衛隊が「シームレスに融合」して作戦を行う。その中身は「ミサイル防衛」だけではありません。「相手国の領域」で相手国を攻撃する敵基地攻撃がセットで作戦がやられる。そして日米が完全に「融合」した形でやられる。当然この指揮権を持っているのは米国です。そして、米国は先制攻撃を隠していない。ここに、今回の大軍拡の一番の危険があると思います。

敵基地攻撃能力の恐るべき実態――「極超音速兵器」
 もう一つの急所は、「反撃能力」「敵基地攻撃能力」の実態は何かということです。結論から言うと、一番の本命は「極超音速兵器」です。
 いま自衛隊が開発しようとしている「極超音速兵器」は2種類あります。一つは「極超音速誘導弾」、もう一つは「極超音速滑空弾」です。今日私が示した防衛装備庁作成の敵基地攻撃能力獲得後の「将来像」の図に登場するのがこの二つです。両方とも飛行速度はマッハ5を超えます。「極超音速誘導弾」は射程3000キロ、「極超音速滑空弾」は2000キロです。敵基地攻撃能力といった場合、トマホークのことがよく言われますが、本命は極超音速兵器です。首相は、これがどうして「脅威でない」と言えるかという問いには全く答えられませんでした。
 反撃能力・敵基地攻撃能力の問題を議論する際に、その実態がどういうもので、どんな兵器を持とうとしているのかというところから議論がされなければならないと思います。そういう点でも、「極超音速兵器」という一番の本命の危険性を告発できたと思います。それが他国に与える「脅威」については、首相も否定できなかった。この点でも、いま起きている事柄の恐ろしさが非常に明瞭になったと思います。

伊能答弁、田中答弁との整合性を説明できず――立憲主義の破壊
 そして冒頭には憲法論を行いました。
 伊能繁次郎防衛庁長官の答弁(1959年3月19日)には敵基地攻撃は「他に全然手段がない場合」には「法理的に可能」だが、そういう事態は現実には起こりがたいので、平素から能力を保有することは憲法違反だと書いてあります。首相は、伊能答弁との整合性は説明できませんでした。「安全保障環境が変わった」と繰り返したけれども、政府の論理でも、日米安保条約があるのだから、「他に全然手段がない場合」とは言えません
 それからもう一点は、田中角栄首相の答弁(72年10月31日)です。田中答弁は明らかに敵基地攻撃を否定しています。それにもかかわらず、首相は、田中答弁は「海外派兵一般を禁止したものだ」「敵基地攻撃を否定したものではない」という田中答弁を歪曲(わいきょく)した答弁に終始し、まったくの説明不能となりました。
 どちらも国会で確立した答弁なのに、今やろうとしていることとの整合性が全く説明できない。これは立憲主義の破壊です。

平和の対案掲げ撤回のために全力
 これは第一歩です。私たちとしては徹底的に今やられようとしていることの危険性、道理のなさを明らかにし、そして平和の対案を示しつつ、これを撤回する取り組みに全力をあげたいと思います。