岸田首相は4日、性的少数者や同性婚をめぐり差別発言をした荒井勝喜首相秘書官を更迭しました。それは当然のことですが、その前段となった1日の衆院予算委で、同性婚の法制化について「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と否定的な考えを示した首相の認識のずれに改めて批判が高まっています。
荒井氏が「首相秘書官室全員に聞いても同じことを言っていた」などと述べていたことについて共産党の小池晃書記局長は4日、「首相官邸全体の問題だ」と強調し、「荒井氏の発言は、1日の岸田首相の答弁に関する質問の中で飛び出したもので、岸田首相自身の家族観や価値観、性的少数者や同性婚に対する認識が問われている」と述べました。
もともと岸田首相は、性的少数者に対して「生産性がない」と差別的言動を繰り返してきた杉田水脈衆院議員を総務政務官に起用した際に、批判が相次いだにもかかわらず敢えてかばい続けるなど、問題が相次ぐ根本には首相の人権感覚の低さがあり、荒井氏の発言はいわば首相答弁をなぞったものでした。
首相の「異次元」と称する子育て政策についても、ジェンダー感覚の低さが露呈していて、「子育て中に学び直しができるわけがない」「産休、育休中の女性が置がれている実態を分かっているのか」などと批判されました。
それに対して首相は30日の衆院予算で「私自身も3人の子どもの親だ」「子育てが、経済的、時間的、さらには精神的に大変だということは目の当たりにした」などと釈明しましたが、首相自身に子育ての実態はありませんでした。
荒井氏の差別発言を重くみるなら、人権を軽視してきたこれまでの首相自身の反省も必要です。
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首相答弁巡り差別発言 同性婚などに 秘書官を更迭
しんぶん赤旗 2023年2月5日
岸田首相は4日、LGBTなど性的少数者や同性婚をめぐり差別発言をした荒井勝喜(まさよし)首相秘書官を同日付で更迭しました。訪問先の福井県坂井市で同日午後、記者団に明らかにしました。(関連記事)
荒井氏は3日夜、性的少数者や同性婚についてオフレコを前提とした取材に「見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」と発言。「同性婚なんか導入したら、国を捨てる人も出てくる。首相秘書官室全員に聞いても同じことを言っていた」とも述べました。
その後、荒井氏は再度の取材に応じ「誤解を与えるような表現をして大変申し訳ない」と陳謝。「個人の意見」として発言を撤回しました。ただ、差別発言に対する謝罪はなく、「見るのも嫌だ」との発言に関しては「ミスリード」だと否定しました。
首相は1日の衆院予算委員会で、同性婚の法制化について「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と否定的な考えを示していました。多くの自治体で同性カップルの婚姻を公認するパートナーシップ制度の導入が進む中、首相の認識のずれには批判が高まっています。
荒井氏の差別発言は、首相のこの答弁に関する記者の質問に対して飛び出したもの。首相は4日午後、「性的指向、性自認を理由とする不当な差別、偏見はあってはならない」と語りましたが、この問題での首相自身の認識こそが問われます。
同性婚差別発言 秘書官更迭 首相自身の認識問われる 小池書記局長が批判
しんぶん赤旗 2023年2月5日
日本共産党の小池晃書記局長は4日、群馬県高崎市での党決起集会で、荒井勝喜首相秘書官がLGBTなど性的少数者や同性婚に関し、「見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」と発言したことに言及し、「差別意識と偏見に満ちた暴言だ。このような人物を秘書官にした岸田(文雄)首相の任命責任が問われる」と厳しく批判しました。
小池氏は「同時にこれは、荒井氏一人の問題ではなく、更迭して一件落着にはならない」と指摘。荒井氏が「同性婚なんか導入したら、国を捨てる人も出てくる。首相秘書官室全員に聞いても同じことを言っていた」などと述べていたとして、「首相官邸全体の問題だ」と強調しました。
また、岸田首相が1日の衆院予算委員会で同性婚に関し、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁していたことをあげ、「荒井氏の発言は、この岸田首相の答弁に関する質問の中で飛び出したものだ。岸田首相自身の家族観や価値観、性的少数者や同性婚に対する認識が問われている」と述べました。
その上で、国連の人権理事会の報告書では日本に対し▽性的少数者への差別の解消▽同性婚の合法化▽政治・経済分野における女性の参加促進―などが勧告されていると指摘。「岸田首相が今回の荒井氏の暴言を本当に反省するのであれば、この世界の声に応えるべきだ」と訴えました。
同性婚〝社会が変わる″〝育休中に学び直して″
秘書官更迭 首相自身の認識が問題
しんぶん赤旗 2023年2月5日
岸田文雄首相は4日、性的少数者や同性婚について差別発言をした荒井勝喜首相秘書官を更迭しました。岸田政権のもとでは性的少数者に対して「生産性がない」と差別的言動を繰り返してきた杉田水脈衆院議員を総務政務官に起用した際にも批判が相次いだにもかかわらず、首相はかばい続けました。問題が相次ぐ根本には、首相の人権感覚の低さがあります。
首相は1日の衆院予算委
員会で、同性婚や選択的夫婦別姓の導入について「極めて慎重に検討すべき課題だ。人間の生き方、家族観に関わり、社会が変わっていく問題だ」などと答弁しました。荒井氏の3日の発言は、この答弁について問われて答えたものですが、首相答弁をなぞったものでした。
首相が「異次元」と称する子育て政策についても、ジェンダー感覚の低さが露呈しています。
首相は1月27日の参院本会議で、賃金上昇やキャリアアップに向け、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を「後押しする」と答弁。これには「子育て中に学び直しができるわけがない」「産休、育休中の女性が置がれている実態を分かっているのか」などの批判が集中しました。
これに対し、首相は30日の衆院予算委員会で、「私自身も3人の子どもの親だ」「子育てが、経済的、時間的、さらには精神的に大変だということは目の当たりにした」などと釈明しました。
ところが、実際には首相の妻・裕子氏が一人での育児だったと証言(『文芸春愁2022年3月号)しでいます。子育てに参加していないのに「子育ての苦労」を語ってみせる首相の認識の軽さは隠しようもありません。
荒井氏の差別発言を重くみるなら、人権を軽視してきた、これまでの首相自身の態度への反省も必要です。 (目黒健太)