2023年2月18日土曜日

美輪明宏さんが同性婚問題で「岸田首相の無知にあきれる」と(女性自身)

 先進国といわれるG7の中で(選択的)夫婦別姓やLGBTの権利を認めていない国は日本だけで、日本の一部で同性愛を排撃する思想が横行しているのは異常なことです。
 西洋では哲学者プラトン(紀元前427~同347年 ギリシアが対話篇『饗宴』で「同性愛」を肯定的に取り上げているほか、古代ギリシャ神話や他国の神話にも多く同性愛者が登場しているし、日本でも古くから同性愛を取り上げた史料や文学が存在していました。
 日本で同性愛が軍部によって排撃され始めたのは太平洋戦争中で、当時の「産めよ増やせよ」の政策や「家父長制」に反したからでした。
 今日に至るまで自民党の一部に強硬な反対派がいるのは、その考え方が家父長制を理想とする「統一協会」や「日本会議」に受け継がれて 自民党に浸透しているからに他なりません。

 『女性自身』に歌手の美輪明宏さんによる「同性婚問題『岸田首相の無知にあきれ…人が人を愛したことの何が悪いのか』」という記事が載りました。
 記事には美輪さんの教養が溢れていて、「これまでの歴史、そして世界がどういう価値観でLGBTについて向き合っているか。今回の問題で、日本の政治家がいかに時代遅れで無知であるということが露呈されました。いま問われていることは、正しい見識を持つことなのです」と結ばれています。
 この問題はその一語に尽きていて、反対派は、統一協会あたりに洗脳されていることを愧じるべきです。
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美輪明宏さん語る
同性婚問題「岸田首相の無知にあきれ…人が人を愛したことの何が悪いのか」
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 「岸田首相や彼の前秘書官が同性婚導入について発言した問題は、日本の新聞やテレビのほか、外国のメディアにも大きく取り上げられました。私はこの発言を聞いたとき、怒りというよりあきれました。率直に申し上げて、歴史のお勉強が足りない人たちなのだと」
そう語るのは美輪明宏さんだ。2月1日の衆議院予算委員会で、同性婚の法制化について問われ、「社会が変わってしまう課題」と答えた岸田文雄首相。3日、岸田首相のこの発言について問われた荒井勝喜首相秘書官は「(同性カップルを)見るのも嫌だ、隣に住むのも嫌だ」「(同性婚を法制化すると)国を捨てる人が出てくる」と差別的な発言をして更迭された。
 「同性婚、性的少数カップルが嫌だという偏見は、その人自身が過去の軍国主義の悪い部分だけに振り回されていて、本当の歴史を学んでいないためです。そのような人たちが、日本の政治を動かしているということにあきれてしまったのです。地球上には、古くから同性愛というものがあることをご存じないのですから」
 確かに、美輪さんの言うように、代ギリシャ神話をはじめさまざまな国の神話に、同性愛や両性愛の神々が登場することは珍しくない。またアレキサンダー大王やローマ皇帝のハドリアヌス帝には、同性の恋人がいたと伝えられている。
 「日本でも、古くから公家や貴族、武士たちの間でおこなわれていた男色(男性同士の性愛)にまつわる話が史料として残っています。たとえば、戦国時代になると、戦地に女性は連れていけないので、殿様が女性の代わりに小姓(身の回りの世話をする少年)を自分のそばに置きました。
 江戸時代の作家、井原西鶴の浮世草子『男色大鑑』という作品には、武家社会のさまざまな男色の話が書かれております。大昔から、日本でも同性愛は当たり前のようにありました。それが今日まで連綿と続いているのです」
 しかし、明治維新以降、西洋のキリスト教的な価値観が国内に入ってきたことで、同性愛は異端視されるように。時代が昭和へと移り、太平洋戦争が始まると、軍部によって男同士の恋愛は“国賊”行為とみなされたというー

■「何1つ盗んだわけでもなく、誰かを殺したわけでもない。」
「終戦後も、同性愛に対する偏見やネガティブな価値観は、引きずられた状態のままです。だから令和の時代となった今でも、歴史を学ぼうとしない日本の政治家が、あのような発言を繰り返すのです」
 戦後間もない1950年代初頭、美輪さんは、東京・銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で、専属歌手として活動を始めた。艶麗にシャンソンを歌う美輪さんは一躍人気者に。1957年、『メケ・メケ』がヒットした後に、自ら同性愛者であることを公表した。
 「男が男を、女が女を愛し合っても、人間同士が愛し合うことに変わりはない。同性愛者だからといって人が人を愛したことの何が悪いのか。何1つ盗んだわけでもなく、殺したわけでもない。私が公言することによって、わずかでもプライドを持って生きられる人も出てくるのではないか、そう思っていたのです。
当時は、同性愛者というだけで身内からも非難され、会社にバレたらクビになるような時代。思い悩んで自殺する同性愛者もいました。私は、そういう間違った世の中を変えたかったのです」
 しかし、返ってきたのは強烈なバッシングだった。人気は急落し、道を歩いているだけで、 “バケモノ!”とののしられ、石を投げられたこともあったという。だが、美輪さんは毅然として歌い、舞台に立ち続けた。

■「時代遅れの価値観こそ嫌」
 それから60年、LGBTQのタレントが当たり前のようにメディアで活躍するようになった。「美輪明宏」というパイオニアが時代をひらいたのだー。それだけに、時代に逆行する岸田首相の発言に美輪さんは憤りを覚えている。
 岸田首相は、同性婚は“社会が変わってしまう”とおっしゃいました。その程度の見識しかない人が日本の政治家です。だから日本は、いつになっても世界から“政治は三流国”だと言われるのです。
 “隣に住んでいるのも嫌だ”という発言にしても、あなたの隣にいる人だって、じつはあなたのことを嫌だと思っているかもしれません。“時代遅れで、知識のない人間”と。自分だけが正しいと思い込んでいるので、周りが全然見えていない。つまり、そういう人間は、人に指をさすのではなく、その指を自分にさして物を言うべきなのです。
 同性婚の問題だけではありません。少子化、夫婦別姓の問題など、保守系の政治家は古い価値観にとらわれて、新たな制度改革を進めることに否定的です。いろんな先進国のいい政策やいい制度をもっと取り入れていかないと、日本はますます世界から取り残されるでしょう。

 これまでの歴史、そして世界がどういう価値観でLGBTについて向き合っているか。今回の問題で、日本の政治家がいかに時代遅れで無知であるということが露呈されました。いま問われていることは、正しい見識を持つことなのです」