名古屋入管施設でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった問題で、維新の会の梅村みずほ参議院議員が12日の参院本会議質問に始まり、16日、17日、18日の参院法務委でも、ウィシュマさんの死因を憶測に基づいて「詐病」「ハンガーストライキ」などと発言し同氏を冒涜したことに対して、与野党から批判が続出しています。
梅村議員は18日も、法務委で批判を浴び号泣(日刊ゲンダイ)しながらも、「詐病ではなかったと断定できるのか」などと発言し、ほかの委員から非難の声が相次ぎました。
梅村氏の発言について、維新の会の藤田幹事長は18日、「ウィシュマさんについての事実確認を逸脱し、思い込みや想像の範囲で感情的な質疑をしたことは極めて不適切だ」としてご家族や関係者におわびすると陳謝し、法務委の委員を更迭するとしたうえで、今後党紀委員会に諮って処分を検討する考えを示しました。
梅村氏は18日、東京新聞の取材に対して「一連の発言は撤回しない」と述べました。これは、かつて性暴力被害者支援事業をめぐり「女性はいくらでも嘘をつける」と発言し、LGBTQに関連して「彼らは子どもを作らない、つまり生産性がない」などと暴言を繰り返したものの撤回を拒否した自民党の杉田水脈議員を思い出させます。
維新の関係者によれば、「彼女は以前から周囲の指示を無視し、委員会で想定外の質問を繰り返していたので、党内でも本会議の質問者として登壇させること自体に反対論がありました。しかし幹部らは『まあ、そろそろ表舞台に立たせてやったらよいのでは』と軽い気持ちで登壇を許し、大暴走を招いた」ということです。曰くつきの人物のようです。
馬場伸幸維新の会代表も、会見で梅村氏について「政治家として未熟だ。字面を読めば遺族が『ひどい』と思うのは当然だ」と語りました
NHK、しんぶん赤旗、日刊ゲンダイ、東京新聞の記事を紹介します。
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入管施設で死亡の女性への維新議員発言 法務委でも非難相次ぐ
NHK NEWS WEB 2023年5月18日
入管施設でスリランカ人女性が亡くなった問題で、日本維新の会の梅村みずほ参議院議員が、「ハンガーストライキかもしれない」などと発言し、与野党から批判が出ている問題で梅村議員は、18日も、法務委員会で「詐病ではなかったと断定できるのか」などと発言しほかの委員から非難の声が相次ぎました。
おととし、名古屋出入国在留管理局の施設でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが収容中に体調不良を訴えて死亡した問題では、入管庁が、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告書を公表しています。
この問題をめぐり、日本維新の会の梅村みずほ参議院議員は、17日の法務委員会で、「ハンガーストライキによる体調不良によって亡くなったかもしれない」などと発言しました。
これについて、与野党から「人権感覚を疑う。臆測で名誉を傷つけることがあってはならない」などと批判が出ていました。
しかし、梅村議員は18日の参議院法務委員会でも、「ウィシュマさんが詐病ではなかったと断定できる事実はあるのか」、「支援者の多くが善意の方だが、なかには間違っていることがあるのではないか」などと述べ、ほかの委員からは「亡くなっているんだぞ」などと非難の声が相次ぎました。
維新 藤田幹事長が陳謝 “処分を検討”
梅村みずほ参議院議員の発言について、日本維新の会の藤田幹事長は、18日の記者会見で「ウィシュマさんについての事実確認を逸脱し、思い込みや想像の範囲で感情的な質疑をしたことは極めて不適切だ。党の主張とも相違があり、ご家族や関係者におわびする」と述べ、陳謝しました。
そして、藤田幹事長は、梅村議員について、法務委員会の委員を更迭するとしたうえで、今後、党紀委員会に諮って、処分を検討する考えを示しました。
詐病で人は死なない ウィシュマさん遺族ら 維新議員発言を批判
しんぶん赤旗 2023年5月18日
スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが入管施設で亡くなった事件を巡り、日本維新の会の梅村みずほ参院議員の発言が問題になっています。梅村氏は参院本会議(12日)で、「支援者の一言が『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」と質問。ウィシュマさんの遺族と代理人弁護士らは17日、都内で記者会見を開き、事実でない発言で遺族を深く傷つけたと抗議しました。
会見で指宿昭一弁護士は「支援者の対応が違ったらウィシュマさんは助かっていたかのように言うのは間違いだ」と指摘。駒井知会弁護士は「詐病で人は死なない。ウィシュマさんの尊厳を死してなお踏みにじる」と述べ、謝罪と撤回を求めました。
ウィシュマさんの妹のワヨミさんは「(入管が録画した)姉のビデオを見て病気のふりをしていたと疑うことができる人などいない」。妹のポールニマさんは「遺族の心をこれ以上ないほど深く傷つけた」と批判しました。
ウィシュマさんに面会していた松井保憲さんは「梅村氏はウィシュマさんが難民ではなく不法滞在だったと強調しているが、DV(ドメスティックバイオレンス)被害者であったことを軽視している。帰国すれば同居していた男性から殺される危険を感じていた」と指摘しました。
梅村氏に対して弁護士らは16日に質問状を送付し、ウィシュマさんが「期待」した事実はあるのかと質問。梅村氏は同日の参院法務委員会での質問を利用し「事実はないが可能性はある」と回答していました。17日の会見で弁護士らは「事実でなければ可能性はない」と批判しました。
ウィシュマさん“冒涜”の梅村みずほ議員が国会で号泣…大暴走を阻止できなかった維新の未熟
日刊ゲンダイ 2023/05/19
「真実を追求することが、この国を愛して、この国で亡くなったウィシュマさんの弔いになる」
18日の参院法務委員会で号泣しながらこう言い放ったのは、日本維新の会の梅村みずほ議員だ。
2021年に入管施設で病死したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの死因について、16日の法務委で「ハンガーストライキによる体調不良で亡くなったのかもしれない」と放言。遺族の弁護士から「デマだ」と批判されたが、18日も根拠のない主張を繰り返した。その姿は「異様」の一言だ。
梅村氏は、21年8月に出入国在留管理庁がまとめた調査報告書を基に「ウィシュマさんがハンストをしていなかったと断定できる事実はあるか」と、斎藤法相らを睨みながら質問。
さらに、12日の本会議での「支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」という自らの発言を補強したいがためか、「ウィシュマさんが詐病ではなかったと断定できる事実はあるか」と続けた。
いずれの質問にも、入管庁の担当者から「事実は報告書に記載されていない」との答弁を得ると、鬼の形相で「どこがデマなんですか!」とブチ切れ。「私の根拠はちゃんとあります」とまくし立てた。
「記載がない以上、可能性はある」と言いたいようだが、かなり飛躍した論理だ。入管庁は22年3月の同委員会でウィシュマさんのハンストについて「事実は把握していない」と否定していた。
以前から指示を無視し脱線質問を繰り返す
その後も支援者の対応などについての持論を一方的に展開。他の野党から「何てこと言うんだ!」と批判されると、国会議員が議会での発言の責任を問われない「免責特権」まで振りかざし、「タブーに切り込む」と開き直る始末。可能性だけを積み上げた梅村氏の主張は“妄想”の域を出ない。ファクトを無視した死者への冒涜に等しい。
さすがに、維新は梅村氏を法務委員から更迭。さらなる処分も検討する。音喜多政調会長は遺族らに謝罪し、17日にウィシュマさん関連の質疑禁止を指示したのに、梅村氏が勝手に法務委で言及したと弁解した。
「彼女は以前から周囲の指示を無視し、委員会で想定外の質問を繰り返していた。だから、党内では、本会議の質問者として登壇させること自体に反対論がありました。しかし、幹部らは『まあ、そろそろ表舞台に立たせてやったらええやん』と軽い気持ちで登壇を許し、大暴走を招いたのです」(維新関係者)
馬場代表は梅村氏を「政治家として未熟」とクサしたが、未熟なのは維新という党全体だ。遺族の心の傷にどう向き合うのか。
維新、梅村氏を法務委員から更迭 ウィシュマさん遺族らにおわび
東京新聞 2023年5月18日
日本維新の会の藤田文武幹事長は18日、緊急記者会見を開き、施設収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死亡問題を巡り、同党の梅村みずほ参院議員を参院法務委員から更迭すると発表した。同席した音喜多駿政調会長は「所属議員の不適切な発言により、不快で悲しい思いをされたウィシュマさんとその遺族、関係者に深くおわびする」と謝罪した。
梅村氏は国会質問で、ウィシュマさんが支援者の助言で病気を装ったかのような発言をし、遺族らが抗議していた。音喜多氏は、17日にウィシュマさんに関する質疑の禁止を通達したのに従わず、18日の法務委員会でも言及した点を問題視。「指示を守らず、党の考え方と相いれない極めて不適切な主張を繰り広げた」と処分理由を説明した。
梅村氏は18日、取材に「(一連の発言は)撤回しない」と述べた。維新は事実関係を確認し、さらなる処分も検討する。
馬場伸幸代表も会見で梅村氏に苦言を呈した。「政治家として未熟だ。字面を読めば遺族が『ひどい』と思うのは当然だ」と語った。