2023年5月6日土曜日

2023憲法大集会 東京2万5000人(しんぶん赤旗)

  憲法を守り生かそうと3日、全国で集会やデモが行われました。

 東京・有明防災公園で開かれた2023憲法大集会には、新型コロナ流行以降で最大規模となる2万5000人が参加しました。
 共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の西村智奈美代表代行、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表、社民党の福島瑞穂党首があいさつし、集会後パレードしました。しんぶん赤旗が報じました。
 併せてしんぶん赤旗の「主張 憲法施行76年 9条の力で『戦争国家』阻もう」を紹介します。
 そこでは、岸田政権が推進する敵基地攻撃能力の保有と空前の大軍拡は、日本を「戦争国家」につくりかえる道であり、国の在り方を根底から覆す暴挙であるとし、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認を定めた9条とは到底相いれない「憲法違反の極致述べています。
 そして9条は、日本始めた侵略戦争でアジアの2000万人超の人命と、日本国民の310万人の人命を奪った過ちを再び犯さないと世界に宣言したものなので、それを変えることはアジアと日本の犠牲者たちを裏切ることになると述べています。
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憲法守りあらたな戦前にさせない 全国で集会 東京2万5000人
岸田大軍拡ストップ―この一点で国民的大運動を起こそう
4野党と市民・学者らスピーチ
                      しんぶん赤旗 2023年5月4日
 憲法施行から76年を迎えた3日、憲法を守り生かそうと全国で集会やデモが行われました。東京・有明防災公園で開かれた集会には、新型コロナ流行以降で最大規模となる2万5000人(主催者発表)が参加。日本共産党の志位和夫委員長をはじめ4野党の代表と一緒に、日本を「あらたな戦前にさせない」とアピールしました。集会後、パレードしました。



プラカードを掲げて、アピールする2023憲法大集会の参加者=3日、東京都江東区








 同集会実行委員会の高田健さん(総がかり行動実行委員会共同代表)があいさつし、岸田政権は敵基地攻撃能力の保有を明記した安保3文書を閣議決定するなど戦争の準備をしているが、「やるべきは平和の準備です」と強調。岸田首相が来年9月までの任期中に改憲を目指すと公言したことに触れ、「全国でたたかい、阻止しよう」と呼びかけました。

志位委員長あいさつ
 共産党の志位氏、立憲民主党の西村智奈美代表代行、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表、社民党の福島瑞穂党首があいさつ。参加者と一緒に壇上から「敵基地攻撃能力いらない」などと書かれたプラカードを掲げました。
 志位氏は、岸田政権が進める大軍拡について、「憲法9条も、『専守防衛』もかなぐり捨て、日本を他国の領土を攻撃する『戦争国家』に変える―これが正体だ」と告発。5年間で43兆円の軍事費を捻出するための「軍拡財源法案」のでたらめな中身を批判し、「平和も暮らしも壊す岸田政権の大軍拡ストップ―この一点で立場の違いを超えて大同団結して、この憲法記念日を出発点にして、国民的大運動を起こそう」と訴えました。
 志位氏が、「戦争の準備ではなく、平和の準備を――そのために力を合わせましょう」と訴えると会場から大きな拍手と歓声が湧き起こりました。

 市民3氏によるメインスピーチで、室蘭工業大学教授の清末愛砂さんは、物価高騰の中で賃金の大幅引き上げは実現しない一方、軍事費は約43兆円に増額されようとしていると語り、「力あるものが、力ないものを踏みにじろうとしています」と告発。「あらたな戦前」をとめるために、つながりながら、よりよい社会を求めていこうと話しました。市民連合から、佐々木寛さん(市民連合@新潟共同代表)が連帯あいさつしました。
 集会後のパレードでは、日本共産党の小池晃書記局長らも参加しました。
 6歳の子どもと参加した東京都調布市に住む女性(45)は、「今の政治は私たちの命より経済や軍拡を優先していると、危機感を感じて来ました。『憲法を守り生かせ』と迫りたい」と語りました。


主張 憲法施行76年 9条の力で「戦争国家」阻もう
                        しんぶん赤旗 2023年5月3日
 日本国憲法が1947年5月3日に施行されて、きょうで76年です。今年の憲法記念日は、戦争と平和をめぐって戦後最大の岐路の中で迎えています。岸田文雄政権が推進する敵基地攻撃能力の保有と空前の大軍拡は、日本を「戦争国家」につくりかえる道であり、国の在り方を根底から覆す暴挙です。岸田首相は9条自体の改憲にも固執しています。78年前、侵略戦争に敗れた日本は二度と戦争をしないと誓いました。その原点を否定し、日本を「新たな戦前」に引き戻す企てを許さないために、今こそ力を合わせましょう。

戦後の原点否定許されぬ
 岸田首相は4月25日の自民党改憲実現本部の会合で、来年9月までの党総裁任期中に改憲を実現すると改めて表明しました。9条への自衛隊明記案などは緊急課題とし、「早期に国民に選択してもらう機会をつくる努力をする」と強調しました。改憲発議に向けて衆参の憲法審査会の議論促進を迫ったものです。同審査会では自民、公明、日本維新の会、国民民主などが具体的な改憲項目のすり合わせの議論を加速させています
 岸田政権は、歴代政権が掲げてきた「専守防衛」を完全に投げ捨てて敵基地攻撃能力の保有に踏み出し、周辺国に軍事的な脅威を与えようとしています。戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認を定めた9条とは到底相いれず、憲法違反の極致という他ありません。
 このような乱暴なやり方で9条の実質的な空洞化を進めるのと同時に、9条の条文そのものを改変する明文改憲に本格的に踏み込もうという動きは極めて重大です。
 日本の始めた侵略戦争は、2000万人を超えるアジア諸国民と310万人以上の日本人の命を奪いました。戦争の過ちを再び犯さないと世界に宣言したのが憲法です。確固とした決意は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」と憲法前文に刻まれています。
 3月に死去した作家の大江健三郎さんは1994年、ストックホルムでのノーベル文学賞受賞記念講演で「日本は、再出発のための憲法の核心に、不戦の誓いをおく必要があった…日本人は新生へのモラルの基本として、不戦の原理を選んだ」「この不戦の誓いを日本国の憲法から取り外せば…アジアと広島、長崎の犠牲者たちを裏切ることになる」と力説しました。
 大江さんは2004年に結成された「九条の会」の呼びかけ人の一人となり、講演などに尽力しました。そこでは9条の「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」の「希求」に着目し、敗戦直後の日本人がこの言葉を選んだ意味を問いかけました。憲法が危機にある今、戦後の出発点を想起しなければなりません。

軍事優先の社会にしない
 9条は平和問題だけでなく、自由や人権を守る土台でもあります。国民生活のあらゆる分野が戦争に総動員された国の仕組みは敗戦で解体されました。青井未帆・学習院大学大学院教授は、軍事を否定した9条の意義について「自由が現実に侵害される一歩手前でこれを防ぐ、いわば『防火壁』のような役割を果たす」(『世界』5月号)と指摘します。岸田政権がさまざまな分野で戦争準備体制づくりを狙う中、9条を生かす政治の実現が重要となっています