2023年5月15日月曜日

15- 日中関係 前向き打開のために双方が外交努力を 志位委員長が両政府に呼びかけ

 しんぶん赤旗日曜版に掲題の記事が載りました。
 岸田首相は米国の尻馬に乗って「台湾有事」を言い募り、中国を敵視する発言も躊躇しません。そもそも「台湾有事」は米国が対中戦争を起こすためのまたとない「口実」になるとして言い出したものです。
 それでは客観的にそうした状況にあるのかといえばそんなことはなく、中国は元々台湾侵攻など考えておらないし、現実に両者間では大規模な貿易関係が維持されています。

 仮に中国が台湾に侵攻するとすれば、まず台湾の主要都市をミサイルで叩いてからになりますが、その時点で世界一の半導体工場(いまや10年掛けても日本は追いつけないと言われている)も廃墟と化すので、中国には台湾進攻に何の経済的メリットもありません。
 ただし台湾が独立することになれば中国も黙認はしません。その可能性はどうでしょうか。
 台湾は戦前は日本による統治、1945年には中華民国による統治、1949年には中華人民共和国への併合という苦難の歴史の中で、台湾が独立することは当然の悲願でした。しかし中華民国が進駐した当初は別として、中国に併合されてから70年以上が経って民族の融合が進むなかで、いまでは「対中独立」の思想は知識層の一部に留まっていて現実の運動にはなっていないということです。

 ひたすら米国の主張に追随するというのが岸田首相の方針のようですが、近隣諸国との関係までもそれに従っていてはロクなことはなく、正しい日中関係など望むべくもありません。
 共産党の志位委員長が、岸田政権によって決定的に枉げられようとしている日中関係を前向きに打開するための提言を行いました。
 志位氏が提示した2008年の共同声明での合意「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」を大前提とすることについて、岸田首相「大事な原則であり、日本政府としても維持している」と明言し、在日中国大使はこの合意を今後の両国関係の土台にすることに強い賛意表明したということです。
 また東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしようという「ASEANインド太平洋構想」(AOIAについても、岸田首相と呉大使から、AOIPへの支持・協力が改めて表明されました。
 志位氏は呉大使提言を中国の政府と党の指導部に伝えてほしいと要請し、同大使は共産党が日中関係を重視し、日中関係の厳しさを憂慮している姿勢を高く評価するとのべた上で、提言は全体として中国政府の立場と共通する方向性が多いとのべ、この間合意された政府間の文書を双方が順守することに強い賛意を表明しました。

 岸田首相は、外交上最も重要な日中関係が正しく在るように真剣に考え直すべきです。
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日中関係 前向き打開のために双方が外交努力を 志位委員長が両政府に呼びかけ
                    しんぶん赤旗日曜版 2023年5月14日号
「互いに脅威とならない」 岸田首相も中国大使も提言を肯定的受け止め
 日中両国間には、さまざまな紛争・緊張・対立が存在し深刻化しています。日本共産党は3月に提言「日中両国関係の前向きの打開のために」を発表。志位和夫委員長は、3月30日の岸田文雄首相に続き、5月4日に中国大使館の呉江浩大使と会談し、双方から提言の内容に肯定的な受け止めが寄せられました。8日に記者会見した志位氏は「日中双方の政府にこれを実らせる外交努力を強く求めていきたい」と表明しました。
 党の提言は、日中両政府に平和と友好に向けた三つの共通の土台が存在することに着目し、それを生かして平和と友好を確かなものにしていく外交努力を日中両政府に呼びかけたものです。日中関係を「何としても前向きに打開しなくてはならない。そのために党としての独自の主張を横においてでも、事態を前に動かす」(志位氏)ために行った提言でした。

平和と友好二向けた三つの共通の土台

 1 日中首脳会談の共同声明で「互いに脅威とならない」と合意(2008年)

  尖閣諸島など東シナ海の緊張について「対話と協議」で解決すると確認(14年)

  東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしようという「ASEANインド太平洋

   構想」(AOIP)に日中両国政府も賛意示す

                                   日本共産党「提言」から

 「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」(2008年の日中共同声明)との合意について、岸田首相は「大事な原則であり、日本政府としても維持している」と明言。呉大使からは、この合意を今後の両国関係の土台にすることに強い賛意が表明されました。
 志位氏は記者会見で「それならば、日中双方がこの合意に反する行動をとるべきではない。日本側も『脅威』となる行動をとるべきではないし、中国側も『脅威』となる行動はとるべきではない。日中双方に合意を誠実に履行・具体化する外交努力を行うことを強く求めたい」と述べました。

ASEAN構想を支持
 日本共産党の志位和夫委員長は8日の記者会見で、党の提言「日中両国関係の前向きの打開のために」について、「(日中の)双方から肯定的な受け止めが得られたことは重要だ」と述べました。
 提言で着目した日中両国政府間にある共通の土台の一つに東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしようという「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)への賛意があります。
 志位氏との会談で、岸田文雄首相と在日中国大使館の呉江浩大使から、AOIPへの支持・協力が改めて表明されました
 志位氏は「あれこれの国を排除するのではなく、地域の全ての国を包摂するこの構想が実を結ぶように、ASEANと協力して、日中両国政府が外交努力を行うことを強く求めたい」と述べました。

日中間には共通の土台 志位氏に中国大使が賛意 日本共産党の提言を手渡し会談
 日本共産党の志位和夫委員長は4日、都内の中国大使館で呉江浩大使と会談し、3月に発表した提言「日中両国関係の前向きの打開のために」を手渡して説明し、提言の内容を申し入れました。
 志位氏は、同提言に沿って、その中心点を説明。「これらの共通の土台にたった外交努力で、日中両国関係の前向きの打開をはかる」ことを提起しました。
 そのうえで志位氏は、今回の提言をまとめるにあたって、「両国政府に受け入れ可能な提言にするとともに、現在の事態を前向きに打開するうえで実効性のある提言になるようにした」と述べました。その立場から、岸田政権が閣議決定した「安全保障3文書」に対する日本共産党の立場は明確だが、それを提言のなかには盛り込んでいないこと、中国に対しても、「日本共産党と中国の政府・党との閣にはさまざまな見解の違いがあり、そのことはこれまでも明確に表明しており、わが党の立場に変わりはないが、提言のなかにはすべて入れることにはしていない」と表明しました。
 志位氏は、提言を、中国の政府と党の指導部に伝えてほしいと要請しました。
 呉大使は、同提言について、日本共産党が、日中関係を重視し、日中関係の厳しさを憂慮している姿勢を高く評価するとのべました。
 その上で、提言は全体として中国政府の立場と共通する方向性が多いとのべ、この間合意された政府間の文書を双方が順守することに強い賛意を表明しました。

尖閣問題でも
 尖閣諸島問題では、2014年に日中間で「対話と協議」を通じて解決を図るなど4項目の合意がされています。呉大使は尖閣諸島問題での中国政府の立場をのべたうえで、4項目合意を双方が順守し、賢明に事態を管理していくことが必要との基本精神に賛同するとのべました。
 地域協力の課題について呉大使は、中国政府としてASEANと日中韓3カ国の枠組みを重視しているが、同時にAOIPの基本原則や前向きの内容をふまえ、協力をすすめる用意があるとのべました。
 呉大使は、同提言について、日中関係の前向きの打開する固い信念、期待、歴史的に文書で確立されている諸原則についての意見に賛成するとのべ、今後の対日関係の参考にすることを表明しました。
 会談には緒方靖夫副委員長、小林俊哉国際委員会事務局次長らが、中国側からは張騰波(ちょう・いは)公使参事官らが同席しました。

「核抑止力強化」の動き 見過ごせない大問題  日韓首脳会談 志位委員長が指摘
 日本共産党の志位和夫委員長は8日、国会内で記者会見し、7日に行われた日韓首脳会談について問われ、「日韓首脳会談がシャトル外交というかたちで始まったこと自体はいいことだ」と述べた上で、首脳会談で日米韓の「抑止力・対処力」の強化が確認されたことについて「看過できない動きだ」と指摘しました。
 日韓首脳会談では、日米韓の『抑止力・対処力」の強化が確認され、拡大抑止(核抑止の強化)が話し合われました。
 志位氏は「拡大抑止-核抑止を強化することになると、相手との核軍拡の悪循環が加速する」と強調。北朝鮮問題の解決方法は対話しかないとして「対話のテープルにどうやって北朝鮮をつかせるか。そのための外交の知恵を絞る必要がある」と述べました。
 さらに「核抑止強化」の勣きは、「核兵器のない世界」をめざすとする広島G7(主要7力国)サミットの看板ともまったく矛盾してくると述べました。
 徴用工問題について志位氏は、3月の日韓首脳会談の際の記者会見で「心の通った友好関係を築こうというのならば、岸田首相は歴史問題にどう向き合うかについて、自分の言葉で語るべきだ」と指摘していました。
 岸田文雄首相が今回の会談で「心が痛む思い」と述べたことについて、志位氏は「首相が『心が痛む』と肉声で述べたのは、これで問題解決にはならないが、変化だと思う」と指摘しました。
 その上で、徴用工問題は植民地支配と結びついた人権侵害に問題の本質があるとして「日韓パートナーシップ共同宣言(1998年)の精神に立って被害者の名誉と尊厳が回復されるよう、日韓両政府が引き続き努力していく必要がある」と主張。65年の日韓請求権協定で両国間の請求権の問題は解決されても、被害者個人の請求権が消滅しないことは日韓両政府、両国の最高裁判所が認めているとして「個人の請求権という問題を重視して、すべての被害者の名誉と尊厳が回復されるまで取り組みを続けるべきだ」と重ねて強調しました。

  ASEANインド太平洋構想(AOIP
    東南アジア諸国連合 (ASEAN)が提唱している構想。ASEAN10カ国
   と日米中ロなど8カ国で構成され、毎年首脳会議を開いている東アジアサミットを
   平和の枠組みとして強化し、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望してい
   ます。