5月8日から新型コロナはインフルエンザと同じ「5類」に引き下げられます。
これによって大軍拡の財源が欲しい政府は新型コロナ関連の予算を大幅に縮小できますが、その分はすべて国民の負担に変わります。次の感染拡大「第9波」は第8波より大規模になると懸念されているなかで、これまで無料であった検査代や陽性確定後の医療費が患者の負担に変わります。
暫定措置として高額なコロナ治療薬は9月末まで無料を続けますが、それ以降は例えばラゲプリオが処方されると3万2000円になるなど窓ロでの負担は大幅に跳ね上がります。受診控えや治療の中断を招くのは必至で、国民の命と健康をどう守るのか、国の責任が厳しく問われています。
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新型コロナ あすから5類 大流行の危険有るのに支援縮小
しんぶん赤旗 2023年5月7日
5月8日から、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられます。厚生労働省は病原性が高い新たな変異株が出現していないことなどを理由にしていますが、次の感染拡大「第9波」は第8波より大規模になると懸念されています。国民の命と健康をどう守るのか、国の責任が厳しく問われています。
5類化前の最後の開催となった厚労省の専門家組織の会合(4月19日)では、全国の感染者が緩やかな増加傾向で「第9波の流行が起きる可能性が高い」との見解が示されました。流行先行国の英国と比べ、日本は自然感染によって免疫を獲得した人の割合が低いため、「第8波より大規模の流行になる可能性も残されている」と警鐘を鳴らしています。
高齢化の進んだ日本では「(対策)緩和期の死亡者数は他国と比べて多い状況で推移する可能性がある」とも指摘。医療・介護現場での持続可能な感染対策や、医療へのアクセス確保などが求められると提言しています。
■受診控え必至
しかし厚労省は、5類化後の対策は「国民の自主的な取り組みを基本とする」として、無料としてきた検査代や陽性確定後の医療費に患者負担を強いることなどを正式決定(4月27日)。アクセスの確保どころか、逆に受診控えや治療の中断を招くのは必至です。
厚労省の試算では、窓口負担3割の人の外来診療代は、初診料など2590円だったのが、8日以降は季節性インフルと同程度の最大4170円(解熱剤とコロナ治療薬ラゲブリオを処方)となります。高額なコロナ治療薬は9月末まで無料を続けますが、公費支援がなくなれば窓ロ負担は跳ね上がります。(ラゲプリオが処方されると3万2000円)
入院する割合が高い75歳以上で住民税が非課税でなく年収383万円未満の場合、無料だった入院代は中等症で10日間入院すると3万7600円となり、別に食事代が1万3800円かかると試算しています。10月に公費支援が完全に廃止されれば、自己負担はさらに最大2万円増えます。
■受け入れ懸念
医療体制は、9月末までに「幅広い医療機関による自律的な通常対応に移行」するといいます。入院は全病院の約9割の7300病院と有床診療所約1000の計8300の医療機関で、直近の最大入院者数を上回る5万8000人を受け入れられる体制を整える計画です。
一方で、コロナ対応の診療報酬を引き上げている特例措置や病床確保用の補助金はばっさり削ります。
長年の報酬抑制で厳しい経営が、さらに圧迫されるため、すでにコロナ専門病棟を廃止・縮小する動きが生まれています。受け入れ先の裾野を広げようにも、4月30日付で各紙が報じた共同通信の都道府県調査では、「通常医療との両立」の課題や「経験のない医療機関で(入院や外来の)受け入れが進まないのではないか」との懸念を挙げる自治体が多数でした。「共同」は「(移行計画が)実現するか不透明だ」と指摘しています。
国は自主的に、自律的にと言って支援の縮小を正当化しています。医療逼迫(ひっぱく)を防ごうという本気度はまったく見えません。(松田大地)