2023年5月1日月曜日

改悪入管法が衆院法務委員会で採決!〜あきらめない、闘いは参議院へ

 入管法改悪案が28日の衆院法務委員会で、自民、公明、維新、国民の賛成多数で修正のうえ可決されました。入管法改悪案の概要は
 4月27日)入管法改定案 戦前から続く非人道的な制度を廃案にし国際基準での改正を

等で紹介した通りです。
 共産党と立民は反対しました。
 共産党の本村伸子議員は反対討論で、同改悪案は21年に廃案となった法案とほぼ同じ内容で、「壮絶な不安を抱える方々の悲鳴の声を聴こうとしない政府の姿勢は絶対に許すことはできない」「認定申請中でも本国への送還を可能とするのはあまりにも理不尽だ」と批判し、4党修正案は人権侵害の根本問題を棚上げしており「実効性はまったくない」と強調しました。しんぶん赤旗が報じました。
 併せてレイバーネット日本の記事「改悪入管法が衆院法務委員会で採決!〜あきらめない、闘いは参議院へ」を紹介します。
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自公維国が可決 入管法改悪案強行に抗議
人権尊重の制度に見直せ 衆院委 本村議員が反対討論
                      しんぶん赤旗 2023年4月29日
 日本で暮らす移民や難民の命をさらに危うくする入管法改悪案が28日の衆院法務委員会で、自民、公明、維新、国民の賛成多数で修正のうえ可決されました。日本共産党と立民は反対しました。本村議員の反対討論要旨

 日本共産党の本村伸子議員は反対討論で、同改悪案は2021年に廃案となった法案とほぼ同じ内容で、「壮絶な不安を抱える方々の悲鳴の声を聴こうとしない政府の姿勢は絶対に許すことはできない「本法案を撤回し、国際人権基準にそった人権尊重の制度に徹底的に見直すことを強く求める」と訴えました。
 本村氏はさらに、何回難民申請しても「難民」と認められないのに、認定申請中でも本国への送還を可能とするのは「あまりにも理不尽だ」と批判。親族や支援者に罰則付きで監視させる「監理措置制度」が適用されない限り、常に収容が優先する原則収容主義も維持され、収容にあたっての司法審査も収容期間の上限もないと指摘しました。
 自民、公明、維新、国民の4党が提案した修正案は、難民認定の申請者の聴取にあたって配慮義務などを加えただけで、難民の命を危険にさらす改悪案の中身は何ら変えるものになっていません。立民は当初、修正協議に加わり「第三者機関の設置を検討すること」を付則に盛り込むなどの修正で調整していましたが、最終的に「検討する」では不十分だとして反対しました。
 本村氏は、4党修正案は人権侵害の根本問題を棚上げしており、「実効性はまったくない」と強調しました。


改悪入管法が衆院法務委員会で採決!〜あきらめない、闘いは参議院へ
                   レイバーネット日本  2023-04-29
松本浩美
 4月28日、11時から議員会館前でのシットイン(移住連などが主催)に参加した。4月13日に審議入りし、26日が法務委員会の採決と言われたが流れ、危ないと言われたのが28日。いよいよ法務委員会での採決と言われたのがこの日だ。到着すると、すでにたくさんの人であふれている。50人は超えていただろう。



*採決の直後に抗議のコールが上がった


 ⇒ 動画(8分)



 11時45分。安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)、鎌田さゆり議員(立憲民主・衆院法務委員)、三木恵美子弁護士、渡邊さゆり牧師(アトゥトゥミャンマー支援)、師岡康子弁護士、高畠修さん(川崎市で反ヘイトスピーチ活動)、金井真紀さん(文筆家・イラストレーター)、高谷幸さん(移民研究者)、児玉晃一弁護士、アフシンさん(当事者。難民認定されず30年近く非正規滞在者として過ごす)などがスピーチを行い、反対を訴えた。

●午後2時過ぎ採決。法務委員長の職権で強行
 午後1時過ぎ、法務委員会で質疑開始。初夏を思わせる陽気の中、さわやかな風が吹き抜ける。隣の参院会館前には、謎のノーマスク集団。耳障りな言葉ががなり立てられる中、スピーカー越しにインターネット中継を聴く。
 寺田学議員(立憲民主・秋田1区)が「入管庁のやり方に反対ばかりしていてはダメ」などと耳を疑うような発言を繰り返す。続く沢田良議員(維新・埼玉15区)の「入管庁の職員は粉骨砕身でがんばっている」(要旨)という発言にたまりかねた移住連の鳥井一平さんがマイクを握り抗議する。
「仮放免者を助けてきたのは地域に住む市民です。寄付を集めたり、子どもたちのために服や学習教材を用意したり、市民が助けてきたんです。入管じゃありません。議員の皆さん、もっと勉強してください! きちんと現実を見てください!」
 最後に反対の立場で共産党の本村伸子議員が質問に立つ。「そもそも法案審議において、参考人質疑で当事者、家族、弁護士、支援者の声が反映されていません。そのこと自体が当事者を置き去りにしています。参考人として弁護士、支援団体の声を聴くべき」と力強く訴える。
 終了予定の1時間が近づいてきた。人々が集まってくる(200~300人程度か?)。「採決反対!」「採決やめろ!」のコールが湧き上がる。スピーカーの近くで耳をそばだてながら中継を聞いていた人も、立ち上がる。中には国会議事堂に向かって「やめろーっ!」と叫ぶ人も。鳥井さんもマイクを握り「入管法改悪反対!」。午後2時過ぎ、採決。意外なほどあっけない瞬間だった。
 本村伸子議員が駆けつけてあいさつ。「そもそも難民認定の狭すぎる問題を解決しないで、第三者審査機関をつくらずに採決を強行するのは絶対に許すわけにはいきません!」。
 鎌田さゆり議員(立憲民主党)は泣きながら、「ごめんなさい」と謝った。「理事会で、絶対に採決すべきでないと訴えました。参考人質疑も足りない。立法事実もそろっていない。しかし、委員長の職権で採決に至りました!」
 鎌田議員の話を聞くうちに、涙が出てきた。悔しい。周囲の人たちも泣いている。なお、今回の蛮行を行った法務委員長は伊藤忠彦議員(自民・愛知8区)である。

●闘いは参議院へ
 鎌田議員は続ける。「法案が参議院へ行ったら、2年前につくった野党の対案を提出します。今回の政府案との違い、国際的に人の命を大切にしているのかを明らかにします」。
 最後に鳥井さんが行動提起とともにスピーチした。「入管法改悪反対の動きは全国各地で広まっている。すでに始まっている多民族多文化共生社会。国籍も在留資格も投票権も関係なく、誰一人として取り残されることのない社会をつくっていきましょう!」。
 国会前シットインはこれからも続く予定。ぜひともご参加を。入管法改悪NO!
*予定は移住連HPなどで確認してください(https://migrants.jp/index.html
↓法務委員会を傍聴したウィシュマさん遺族と指宿昭一弁護士が囲み取材に応じていた。

↓4/26のレイバーネットTVでは入管問題を特集した。
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