2023年5月17日水曜日

入管法改悪 「親と引き離される」 クルドの子ども切々 野党ヒアリング

 入管法改悪案は親の在留資格が認められず、日本で生まれたり幼少期に来日したりした子どもにも難民申請中の強制送還を可能とするものです。改悪案の審議が参院法務委員会ではじまるのを前に15日、参院に法案を共同提出した野党4会派国対ヒアリングを開催し、トルコ国籍のクルド人難民などの子どもや支援者から聞き取りが行われました。

 子どもたちは、在留資格を奪われ、親と引き離されるかもしれない恐怖を語り「単に日本で生きてきただけなのに犯罪者扱いをされ意味が分からない」と話し就労が許されず、許可なしでは居住する都道府県の外へ移動ができないなどの実態も出されました
 入管法改悪案反対する野党各党が「難民問題国対ヒアリング」を開くのは今回が初めてで、今後、当事者や支援者からの聞き取りなどを定期的に行うとしていますしんぶん赤旗が報じました。
 併せて同紙の記事「入管法改悪案 廃案に向け全力 小池書記局長が会見」を紹介します。
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「入管法改悪やめて」 国会内外で 
「親と引き離される」 クルドの子ども切々 野党ヒアリング
                       しんぶん赤旗 2023年5月16日
 外国人の人権を無視し、命を危険にさらす入管法改悪案の審議が参院法務委員会ではじまるのを前にした15日、国会内では外国人支援をしている団体・個人や弁護士、就労や移動に制限がある「仮放免」での生活を強いられている当事者らが会見や国会議員との懇談を行い、「入管法の改悪は止めて、家族みんなに在留資格がほしい」と訴えました。参院に法案を共同提出した野党4会派も国対ヒアリングを開催。「政府案の問題点を追及し、真の入管法改正を実現させたい」と述べました。


(写真)クルド人難民らの子どもたちから実情を聞いた難民問題国対ヒアリング=15日、国会内


 入管法改悪案をめぐり、反対する野党各党が、「難民問題国対ヒアリング」を開くのは初めて。今後、当事者や支援者からの聞き取りなどを定期的に行います。16日から日本共産党や立憲民主・社民、れいわ、沖縄の風の野党4会派が共同提出した対案も参院法務委員会で改悪案と合わせて審議されます。反対する野党議員による街頭宣伝も行われる予定で、改悪案撤回に向け国会内外で徹底抗戦していく構えです。

 ヒアリングでは、トルコ国籍のクルド人難民などの子どもや支援者から聞き取りが行われました。親の在留資格が認められず、日本で生まれたり幼少期に来日したりした子どもに退去強制が命じられることが問題となっています。改悪案はこうした子どもにも難民申請中の強制送還を可能とします。
 子どもたちは、在留資格を奪われ、親と引き離されるかもしれない恐怖を語りました。
 定時制高校4年生の女性は「単に日本で生きてきただけなのに犯罪者扱いを入管からされて意味が分からない」と話しました。中1の男性は、子どもだけ残されても「生活できないし何もすることができない」と訴えました。
 「4回ほどアルバイトに応募しても採用されない」(高1女性)、「ディズニーランドに行きたかったが、その夢もかなわない」(中2女性)など―在留資格がなく就労が許されず、許可なしでは居住する都道府県の外へ移動ができないなどの実態も出されました。
 難民支援をするライターの織田朝日さんは、子どもにも親にもビザを出してほしいと訴えました。
 日本共産党の本村伸子衆院議員は、斎藤健法相が「子どもたちの置かれた状況に寄り添って在留特別許可を運用したい」と答弁したとして、現場に徹底させるよう「超党派で皆さんと力を合わせていく」と表明しました。


入管法改悪案 廃案に向け全力 小池書記局長が会見
                       しんぶん赤旗 2023年5月16日
 日本共産党の小池晃書記局長は15日、国会内で記者会見し、参院法務委員会で審議が始まる入管法改悪案について、政府案への対案を共同提出した日本共産党、立憲民主・社民、れいわ新選組、沖縄の風の野党4会派での取り組みの計画を示し「全力をあげて廃案に向けてたたかいぬきたい」と表明しました。
 小池氏は、政府案への対案として野党4会派が難民等保護法案と入管法改正案を共同提出したことを紹介。参院法務委員会では野党案の審議も並行して行い、野党で街頭宣伝や国対ヒアリングも実施していくと述べ、政府案の廃案へ「全力をあげる」と語りました。同日の野党国対ヒアリングの中ではクルド人の子どもたちの切実な声が出されたとして「法案審議に大いに生かしたい」と述べました。
 また、参院の審議にあたり、与党が衆院での審議時間を参考にすると述べているものの、衆院では2年前に骨格が同じ同法改悪案の審議が一定行われ、参院では行われていないと指摘。「衆院での審議時間は参考・基準にならない」と強調し、「参院では野党の対案も出ている。十分な時間をとった徹底的な審議、現地調査、地方公聴会等求めていきたい」と述べました。
 小池氏は、日本の今の入管行政について、戦前は内務省が管轄し、特高警察が担当していたものが戦後引き継がれていると指摘。「そういう流れの中で、保護よりも管理、徹底した隠ぺい・強権体質が残されている。日本の入管行政の民主的な根本的改革を求めて頑張りぬきたい」と表明しました。