2023年5月31日水曜日

審査の実態不透明 難民問題で野党 参与員を聴取

 入管法改悪案に関する国対ヒアリングが29行われ、難民認定に不服を申し立てた外国人の審査を行う難民審査参与員から、処理件数や内容など審査実態について聞き取りを行いました。
 21年に参与員に就任した女性2人は、これまでの処理件数は1人が対面2件、書面1件の計3件。もう1人は対面1件、書面3件の計4件のみで、両参与員は、郵送される資料の読み込みや、それだけでは足りない国ごとの情報などは自身で調べるので、「真剣に審査するとなればかなりな時間がかかる」「書面審査だけでも月2件やるのが限界ではないか」と語りました。
 2年間で2000件超を処理したという柳瀬房子難民審査参与員在籍する大量の案件を迅速に処理するための「臨時班」の存在について、両参与員とも「知らなかった」と説明しましたしんぶん赤旗が報じました。
 改悪法案における柳瀬房子氏に関する立法事実の信憑性が失われた以上この法案は撤回されるべきです。そもそもこれほどまでに非常識な事実を担当部門が知らなかった筈はないのに、敢えてそれを立法事実(立法の根拠)にするとは入管庁が如何にいい加減でデタラメな部署であるかを示すものです。
 併せて田中龍作ジャーナルの記事「入管法改悪大詰め 難民申請者『ここで自殺する』」を紹介します。
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審査の実態不透明 難民問題で野党 参与員を聴取
                       しんぶん赤旗 2023年5月30日
 入管法改悪案をめぐり難民問題に関する国対ヒアリングが29日、国会内で開かれ、難民認定に不服を申し立てた外国人の審査を行う難民審査参与員から、処理件数や内容など審査実態について聞き取りを行いました。
 ヒアリングでは、2021年に参与員に就任した女性2人が発言。これまでの処理件数は1人が対面2件、書面1件の計3件。もう1人は対面1件、書面3件の計4件のみだといいます。就任前の研修は「内容が通り一遍でとても不安があった」と話しました。
 両参与員は、郵送される資料の読み込みや、それだけでは足りない国ごとの情報などは自身で調べ「真剣に審査するとなればかなりな時間をかけてやることになる」「書面だけでも月2件やるのが限界ではないか」と語りました。
 一方、「申請者の中に難民はほとんどいない」と発言した難民審査参与員の柳瀬房子氏の処理件数は、2年間で2000件超に上ります。柳瀬氏が在籍する大量の案件を迅速に処理するための「臨時班」の存在について、両参与員とも「知らなかった」と説明。野党議員は「ブラックボックスになっている」と指摘しました。


入管法改悪大詰め 難民申請者「ここで自殺する」
                    田中龍作ジャーナル 2023年5月30日



【写真説明】難民申請を3度却下されたミューチョウチョウさん(左端)と支援者。=30日、参院会館前 撮影:田中龍作=



 この国の政府は人の命を何だと思っているのだろうか。
 3回目以降の難民申請者を本国に強制送還できるようにする入管難民法の改悪法案が、あさって1日にも参院法務委員会で採決される可能性が高い。
 危機感を募らせた当事者や支援者約200人が国会周辺に集まり「入管難民法改悪反対」の声をあげた。
 軍事政権のミャンマーから17年前(2006年)、命からがら日本に逃れてきたミューチョウチョウさん(37歳)の姿があった。
 高校1年生の時から民主化運動に携わっていたミューさんは軍事政権に7回も逮捕された。
 2005年に出獄。翌年、ブローカーの手引きでミャンマーを出国し日本に辿り着いた。
 ミューさんは3回目の難民申請を却下され、現在は不服申し立て中だ。改悪法案が可決成立し実施されたら、強制送還となる。
 ミューさんは民主活動家であると同時にミャンマー軍事政権が目の敵にするロヒンギャである。強制送還されれば処刑は免れない。
 田中はバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを取材したことがある―
 軍事政権は2017~18年にかけてロヒンギャ掃討を本格化し、村ごと焼いたり、赤ん坊を生きたまま火の中に投げ込んだりする蛮行を繰り広げた。このためロヒンギャ80万人がミャンマーから脱出した。
 極端に低い日本政府の難民認定率。不認定の結論を出す審査員にケースが集中する。それも極度に。難民認定させないように入管が仕向けているとしか考えようがない。
 日本政府は難民を受け入れませんよ、と言っているに等しいのだ。
 「強制送還されるくらいだったら、ここで自殺する」。前出のミューチョウチョウさんは淡々と語った。
                 ~終わり~