2023年5月29日月曜日

入管が〝送還ノルマ″ 送還忌避者〝縮減の月間目標″

 共産党の仁比聡平議員は26の参院予算委で、入管が「送還忌避者」について「月間縮減計画」を定め本国送還を強制してきたことを厳しく批判しました。
 事情により帰国できない人達について月間に何人送還するかのノルマを決めるとは余りにも非人道的で、「ひとくくりに送還忌避者呼ばわりするのは、難民条約、自由権規約、子どもの権利条約が求めるわが国の義務を損なう」と糺しましたが、斎藤健法相は「行政上の義務だ」などと開き直りました。恐ろしい発想です。

 難民問題に関する国対ヒアリングが26開かれ、「仮放免者」のスリランカ国籍で夫のナヴィーンさんと日本人配偶者のなおみさんから聞き取りを行いました。
 ナヴィーンさんは、当時内戦が続くスリランカから迫害を逃れるために04留学生として来日しましたが、日本語学校が突然閉鎖されたことで非正規滞在となりました。
 なおみさんとナヴィーンさんは16年に結婚したのですが、担当の入管職員は配偶者ビザ」を認めませんでした。しかし別の職員からは「偽装結婚と疑っていない」正反対の言われ方をするなど、全て入管(担当者)の判断で決められるブラックボックスだ」と批判しました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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“送還ノルマ”で人権侵害 入管法改悪やめよ 仁比議員が実態示し批判
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日
参院予算委
 日本共産党の仁比聡平議員は26日の参院予算委員会で、入管施設での死亡事件の根源には「“送還ありき”というわが国の入管収容あるいは行政の人権侵害の構造がある」と主張し、入管がノルマを定め、事情により帰国できない人の送還を強制してきたことを厳しく批判し、政府案の撤回を求めました。(関連記事下掲

 仁比氏は、2年前に名古屋入管で亡くなったスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんの妹ワヨミさん、ポールニマさんが岸田文雄首相宛てに書いた手紙を紹介。手紙は、飢餓状態にあったウィシュマさんが病院での点滴を懇願しても聞き入れられずに死亡したとして、「姉は入管に殺された」「姉の死の真相を明らかにして、入管の責任をはっきりさせて」と訴えています。
 岸田首相は「このような事案、二度と起こさないために、法務省においてしっかりと改善策に取り組んでもらいたい」と答えました。
 名古屋入管はウィシュマさんが亡くなる前月、ウィシュマさんが求めた収容施設からの一時的な解放(仮放免)を却下し、その理由に「仮放免を不許可にして立場を理解させる」ことを挙げていました。
 仁比氏は、さまざまな事情で帰国できない人がひとくくりに「送還忌避者」とされ、入管の判断だけで帰国意思を示すまで自由を奪われ続けてきた「拷問のような人権侵害」を批判しました。
 法務省は2018年以降(19年から入管庁)「送還忌避者」の縮減目標を定め、各入管に毎月目標を設定させ達成状況を報告させるという“送還ありきのノルマ”を課してきました
 仁比氏が22、23年には縮減目標に関する通知文書が出されてないと指摘すると、入管庁の西山卓爾次長は「各地方官署から本庁への報告等は行わせている」「引き続き重要な課題だ」と答弁し、今もなお縮減目標を立てて取り組んでいることを明らかにしました。
 仁比氏は、22年以降、通知文書が出ていないのは、21年にウィシュマさんが亡くなり、今回と同じ骨格の入管法改悪案が廃案に追い込まれたことで「ノルマを課す取り組みが明るみに出るのを恐れたのではないか」と追及。斎藤健法相は、こうした入管の取り組みは「行政上の義務だ」などと開き直りました。


入管法改悪 外国人の実態みて政府案は棚上げに 仁比議員が主張
                       しんぶん赤旗 2023年5月27日
 日本共産党の仁比聡平議員は26日の参院予算委員会で、さまざまな事情で帰国できない外国人を政府が「送還忌避者」とひとくくりにしている問題を追及しました。入管法改悪案で強制送還の恐怖にさらされている人々の実態を訴え、徹底した審議の継続と政府案の棚上げを求めました
 仁比氏は、2021年末に送還忌避者とした3224人のうち、1年間で「在留特別許可」「難民認定」「人道配慮」で在留資格を得た人がいるとし、「直ちに送還どころか保護された人が120人も含まれている」と指摘しました。
 また、22年末の送還忌避者4233人のうち、退去強制令書の発布後も4割が5年以上滞在、うち半数は10年以上だとし、「早くに難民認定されていれば永住資格につながるような定着性の高い人たちがいる」「ひとくくりに送還忌避者呼ばわりするのは、難民条約、自由権規約、子どもの権利条約が求めるわが国の義務を損なう」とただしました。
 そのうち295人が18歳未満の子どもで、今回の入管法改悪で、強制送還されるのではないか、家族がばらばらにされるのではないかと恐怖にさらされています。「わが国で家族とともに、安心して働き暮らせるようにすることこそ、国の責務ではないか」と迫る仁比氏に斎藤健法相は、「送還忌避者をひとくくりに犯罪予備群のようには言っていない。いろんな(事情の)人がいるのはその通り」と認めながら「子どもの扱いについては真剣、前向きに検討する」と述べるにとどまりました。
 仁比氏は、政府案が通れば3回以上の難民申請で強制送還の法的な対象になってしまうと指摘。「実態を踏まえた徹底審議、政府案は棚上げが当然」と迫りました。岸田文雄首相は「法案の取り扱いについては、法務委員会で決めるべき」と述べるだけでした。


配偶者 在留認めて 入管法 国対ヒアリングで当事者訴え
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日


第5回難民問題国対ヒアリングで発言する当事者の(左から)ナヴィーンさんと、なおみさん=26日、国会内


 難民問題に関する国対ヒアリングが26日、国会内で開かれ、一時的に入管施設への収容を解かれた「仮放免者」のスリランカ国籍で夫のナヴィーンさんと日本人配偶者のなおみさん(仮放免者等の在留資格を求める日本人配偶者の会)から聞き取りを行いました。
 ナヴィーンさんは、当時内戦が続くスリランカで父親と政治活動を行ったことを理由に襲われ、迫害から逃れるため2004年に留学生として来日。日本語学校が突然閉鎖し、在留資格を継続できず非正規滞在となりました
 なおみさんとナヴィーンさんは16年に結婚。入管に日本人の配偶者として在留特別許可を求めましたが、入管職員は「結婚しているだけでは配偶者ビザは認められない」と言われ、別の職員からは「あなたたちの結婚は偽装結婚と疑っていない」と言われるなど、正反対の対応を受けたと証言。なおみさんは「同じ事例でも、タイミングによって認められない。全て入管の判断で決められるブラックボックスだ」と批判し、「入管の権限を拡大するもので、(政府の)法案に断固反対だ」と述べました。
 ナヴィーンさんは、3回の収容と長期にわたる仮放免からストレスで重度のうつ病になったと証言。「先の見えない状態で生きている。一日でも早くビザを出してほしい。家族のために働き、税金を納め、ちゃんとした生活をしたい」と訴えました。