2024年3月4日月曜日

裏金真相解明ないまま大軍拡の予算案を強行

 裏金事件をめぐり、衆院政治倫理審査会では1日、安倍派(清和政策研究会)事務総長を務めた西村康稔・前経済産業相と松野博一前官房長官らが出席し、質疑を行いましたが、「派閥運営にかかわっていなかった」(西村氏)など責任逃れの答弁を繰り返しました。証人喚問などの必要性が一層明らかになりました。

 衆院予算委員会の小野寺五典委員長の解任決議案を議題に衆院本会議が日午後開かれ、山野和則議員が立民党を代表して解任決議案について2時間57分に渡り趣旨説明を行いました。
 共産党の宮本徹議員は本会議で解任決議賛成討論を行い、裏金事件の真相究明と金権腐敗の一掃が「政治への信頼を回復する上で、今国会に課せられた最大の使命だ」と指摘し、質疑を打ち切り、予算案採決を迫る岸田首相の姿勢を「真相究明に背を向け、裏金事件の幕引きを狙うもので言語道断だ」と批判しました。
 国民の暮らし破壊と大軍拡の24年度予算案が2日、衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決しました。自民党派閥の裏金事件をめぐり、国民の厳しい批判が巻き起こるなか、政府・与党が説明責任を全く果たさないまま、予算案だけは衆院を通過させるという暴挙。共産党、立民党、維新の会、国民党、れいわ新選組は予算案に反対しました。

 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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疑惑隠して予算案強行 裏金幕引き許さない 衆院 共産党は組み替え動議
                        しんぶん赤旗 2024年3月3日
 国民の暮らし破壊と大軍拡の2024年度予算案が2日、衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決しました。自民党派閥の裏金事件をめぐり、国民の厳しい批判が巻き起こるなか、政府・与党が説明責任を全く果たさないまま、予算案だけは衆院を通過させるという暴挙。日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組は予算案に反対しました
 予算案をめぐり、1日には政府・与党が採決強行の構えをとるなか、日本共産党の宮本徹議員は「疑惑隠しの審議打ち切りは許されない」と抗議し、真相究明と徹底審議を強く要求。立民が予算委員長の解任決議案に続き、鈴木俊一財務相不信任決議案を提出するなど与野党の攻防は深夜まで及び、仕切り直しとなり、翌2日、異例の「土曜国会」で予算委員会が開かれました
 一方、自民、立民両党の国対委員長が同日会談し、
▽参院で来年度予算が成立した後、しかるべき時期に、衆参両院の予算委員会での集中審議を行う
▽引き続き「政治とカネ」の問題について、参考人招致などの協議を継続し、政治倫理審査会で申し出のある議員の弁明及び質疑を行う
▽4月以降、衆院に「政治改革特別委員会」(仮称)を設置する
―ことを確認し、2日の本会議での予算案の採決に合意しました。日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日、8党・会派の国対委員長会談で「きょうの予算案の採決には反対だ」と主張しました。
 予算委員会で日本共産党は予算案を抜本的に組み替える動議を提出。大軍拡計画を撤回して軍事費を大幅に削減し、物価高騰から暮らしを守り、経済を立て直す政策への転換を求めましたが、自民、公明両党などの反対で否決されました。
 2日の本会議で反対討論に立った宮本氏は「国民を裏切る裏金づくりを何十年にもわたって行いながら、その真相究明にすら後ろを向き、幕引きを図ろうとする岸田政権に、暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くない」と訴えました。
 本会議では所得税法、地方税法、地方交付税法等の改定案がそれぞれ与党などの賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。


24年度予算案に対する宮本徹議員の反対討論(要旨)
                       しんぶん赤旗 2024年3月3日
 日本共産党の宮本徹議員が2日、衆院本会議で行った2024年度予算案に対する反対討論の要旨は次の通りです。
 本予算の大問題は第一に、中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を積極的に担うために憲法違反の長射程ミサイルの開発・大量取得、米軍再編経費など8兆円もの過去最大の軍事費を盛り込んだことです。
 雇用調整助成金の勘定から1964億円も軍拡財源に回す一方、被災地で苦しむ事業者への雇用調整助成金の日額上限はコロナ禍の半分程度です。軍事費は民主党政権時に比べ3兆円増えます。大学無償化に必要な予算は2兆円との答弁があり、軍拡より教育無償化を優先すべきです。
 沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設は即刻中止し、普天間基地は無条件返還を迫るべきです。激戦地だった沖縄南部の遺骨混じりの土砂を埋め立てに使うなど人の道に反し、断じて許せません。軍拡競争で緊張を高め合うのではなく、絶対に戦争にしない平和外交こそ進めるべきです。
 第二の大問題は、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金は大盤振る舞いの一方、物価高騰に苦しむ国民への支援や賃上げは全く不十分なうえ、国民生活に追い打ちをかける負担増まで狙っていることです。
 総理は、子育て支援の財源確保は「実質的な負担が生じない」と説明してきましたが、1・1兆円もの医療・介護の公費負担削減は、利用者への重い負担増とサービス削減をもたらし、「実質的な負担が生じない」とは全くのまやかしです。
 医療保険の仕組みを使うため、同じ収入でも国保加入者の負担が大きく、また、高額所得者ほど負担が軽く不公平です。在宅介護を崩壊させる訪問介護の基本報酬引き下げも撤回すべきです。
 ケアワーカーの賃上げが2・5%では、この2年の物価高騰にも追いつきません。人手不足の危機的状況の解決のため、全産業平均以上に引き上げるべきです。物価を上回る賃金の底上げ、5年で10兆円規模の大胆な中小企業、小規模事業者支援を行い、年金は実質削減をやめ、物価並みに引き上げ、物価を引き下げる消費税減税に踏み切るべきです。
 自民党の派閥ぐるみで国民を裏切る裏金づくりを何十年も行いながら、その真相究明にも後ろを向き幕引きを図る岸田政権に暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くありません。カネの力で動く政治から国民の声で動く政治へ、アメリカ・財界におもねる政治から国民の暮らしに寄り添う政治へ、企業・団体献金の全面禁止へ、日本共産党は力を尽くします。