イスラエルが続ける軍事作戦によりパレスチナ・ガザ地区の多くの住民に飢饉が差し迫っている問題で、世界保健機関のテドロス事務局長は21日、イスラエルに対し、「より多くの検問所を開放し、水や食料、医薬品などの人道援助物資のガザヘの搬入と輸送を促進することを求める」と訴え、ガザでの即時停戦も要求しました。
事態の悪化を受け、各国が空路や海路から食料を届ける最近の動きについては、「歓迎すべきことだ」としながらも、「大規模輸送を可能にするのは、検問所の開放の拡大だけだ」と強調しました。
欧州連合(EU)は21日、ブリュッセルで首脳会議を開き、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢について「継続的な停戦につながる即時の人道的な戦闘休止」を求める文書を採択しました。イスラエル側が構えを示すガザ南部ラファヘの地上侵攻にも反対する姿勢を明確にしました。
会議に出席した国連のグテレス事務総長は会議に先立って記者団の取材に応じ「ガザには停戦が必要だ」とした上で「国際人違法の基本原則は、民間人の保護だ。ウクライナでもガザでも二重基準なしに原則を貫かなければならない」と主張しました。
国連安全保障理事会は22日、パレスチナのガザ地区での「持続的な即時停戦が必要不可欠」だとする米政府提案の決議案を否決しました。アルジェリアは「決議案は平和への明確なメッセージを含んでいない。停戦を課す内容に強化されるべきだ」と指摘し、ガイアナは「人為的につくり出された惨劇は即時停戦なしに止めることはできない。即時停戦を求めることが安保理の責任だ」と述べました。いずれも米国案の欺瞞性を指摘しています。
ネタニヤフは22日公開した動画で、ガザの最南部ラファヘの地上侵攻について「米国の支持を得て実施したいが、やむを得なければ単独で行う」と述べ、ジェノサイドの続行を表明しました。
イスラエルのスモトリッチ財務相は22日、ヨルダン川西岸のヨルダン渓谷の土地800ヘクタールを国有地とすることを宣言しました。ロイター通信が伝えました。
パレスチナ外務省は「われわれの祖国から、われわれ人民を抹殺・排除し続けでいる」と非難し、入植活動を監視するピース・ナウは、1993年のオスロ合意以降、一回の接収面積としては最大だとしました。入植は言うまでもなく国際法違法です。
しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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飢饉迫るガザ 検問所開放拡大こそ イスラエルにWHO事務局長訴え
しんぶん赤旗 2024年3月23日
イスラエルが続ける軍事作戦によりパレスチナ・ガザ地区の多くの住民に飢饉(ききん)が差し迫っている問題で、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は21日、イスラエルに対し、「より多くの検問所を開放し、水や食料、医薬品などの人道援助物資のガザヘの搬入と輸送を促進することを求める」と訴えました。ガザでの即時停戦も要求しました。
スイス・ジュネーブで記者会見したテドロス氏は、ガザでの5歳未満の子どもの栄養失調は、紛争前には1%未満だったものが現在、16%に跳ね上がっていると述べ、「ほとんど全ての家庭ですでに毎日、食事を抜いたり、子どもに食べさせるために大人が食事を減らしたりしている」と説明。適切な水や衛生設備の不足、病気などの複合的な影響で、「子どもたちが命を落としている。全ての世代の未来が、深刻な危機にひんしている」と語りました。
事態の悪化を受け、各国が空路や海路から食料を届ける最近の動きについては、「歓迎すべきことだ」としながらも、「大規模輸送を可能にするのは、検問所の開放の拡大だけだ」と強調しました。
同氏は、ガザの医療体制が引き続き苦しい状況にあることにも言及。医療従事者やその協力者に医薬品や食料、燃料を届けようとしても、イスラエルに「しばしば拒否され、妨害されている」と語りました。
イスラエル軍によるガザ最大規模のシファ病院への急襲や同病院周辺の軍事行動については「非常に懸念する」と発言。「現在、病院へのアクセスは不可能で医療従事者が拘束されているとの報告もある」とし、同日予定していた病院への輸送は、安全が確保されず、中止せざるを得なかったとし、「医療機関は保護されるべきであり、軍事化されるべきではない」と訴えました。
停戦ヘガザ攻撃やめよ EU首脳会議ラファ侵攻に反対
しんぶん赤旗 2024年3月23日
欧州連合(EU)は21日、ブリュッセルで首脳会議を開き、イスラエルが攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザ地区の情勢について「継続的な停戦につながる即時の人道的な戦闘休止」を求める文書を採択しました。イスラエル側が構えを示すガザ南部ラファヘの地上侵攻にも反対する姿勢を明確にしました。
文書は、ガザの人道状況に関し「前例のない民間人の犠牲と危機的な人道状況に驚愕(きょうがく)している」と強調。即時の戦闘休止に加え「すべての人質の無条件解放、人道支援の提供を求める」と要請しました。
ラファについては「すでに壊滅的な人道状況を悪化させ、緊急に必要な人道支援の提供を妨げる」として侵攻をやめるよう呼ぴかけました。
文書はガザヘの支援物資の搬入が「不十分」だとも指摘。EUのフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で「ガザは飢饉(ききん)にひんしている。あらゆるルートで迅速に、安全に人道支援を届けることが不可欠だ」と述べました。
会議に出席した国連のグテレス事務総長は会議に先立って記者団の取材に応じ「ガザには停戦が必要だ」とした上で「国際人違法の基本原則は、民間人の保護だ。ウクライナでもガザでも二重基準なしに原則を貫かなければならない」と主張しました。 ウクライナ問題では、ロシアヘの経済制裁の一環で凍結した資産から生じる利子や配当を、対ウクライナ軍事支援に活用する案に関し「計画を前に進める」ことでも合意しました。
ガザ「停戦」明記するも要求せず 国連安保理 米国案を否決
しんぶん赤旗 2024年3月24日
【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は22日、パレスチナのガザ地区での「持続的な即時停戦が必要不可欠」だとする米政府提案の決議案を否決しました。常任理事国のロシアと中国が拒否権を行使しました。日本を含む11カ国が賛成し、アルジェリアが反対、ガイアナが棄権しました。
中口が拒否権行使
パイデン米政権はこれまでガザでの停戦を求める決議案には繰り返し反対してきました。しかしイスラエルを擁護する姿勢への批判が国内外で高まり、国際的孤立を深めるなか、今回は「即時停戦」という文言を盛り込んだ決議案を自ら提出した形です。
ただ決議案は即時停戦を〝要求する″という言葉は使わず、その必要性に言及しているだけです。また{すべての人質の解放と結びつけてそのような停戦を確保するための、現在進行中の国際的な外交努力を支持する」として条件を付けました。
アルジェリアは「決議案は平和への明確なメッセージを含んでいない。停戦を課す内容に強化されるべきだ」と指摘しました。
ガイアナは「決議案は即時停戦を求めていない」と批判。「人為的につくり出された惨劇は即時停戦なしに止めることはできない。即時停戦を求めることが安保理の責任だ」と述べました。また「停戦の要求は入質解放と結び付けたり、条件を付けたりするべきではない」と強調しました。
ロシアと中国も決議案が停戦を求めていないことを反対理由に挙げましたJ
トーマスグリーンフィールド米国連大使は採決後の発言で、ロシアと中国の拒否権行使について「単に米国提案の決議案に賛成したくないだけだ。(イスラム組織)ハマスを非難することを拒否している」などと主張しました。
ラファ侵攻作戦 「支持なくても」ネタニヤフ首相
しんぶん赤旗 2024年3月24日
【イスタンブール=時事】イスラエルのネタニヤフ首相は22日公開した動画で、パレスチナ自治区ガザの最南部ラファヘの地上侵攻について「米国の支持を得て実施したいが、やむを得なければ単独で行う」と述べ、米国の意向に反してでも作戦に踏み切る可能性を示唆しました。
イスラエルを同日訪問したブリンケン米国務長官はネタニヤフ氏との会談後、記者団に対し、国際社会が反発するラファ侵攻は「イスラエルを世界で一段と孤立させ、長期的な安全を危険にさらす」と指摘。「さらに多くの民間人が犠牲となり、人道支援も二層混乱する恐れがある」として自制を促しました。
西岸の800ヘクタール国有地に イスラエル財務相が宣言
しんぶん赤旗 2024年3月24日
イスラエルのスモトリッチ財務相は22日、占領するヨルダン川西岸のヨルダン渓谷の土地800ヘクタールを国有地とすることを宣言しました。ロイター通信が伝えました。
スモトリッチ氏は「われわれは懸命に入植を推進する」と述べ、入植地建設の土地利用を促進する意向を示しました。
パレスチナ外務省は「われわれの祖国から、われわれ人民を抹殺・排除し続けでいる」と非難しました。
入植活動を監視するピース・ナウによれば、1993年のオスロ合意(パレスチナ暫定目治宣言)以降、一回の接収面積としては最大で、今年の接収面積は過去最大となる見通しです。
スモトリッチ氏は、ネタニヤフ首相の連立政権に加わる極右政党の党首。自身も入植地に住み、入植地建設を一貫して支持してきました。
イスラエルが67年の戦争で奪った土地に入植地を建設することについて、多くの国は国際法違法だと批判しています。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。