2024年3月4日月曜日

戦争に反対、言論の自由を擁護し、英国労働党を除名になった人物が選挙で当選 

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
 イギリス労働者党(WPB)を率いるジョージ・ギャロウェイが補欠選挙で主要政党の候補者に圧勝しました。有権者ガザでの虐殺嫌悪しその虐殺を支えているイギリスの政治家嫌悪した結果です。
 労働党は歴史的に親イスラエルでしたが、1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラで引き起こされた3000人以上ともいわれる虐殺事件で党内の雰囲気が変わり、親パレスチナ変化しまし
 ギャロウェイは元々労働党の党員で、2003年に米国が主導するイラクへの侵略戦争を批判し、その年に除名されるまで労働党の議員を務めていました。
 なお20年4月4日に新しく労働党の党首になったキア・スターマーは、イスラエルに接近しガザにおける住民虐殺に反対していないということです
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戦争に反対、言論の自由を擁護し、英国労働党を除名になった人物が選挙で当選 
                         櫻井ジャーナル 2024.03.04
 イギリス労働者党(WPB)を率いるジョージ・ギャロウェイが補欠選挙で主要政党の候補者に圧勝、リシ・スナック首相や有力メディアから罵詈雑言を浴びせられている。イギリス政府がガザでの虐殺を支援していることに怒っている有権者によってギャロウェイは当選したと本人は考えているようだ。
 ギャロウェイは元々労働党の党員で、2003年にアメリカが主導するイラクへの侵略戦争を批判、その年に除名されるまで労働党の議員を務めていた。その後、米英両国政府によって拘束されているウィキリークスのジュリアン・アッサンジを支援、最近ではイスラエルによるガザでの虐殺に反対している。

 労働党は歴史的に親イスラエルだったのだが、1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラで引き起こされた虐殺事件で党内の雰囲気が変わり、親パレスチナへ変化した
 この虐殺はベイルートのキリスト教勢力、ファランジスト党が実行したのだが、同党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧し、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。虐殺の黒幕はイスラエルだった。そしてイギリス労働党の内部でイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなったのだ。

 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)である。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが組織の目的で、少なからぬメディアの記者や編集者が参加していた。
 そうした中、イスラエルに接近していったのがトニー・ブレア。この人物はオックスフォード大学で富豪の息子が加盟できるブリングドン・クラブのメンバーだった。
 ブレアは1994年1月に妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。

 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。
 レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。ブレアはイラクへの先制攻撃を正当化するため、偽文書を作成している。

 ブレアはジェイコブ・ロスチャイルドやエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドと親しいが、首相を辞めた後、JPモルガンやチューリッヒ・インターナショナルから報酬を得るようになる。
 こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年9月から党首を務めることになったのがジェレミー・コービン。労働党的な政策を推進しようとした政治家で、アッサンジを支援、イスラエルのパレスチナ人虐殺を批判している。
 そうした姿勢に米英の支配層は怒り、アメリカやイギリスの情報機関はコービンを引きずり下ろそうと必死になり、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと攻撃されて党首の座から引き摺り下ろされた
 そして2020年4月4日に労働党の党首はキア・スターマーに交代、イスラエルに接近し、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだということをアピールしていた。イスラエル軍によるガザにおける住民虐殺にスターマーは反対していない

 ギャロウェイが勝利したロッチデールでの補欠選挙はイギリスの現状を明確にしたと言える。有権者はガザでの虐殺に嫌悪し、その虐殺を支えているイギリスの政治家に嫌悪している。彼らは怒っているのだ。アメリカではガザでの虐殺を支援する政府に抗議して空軍の軍人、アーロン・ブッシュネルは彼のメッセージを世界へ届けるため、自らの体に火をつけた。そうした怒りが政策に結びついたなら、社会は変わるのだろう。
 ドンバスでの民族浄化作戦を阻止するために軍事介入したロシア軍を西側の有力メディアは罵り、ウクライナのネオ・ナチ体制を賛美しているが、これも構造は同じだ。