国連児童基金の事務局長は17日、ガザでのイスラエルの軍事攻撃によって、これまで1万3000人以上の子どもが殺されたことを明らかにしました(またガザの保健当局は、パレスチナ人全体の死者数は少なくとも3万1645人で、7万3676人が負傷したことを明らかにしました)。
そしてガザ北部の子どもの31%、2歳未満の3人に1人が急性栄養失調に苦しんでいて、生き残ることができても一生涯、発育不全等に悩まされる危険性が高いとラッセル氏は述べました。
一方、イスラエル軍は18日、ガザ北部のシファ病院を17日に急襲し、病院に避難していた民間人が多数死亡しました。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長は17日、「ガザで深刻化する飢饉は受け入れることができない」として「人質が解放され、より多くの人道援助がガザに届くためには、連やかな停戦合意が重要だ」と主張しました
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ガザ 子の殺害1・3万人 ユニセフ発表 生き残っても栄養失調
しんぶん赤旗 2024年3月19日
国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は17日、放映された米CBSテレビのインタビューで、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事攻撃によって、これまで1万3000人以上の子どもが殺されたことを明らかにしました。
ラッセル氏はガザでの子どもの犠牲者数について「ぞっとする膨大な数だ」と述べ、さらに数千の子どもが「負傷している。もしくはどこにいるのかも特定されずがれきの下敷きになっているかもしれない」と語りました。
また、ガザの子どもたちの多くが深刻な栄養失調に苦しみ、生き残ることができても一生涯、発育不全等に悩まされる危険性が高いことを告発しました。
昨年10月7日以降、イスラエルによる軍事攻撃で殺された、パレスチナ人の子どもも含めた全体の死者数は、少なくとも3万1645人で、7万3676人が負傷しました。ガザ保健当局が17日に発表しました。
栄養失調も深刻です。ガザ北部の子どもの31%、2歳未満の3人に1人が急性栄養失調に苦しんでおり、ラッセル氏は、「確実なのは(支援物資が)十分に入ってきていないことだ」と述べました。
現在行われている支援物資の空中投下や海路輸送では、「どちらの場合もバケツの中の一滴だ」として、陸路輸送の多くの課題の解決が必要だということを改めて強調しました。
イスラエル軍はガザ各地で、空爆などの軍事攻撃を継続しています。メディアの報道によると中部ヌセイラットで15日夜、イスラム教のラマダン(断食月)期間中の食事を取ろうと集まった家族・親族36人が、イスラエル軍の空爆で殺害されたといいます。17日夜も、同地難民キャンプの民家がイスラエル軍に爆撃され、死傷者が出ました。
一方、イスラエル軍は18日、ガザ北部のシファ病院を17日に急襲したと発表しました。同軍はイスラム組織ハマスの幹部が同病院を使用しているという情報に基づいて作戦を行ったと主張。ガザ保健当局によれば、同軍の急襲が原因で、病院に避難していた民間人の間で多数の死傷者が発生したといいます。
迅速な停戦合意 EU委員長主張 飢饉に危機感
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は17日、カイロで記者団の取材に応じ、ガザで深刻化する飢饉(ききん)は受け入れることができないとして「人質が解放され、より多くの人道援助がガザに届くためには、連やかな停戦合意が重要だ」と主張しました。
フォンデアライエン氏はこの日、エジプトのシシ大統領と会談。シシ氏は、イスラエル側が示唆するガザ地区南郎ラファヘの軍事行動について「ガザの市民が苦しむ人道的大惨事を倍増させるだろう」と指摘。EU諸国と共にラファヘの地上侵攻を拒絶することで合意したと語りました。
交渉での妥協を否定 休戦巡りネタニヤフ氏
しんぶん赤旗 2024年3月19日
【イスタンブール=時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止と人員解放に向けた間接交渉に関し、イスラエルのネタニヤフ首相は17日、自国を「弱体化させる」合意では「和平を前進どころか後退させるだけだ」と述べました。仲介役を交えたハマスとの交渉が近くカタールで再開するとみられる中、ハマスに安易な妥協はしない姿勢を強調した格好です。休戦合意までの道のりは依然厳しい状況です。
間接交渉は今月上旬、エジプトの首都カイロでハマスが参加して行われましたが、イスラエルは出席せず、成果なく終了しました。イスラエルのメディアによれば、同国政府は17日夜、カタールヘの代表団派遣を了承。代表団は対外情報機関モサドのパルネア長官が率いており、18日に到着するもようです。協議はイスラエルとハマス双方が歩み寄りを図れるかが焦点です。
ハマスは交渉再開に先立ち、イスラエルが収監するパレスチナ囚人700~1000人と人質の一部を交換することなどを含む新たな休戦案を提示しました。
一方、イスラエルが計画中のパレスチナ自治区ガザ最南部ラファヘの侵攻について、ネタニヤフ氏は17日、「われわれはラファで作戦を行う。それは必ず起こる」と撤回の考えがないことを強調しました。ただ、約150万人の避難民らの退避を優先する意向を表明し、人命重視をアピールしました。