海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。この記事は「2023年2月11日からの再投稿」となっています。
なお著者は最初の部分で「我々(米国)」と書いているので米国人かと思いがちですが、それは文章のあやで実は豪州連邦の人のようです。
「米国の侵略の記録」と見出しを打っているところでは、
「我々の危険な同盟国=米国は、何世紀にもわたり国内外で戦争と暴力に溺れてきた。戦争は自国の権力と権威を保持し、可能であれば強化する手段だと考えている。戦争と戦争という脅しは米国の政策の継続的な特徴である。短期間の孤立主義時代を除けば、米国はほとんど常に戦争状態にあった。2世紀以上にわたり、米国は多くの政府を倒し、転覆させてきた。影響力と富を得るために戦争に依存する」と米国を酷評しています。
これはやや古いですが、かつて掲載した別の記事と完全に一致しています。
⇒(15.2.28)アメリカは建国後合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた
更に「米国は戦争のない10年間を過ごしたことがない。1776年の建国以来、米国はその93%の期間に戦争をしてきた。これらの戦争は、自国の半球から太平洋、ヨーロッパ、そして最近では中東にまで及んでいる。第二次世界大戦後におきた248の武力紛争のうち、米国は201を起こした。~ 冷戦時代、米国は72回も他国の政権を変えようとした」
ことも明らかにしています。
それに対して中国は違っているとして
「中国は40年間、国境の外で軍事活動を行っていない。米国のように世界中に軍事力を誇示することもない。~ 中国にはオーストラリアや米国を攻撃する意図も能力もない。自国の国境を守る以上の軍事的侵略の歴史もない。中国はジブチに1つだけ外国の基地を置いているが、これは主に海賊対策のためである」
それにもかかわらず「白人のメディアは、米国の侵略と暴力からは目をそらすが、ありとあらゆる方法で中国を非難する」として、「その中国が、米国やその同盟国から自国を守るための軍事力を持たなければならないと決意したのは驚くべきことではない」
と述べています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米国は自分の攻撃的な暗い鏡を通して中国を見ている
耕助のブログNo. 2093 2024年3月20日
The US sees China through the dark mirror …
… of its own unbridled aggression
by John Menadue
中国が成長し繁栄するにつれて、多くの米国人々は、米国自身が追求したのと同じ道 ―世界的な軍事侵略、世界中の多くの政府の転覆、国内での少数民族の迫害など、を中国がたどるだろうと私たちに信じさせようとしている。
中国と米国の国の象徴は国際関係を示している。
漫画風に描いたVectorのイラスト(省略)
しかし、これまでの記録は、中国がそれとは異なることを示唆している。
2022年3月14日付のブラウン・ポリティカル・レビューで、元米上級外交官のチャス・フリーマンが述べているように、中国は米国のようなモンロー・ドクトリンを持たないし、米国のように考え、行動もしていない。
中国が我々(米国)に取って代わろうとしているという証拠はあまりない。彼らは大きく成長し、成功を収めているため、いくつかの領域で私たちに取って代わりつつある。中国が我々の世界的な支配と覇権を奪おうとしているのだろうか?していない。しかし私たちはそう主張している。私たちは、中国も私たちと同じように考え、同じように行動していると主張しているのだ。「われわれはマニフェスト・デスティニー(明白な使命)を持ち、太平洋を横断してフィリピンに到達した。したがって、中国もモンロー・ドクトリンやマニフェスト・デスティニーを念頭に置いているに違いない」と。これは間違っている。物事はそうなっていない。つまり、私たちは自分たちのプロパガンダを吸い込み、それが生み出す適当に酔った状態の中で生きているのだと私は主張したい。健全な政策があれば、私たちは誰にも負けない。しかし、私たちが見ているのは健全な政策ではなく、ライバルを引きずりおろすことなのだ。{1}
米国の侵略の記録
「我々の危険な同盟国」は、何世紀にもわたり国内外で戦争と暴力に溺れてきた。戦争は自国の権力と権威を保持し、可能であれば強化する手段だと考えている。戦争と戦争という脅しは米国の政策の継続的な特徴である。
短期間の孤立主義時代を除けば、米国はほとんど常に戦争状態にあった。
2世紀以上にわたり、米国は多くの政府を倒し、転覆させてきた。影響力と富を得るために戦争に依存する、国家の中の国家ともいえる軍事・ビジネス複合体を持っている。その専門家たちの多くは恐怖を煽ることで制御不能に陥っている。{2}を参照。
米国は他国を否定する道徳的優越性があると思い込んでいる。自らの独善に目がくらんでいる。自分たちの「例外主義」、つまり「明白な運命」を持つ「選ばれた人々」だと信じている。
アメリカの指導者層はかなり不安定になっているように見える。ロシアと欧州をつなぐ自国のノルド・ストリーム・ガスパイプラインを爆破したとロシアを非難したこともある。
シーモア・ハーシュは、『米国がノルドストリーム・パイプラインを破壊した』と指摘している。当時、ホワイトハウスは、アメリカを非難するのは『虚偽であり、完全な作り話だ』と述べた。CIAは『(米国を非難するという)この主張は完全に、まったくの虚偽である』と述べた。このような否定のパターンはありふれたことで、ほとんどの西側メディアはワシントンの見解を聖典のように受け入れる。ニューヨーク・タイムズ紙はパイプラインの破壊を『謎』と呼んだ。そして、いつものようにオーストラリアのメディアはおとなしくそれに従った(見ないで、何でもないんだ)!
私は、ほとんど常に戦争状態にある国と“手を組んで″いることの危険性について何度も注意を喚起してきた。事実は明らかである。米国は戦争のない10年間を過ごしたことがない。1776年の建国以来、米国はその93%の期間に戦争をしてきた。これらの戦争は、自国の半球から太平洋、ヨーロッパ、そして最近では中東にまで及んでいる。第二次世界大戦後におきた248の武力紛争のうち、米国は201を起こした。ここ数十年、これらの戦争のほとんどは失敗に終わっている。米国はオーストラリアを含め、世界中に800もの軍事基地や軍事施設を維持している。米国は日本、韓国、グアムに大規模な軍事施設と軍隊を配備している。
冷戦時代、米国は72回も他国の政権を変えようとした。多くの外国の指導者が暗殺された。ジェフリー・サックス教授は、「アメリカ帝国主義の致命的な犠牲」の中で、次のように述べている:
米国の軍事作戦の規模には目を見張るものがある…米国は、米国に友好的でないとみなされる政府を転覆させるために、秘密裏に、またあからさまな手段を用いてきた長い歴史がある…歴史家のジョン・コーツワースは、米国が主導して政権交代に成功した41のケースを数えている。{3}何世紀もの間、28か月に1回の割合だ。{3}
ホンジュラス、グアテマラ、イラン、ハイチ、コンゴ、インドネシア、日本、ベトナム、チリ、イラク、アフガニスタン、そして最近ではシリアなど、外国政府の転覆や干渉は多岐にわたる。
この干渉は、2014年に米国が支援したマイダンのクーデターによってウクライナの親ロシア政権が弱体化した際にも続いた。ゴルバチョフとレーガンは、ドイツの再統一を認める際、NATOは東方には拡大しないことで合意した。しかし米国の後押しを受け、NATOは挑発的にロシアの国境まで拡張した。ロシアが抵抗するのは当然である。
アメリカは最近、香港で起きた「民主的な」暴動を奨励した。それはほぼ成功した。{4}
「私たちの危険な同盟国は、私たちを中国との戦争に引きずり込む可能性がある」{5}に関する私の以前のコメントを参照。
中国の記録は異なる。
中国は40年間、国境の外で軍事活動を行っていない。米国のように世界中に軍事力を誇示することもない。中国はモンロー・ドクトリンを持っておらず、そのようなものに関心を示していない。
中国にはオーストラリアや米国を攻撃する意図も能力もない。自国の国境を守る以上の軍事的侵略の歴史もない。中国はジブチに1つだけ外国の基地を置いているが、これは主に海賊対策のためである。
その中国が、米国やその同盟国から自国を守るための軍事力を持たなければならないと決意したのは驚くべきことではない。
もし中国の艦船がカリフォルニア沿岸やフロリダキーズ沖をパトロールしたら、米国はヒステリーを起こすだろう。あるいは、中国がメキシコを拠点にB-52型航空機を持っていたら米国は大騒ぎするだろう!
米国は、中東で何千万人もの人々の死と混乱に責任を負ってきた。しかし、われわれ白人のメディアは、米国の侵略と暴力からは目をそらすが、ありとあらゆる方法で中国を非難する。反中国人種差別は根深い。
中国は新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港、台湾といった地域に多くの多様な人口を抱えている。その他14カ国と陸上で国境を接している。当然のことながら、中国は国内問題と国境を守ることに重点を置いている。
もし中国が帝国であれば、とっくの昔に無防備なモンゴルを飲み込んでいただろう。国境を接しているモンゴルは民主的で鉱物資源に恵まれ、ウクライナの2倍以上の面積がある。
中国の軍事的意図に関する主要な作家のコメント{6}を参照。中国には我々を攻撃する意図も能力もない。
米国は、自国が何世紀にもわたってそうしてきたように、中国が世界中で攻撃的な行動をとると信じている。
オウム返しにルールに基づく国際秩序と言うが、海洋法、イラク侵攻、ディエゴガルシア占領のように、都合のいい時にはルールを破ったり無視したりする。
アメリカは、自国の社会と経済が破綻していることを直視するのを避けるために、中国の一省である台湾をめぐって中国を戦争に駆り立てることで、競争相手を攻撃し、機能不全に陥れようとしている。
第一次世界大戦、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争では、私たちは忠実な植民地として一緒に行動した。ほとんど危険はなかった。祖国に対する真の脅威はなかった。
それが今、徐々に主権を米国に譲り渡してしまったことで変わってきている。それは、ジュリア・ギラードがダーウィンに米海兵隊を置くことに同意した時から始まった。その後、2014年のアボットの戦力態勢協定、そして最近では、ティンダルでのB-52、中国を攻撃するためのAUKUSでの豪陸軍と米国の融合、さらには、豪国防軍の多くが米国と「相互運用性と互換性」を持つようになった。
米国の代理人として、また中国に対する槍玉として行動することは、われわれを歴史上初めて攻撃の標的にすることになる。
マールス国防相は、わが国の主権を守ることについて理解していない。彼には好奇心が欠けている。彼はあまりにも長い間、ワシントンからの情報をそのまま垂れ流してきた。
彼はAUKUSが「オーストラリアの主権を強化する」と言う。本気なのだろうか?
アルバネーゼもマールスも、ワシントンが振付を担当したモリソンとダットンの足跡をたどるのだ。
彼らがやっていることを、内閣や議員連盟は関心があるのだろうか?
2023年2月11日からの再投稿
Links:
{1}https://brownpoliticalreview.org/2022/03/the-foreign-service-diplomacy-and-the-u-s-china-fight-for-primacy-an-interview-with-chas-freeman/#article-top
{2}https://www.thenewdaily.com.au/news/2023/02/03/china-war-michael-pascoe
{3}https://www3.bostonglobe.com/opinion/2016/10/30/the-fatal-expense-american-imperialism/teXS2xwA1UJbYd10WJBHHM/story.html?arc404=true
{4}https://johnmenadue.com/us-hostility-towards-hong-kong-exposed-for-all-to-see/
{5}https://johnmenadue.com/best-of-2022-our-dangerous-ally-could-drag-us-into-war-with-china/
{6}https://johnmenadue.com/best-of-2022-china-has-neither-the-intent-nor-the-capability-to-attack-us/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。