2024年3月9日土曜日

飢饉阻止 緊急措置を ガザ 南ア、国際司法裁に要請

 イスラエルがパレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員12名が10月7日のハマス奇襲に関与したと発表したのを受けて、米国などがUNRWAへの運営資金の拠出を停止したのに倣って、日本政府も拠金を停止しました。これによって唯一の細々とした食料供給の道が断たれたガザの人たちは、いまや餓死という現実に直面しています。
 国際司法裁判所ICJに対し、イスラエルのガザ攻撃がジェノサイド(集団殺害)条約に違反しているとして訴え南アフリカが6日、ガザで広範な飢餓が起きている状況を受けて、ICJが新たな暫定措置を発するよう申し立てを行いました。
 申し立ては「100万人の子どもを含むガザの230万人のパレスチナ人の安全を緊急に確保するため」、審理を省いて暫定措置を発するよう要請する内容になっています。切迫した悲劇を止めるために裁判所は今こそ行動する必要がある」との声明を出しました。
 しんぶん赤旗が報じました。
 日本政府は直ちにUNRWAへの資金拠出を再開すべきです。仮に12人の関与が真実であっても230万人を犠牲にしてよいということにはなりません。ましてやイスラエルからはいまだにその証拠は提出されておらず、デマ宣伝だった可能性が濃厚なのでなお更です。

 併せて櫻井ジャーナルの記事「ガザで虐殺しているイスラエル軍を擁護するために西側メディアは作り話を使う」を紹介します。
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飢饉阻止 緊急措置を ガザ 南ア、国際司法裁に要請
                        しんぶん赤旗 2024年3月8日
 国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に対し、イスラエルのガザ攻撃が特定の人種や民族の殺害を禁じたジェノサイド(集団殺害)条約に違反しているとして訴えている南アフリカが6日、ガザで広範な飢餓が起きている状況を受けて、ICJが新たな暫定措置を発するよう申し立てを行いました。

 南アの申し立ては、「100万人の子どもを含むガザの230万人のパレスチナ人の安全を緊急に確保するため」、審理を省いて暫定措置を発するよう要請。南ア大統領府は、「全面的な飢饉(ききん)の脅威が現実のものとなっている。切迫した悲劇を止めるために裁判所は今こそ行動する必要がある」との声明を出しました
 南アは昨年12月に、ICJに提訴し、ICJは1月26日に、ジェノサイド防止のためのあらゆる措置をとるようイスラエルに命じる暫定措置を発出しました。イスラエルは、この暫定措置に従わず、ガザへの軍事攻撃や人道支援の制限を続けたため、ICJは南アの要請を受けて2月16日、イスラエルに対し暫定措置を順守するよう求める決定を行いました。
 ガザ保健当局は6日、シファ病院とカマルアドワン病院で15歳と72歳のパレスチナ人が脱水状況と栄養不良で死亡したと発表。この2週間で同様の症状で亡くなったのは20人となりました。ただし病院にたどり着けずに亡くなる人も多いとみられ、餓死者の数はさらに多い可能性もあります


ガザで虐殺しているイスラエル軍を擁護するために西側メディアは作り話を使う 
                         櫻井ジャーナル 2024.03.08
 イスラエル軍がガザで行っていることはパレスチナ人の虐殺である。ハマスとの戦闘による「付随的な被害」ではない。そうした大量虐殺を西側の有力メディアは被害を小さく見せると同時に、イスラエル軍を擁護している。イスラエル軍を擁護する主張のひとつが「ハマスの戦闘員によるレイプ」という話だ
 この話について「紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表」のプラミラ・パッテンが率いるチームが調査し、その報告書を3月4日に発表した。面談、写真や映像の分析を実施したというが、イスラエル側の主張を裏付ける証言や証拠は見つからなかったという。

 キブツ・ベーリ攻撃の余波で家族とはぐれ、上半身が裸になった状態の少女が発見されたともされているが、報告書によると、現場はイスラエルの爆弾処理班によって改竄され、遺体は移動されていたと指摘されている。調査チームのメンバーはベエリでの性的暴力を確認できなかったと語っている。
 チームが入手できた写真やビデオの医学的評価ではレイプの具体的な兆候は確認できず、性的な暴力行為を具体的に描いたデジタルの証拠はオープンソースで発見されなかったとしている。しかも調査チームはレイプの被害者をひとりも見つけられなかったことを認めた。

 パッテンによると、彼女のチームはイスラエル政府系ロビー団体による「圧力」を受けて派遣され、彼女はイスラエルに15日間滞在したのの対象、パレスチナには2日間だけだったとしている。ナハル・オズ軍事基地、キブツ・ベエリ、ノヴァ音楽祭の会場、道路232号線などへの訪問はイスラエル政府の「支援」がある場合だけだったともいう。要するにイスラエル政府の管理下でなければ現場へ入れなかったということだろう。またパッテンたちはイスラエルの軍、治安機関のシン・ベト、国家警察と何度か会談しているという。レクチャーを受けたということだろう。
 ハマス(イスラム抵抗運動)がイスラエルを攻撃したのは昨年10月7日だが、​その直後、IDF(イスラエル国防軍)のデイビッド・ベン・シオンなる人物が記者に語り、その話を西側の有力メディアやイスラエル外務省、そしてジョー・バイデン米大統領が広めた。バイデン大統領は10月10日、ホワイトハウスにおけるユダヤ教の指導者たちに対する演説で赤ん坊に対する残忍な行為を描いた写真にショックを受けたと主張しているのだ。
 しかし、アメリカ政府はすぐに大統領の発言を撤回、IDFも「公式には確認できない」と訂正する
 発信源のベン・シオンはヨルダン川西岸の違法入植者の指導者で、今年初めにはヨルダン川西岸でパレスチナ人に対する暴動を扇動したと伝えられている。今年2月、彼はパレスチナのフワラ村を一掃するように呼びかけていた。
 ベン・シオンのような狂信的なシオニストは昨年4月1日、イスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺。4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクに突入し、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃した。そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。

 法医学的結論は訓練を受けていないボランティアが不正確で信頼性の低い結論を出しているとパッテンのチームは批判している。ハーレツ紙から死体を演出の材料と考えていると批判されているZAKAを指していると考えられている
 専門知識に欠ける人は肛門拡張を肛門貫通と解釈するが、広範囲の火傷損傷がある場合は肛門拡張になり、重度の火傷による体の姿勢は開脚など、やはり性的暴力の兆候であると解釈されることもあるという。ハマスがレイプしたという話を作り上げる材料を欲しがっている人はそのように解釈することになるだろう。
 イスラエル政府や西側の有力メディアを欲求不満にしているパッテンのチームだが、決して反米ではない。
 アメリカ/NATOが地下要塞を建設し、ネオ・ナチで編成された親衛隊のアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)が拠点にしていたマリウポリをロシア軍が解放した際、彼女は「マリウポリでロシア兵が女性に対して性的な犯罪行為を軍事戦略として行なっていた」と発言している。
 それに対してAFPの記者に証拠が示されていないと指摘。パッテンは自分がいたのはニューヨークのオフィスで、調査はしていないと開き直っている。今回のケースでは被害者も証拠も見つけられないまま、性暴力が10月7日に発生したという「明確で説得力のある」情報を発見したと主張している。