2024年4月24日水曜日

学術会議は平和の要石/学術会議法人化に異議 総会で批判次々

 岸田政権は昨年12月、学術会議を国の機関から切り離し法人化する方針を決定し、外部者らが学術会議の会員選考や運営に関与する「助言委員会」、大臣が任命する「監事」「評価委員会」などを新設するとして、415日には、同会議の在り方を検討する有識者懇談会に、組織体制と会員選考のワーキンググループを設置し具体的な検討を進めています。
 こうした動きが学術会議「法人」の独立性を担保するものではなく、逆に政府が合理的に干渉できるようにするためのものであるのは明らかです。
 しんぶん赤旗のシリーズ「こんな政治でいいのか」における栗田禎子千葉大教授インタビュー記事と「学術会議法人化に異議 総会で政府方針に批判次々」の記事を紹介します。
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こんな政治でいいのか 私も言いたい 学術会 平和の要石
    千葉大挙教授 前日本学術会議会員 粟田禎子さん
                        しんぶん赤旗 2024年4月21日
 日本学術会議「法人化」の企てが急速に進んでいます。これは2020年秋の「任命拒否」事件以来の、政府による学術会議への介入、学術会議つぶしの動の最終段階です
 「任命拒否」事件直後から、政府は学薯会議の「あり方」自に問題があると言いだしました。そして22年12月に。設置形態は変えないものの国の機関であるからには学術会議は政府と「問題意識を共有」すべきだとし、会員選考等に対しても統制を強める方針を示したのです。しかし学術会議の独立性を侵害するものだとして国内外から批判の声上がり、学術会議も改悪法案提出を思いとどまるよう求める「勧告」を発した(23年4月)結果、政府は法案提出断念に追い込まれました。

 これを受けて政府が出してきたのが今回の「法人化」計画です。今度は一転して「学述会議の独立性の担保が重だ」とし、「そのために国から切り難し法人化する}としているのですが、「財政基盤の多様化」(財界等から資金獲得)を求めると共に、運営や会員選考方針等についても「外部」の目を入れる必要性を強調し、大臣が任命する監事や評価委員会を置くなどむしを介入統制を一層強め、学術会議の活動の自由を奪おうとする意図が鮮明です
 学術会議は1949年、戦前の日本で「学問の自由」が保障されず、学術が軍国主義に奉仕ざせられた反省の上に設立された、日本の科学者の代表機関です。科学が文化国家・平和国家の基礎だとの信念に基づき、国の機関であると時に時の政権からは独立した立場で、行政や産業、国民生活に関する科学的提言を行ってきました。今「学術会議つぷし」の動きが進んでいるのは、このような学術会議の性格が現政権にとって不都合だからだと考えられます。
 「安保法制」制定以来、政府は米国と一体化して戦争できる体制づくりに邁進し、国等と共同の武器開発・武器輸出にも乗り出しています。学術をはじめ社会全体を戦争に動員しようとしており、科学者の独立性を体現する学術会議が邪魔になっているのでしょう。学術会議への攻撃を市民と科学者の共闘ではね返すことは、日本が戦争に向かう流れを食い止める上で重要です   (聞き手 田中佐知子)


学術会議法人化に異議 総会で政府方針に批判次々
                      しんぶん赤旗 2024年4月23日



日本学術会議の第191回総会=22日、東京都港区



 政府が日本学術会議の独立性を損なう法人化を狙うなか、同会議は22日、東京都内で総会を開きました。会員からは、政府案への批判とともに学術会議として積極的に対案を示していくべきだとの訴えが相次ぎました。
 岸田文雄政権は2023年12月、学術会議を国の機関から切り離し法人化する方針を決定。外部者らが学術会議の会員選考や運営に関与する「助言委員会」、大臣が任命する「監事」「評価委員会」などを新設するとしています。今月15日には、同会議の在り方を検討する有識者懇談会に、組織体制と会員選考のワーキンググループを設置し、具体的な検討を進めています
 総会の議論では「政府には法人化の必要性と合理性を明示的に説明する責任があるのに、一切示していない」「学術会議が国の機関であることは、政府が学術の意見に耳を傾ける姿勢をもっていることを国内外に示すものだ」など、法人化への反対意見が次々表明されました。

 学問が国に弾圧された戦前の歴史と、学術会議の会員任命拒否問題に言及した上で、学術会議が法人化された後の日本の将来を危惧する声もあがりました。光石衛会長は、「(政府側で)学術の活動が理解されないまま議論が進んでいる」と指摘。1949年に設立された学術会議の「75年の歴史が途切れる状況に陥りつつある」と危機感を示し、「途切れさせない任務をわれわれは負っている」「ここ3カ月が勝負だ」と述べました。
 同日、学術会議前では、軍学共同反対連絡会が宣伝行動し、政府の狙いは、軍事研究に反対してきた同会議の弱体化だとし、学術会議に市民との対話を求めました。