2024年4月20日土曜日

ガザ 母親6千人が犠牲 親失った子1万9千人(しんぶん赤旗)

 国連女性機関「UNウィメン」は16日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区では過去6ヵ月間に1万人のパレスチナ人女性が殺害され、そのうち6000人は母親で、片親または両親を失った子どもが1万9000人になったと明らかにする報告書を出し即時停戦を求めました。
 報告書によれば現在のガザでの水の供給レベルは昨年10月に戦闘が始まる以前の7%にまで下がり、飲料水や生活用水が十分に得られない女性や少女は110万人に上ります。そしてガザ住民は真水より30倍も塩分量の多い井戸水の活用を余儀なくされ幼児や妊婦、腎臓病患者の健康上の危険が高まっています。

 イスラエルは、パレスチナ人が数週間前に撤退したガザ北部のベイトハヌーンやジャバリヤに再び侵攻し、南部ラファからの難民キャンプなど複数の地域を14日から連日空爆しました。同地にはイスラエル軍が撤退後、ここ数週間で数千人の住民が帰還していました
 イスラエル兵は、学校内やその付近にいる全住民に退去を命じ、多くの男性住民を拘束しました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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ガザ 母親6000人が犠牲 親失った子19万
                       しんぶん赤旗 2024年4月18日
 国連女性機関「UNウィメン」は16日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区では過去6ヵ月間に1万人のパレスチナ人女性が殺害され、そのうち6000人は母親で、片親または両親を失った子どもが1万9000人になったと明らかにしました。ガザ地区の女性の状況に焦点を当てた報告書で指摘し、即時停戦を求めました

国連女性機関が報告書
 報告書発表にあたってジュネーブで記者会見したUNウィメンのアラブ諸国地域局長のスザンヌ・ミハイル氏は、「ガザでの戦争は間違いなく女性に対する戦争になっている。女性たちは自ら引き起こしたものではない戦争によって重い代償を支払わされている」と述べました。
 報告書によると、現在のガザでの水の供給レベルは昨年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスの間で戦闘が始まる以前の7%にまで下がっています。飲料水や生活用水が十分に得られない女性や少女は110万人に上ります。
 ガザ住民は真水より30倍も塩分量の多い井戸水の活用を余儀なくされています。このため幼児や妊婦、腎臓病患者の健康上の危険が高まっています
 ガザには妊娠・出産が可能な年齢期間の女性が54万人以上います。報告書は戦闘が続く中で生理用品の入手が困難になり、布やスポンジで即席の代替品をつくって対応せざるをえなくなっていると指摘しました。
 報告書は毎月1000万の生理用品が必要になっていると強調しました。また避難施設が人であふれ、プライバシーが確保されなくなっていることも問題だとしています。
 報告書は
 ▽3月下旬に国連安全保障理事会が採択した即時停戦を求める決議の実践
 ▽安全な形で大規模に人道支援を行うこと
 ▽女性や少女が安全な飲料水や食料、生理用品、トイレを利用できるようにすること
-などが必要だと指摘しました。

撤退した地域に再侵攻 イスラエル軍 死傷者相次ぐ
 イスラエル軍は16日、数週間前に撤退したパレスチナ自治区ガザ北部のベイトハヌーンやジャバリヤに再び侵攻し、南部ラファの難民キャンプなど複数の地域を空爆しました。住民や医療関係者の証言によると同の攻撃で死傷者が出ました。ロイター通信が伝えした。
 イスラエル軍の戦車は北部ベイトハヌーンに侵攻し、避難民の家族らが避難するいくつかの学校を包囲。「イスラエル兵は、学校内やその付近にいる全住民に退去を命じ、多くの男性住民を拘束した」と、住民の人はロイター通信に語りました。
 ベイトハヌーンは昨年10月からのイスラエルのガザヘの侵攻で、最初に標的となった地域の一つ。かつては果樹園があり「果実のかご」と呼ぱれていましたが、イスラエル軍の砲撃で、現在はがれきの山からなるゴーストタウンと化しています。
 同地にはイスラエル軍が撤退後、ここ数週間で多くの住民が帰還していました。しかし同の空爆が始まり、再び避難を余儀なくされたと、複数の住民は語りました。
 ガザ保健当局によると、ラファの難民キャンプでのイスラエルの空爆で複数人が負傷し、4人が殺害されました。またラファでは民家も空爆され、子どもを含む7人が殺害。中部マガジの難民キャンプでも空があり、11人が殺害されました。


帰還中のガザ住民攻撃 イスラエル軍が数千人に
                       しんぶん赤旗 2024年4月17日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍は14、15の両日パレスチナのガザ地区で、避難先の南部や中部から自宅のある北部へ戻ろうとする住民に、両日あわせて数千人を標的に砲撃・銃撃しました。パレスチナ通信によると、14に女児と女性を含む少なくとも5人が殺され、負傷者は54人に上るとの情報もあります。
 イスラエル軍は昨年10月以降、北部から多くの住民を強制退避させ、地上軍を侵攻させていますが、今なお北部への帰還を認めていません
 人権擁護の活動を続ける非政府組織「欧州地中海人権監視団」(本部ジュネーブ)は15日の声明で、北部をめざす住民への攻撃を非難し、「イスラエル軍による強制移住は、パレスチナ人の暮らしの破壊が目的であり、ジェノサイ乍(集団殺害)の犯罪の枠組みに含まれる」と強調しました。
 住民たちは、海岸に面した道路を徒歩や、ロバのひく荷車に乗り北部に向かいましたが、イスラエル軍の攻撃を受け、悲鳴をあげながら逃げまどいました。

 その一人、アプアエドさん(44)は本紙の電話取材に、「3時間以上歩き、イスラエルの検問所に着くと激しい銃撃にさらされたヘリコプターから撃たれた。砲撃もされた女性たちが傷を負い、殺されていた」と話しました。
 アブアエドさんは避難している中部デイルバラから北部ガザ市に向かっていました。イスラエル軍が帰還を許可していると聞いたからです。複数の住民がその許可を聞いたと語っていますが、軍は否定しています。
 アプアエドさんは「イスラエル軍に殺される前に、ガザ市に残してきた母やきょうだいに会いたい。家が灰になっていても戻りたい。家を奪い、水も食べ物もない状況に追い込むのは命と尊厳への侮辱だ。私たちは人間だ。動物じゃない」と憤りました。

 北部では多くの建物が破壊され、極めて深刻な飢餓にも見舞われています。それでも国連によると30万人が残っています。避難者は家族との再会や自宅の様子を確かめたくて帰還を願っています。


ネタニヤフ氏に責任」トルコ大統領、中東緊張巡り
                       しんぶん赤旗 2024年4月18日
【イスタンブール=時事」トルコのエルドアン大統領は16日、イランのイスラエル直接攻撃などによる中東情勢の緊張悪化は「ネタニヤフ(イスラエル首相)と血まみれの政権に責任がある」と批判し、全ての当事者に攻撃停止を訴えました。
 エルドアン氏は、ネタニヤフ氏が「自身の政治的延命だけのために、自国や地域全体の人々の生命を脅かしていると糾弾。パレスチナ自治区ガザで戦闘が起きてから「地域に戦火を振りまいている」と指摘し、今月1日の在シリア・イラン大使館への空爆が「最後の決定打となった」と述べまた。
 エルドアン氏は、ガザでイスラム組織ハマスと交戦するイスラエルは「戦争犯罪国家だ」と非難してネタニヤフ政権と対立しています。