2024年4月20日土曜日

新潟水俣病集団訴訟 旧昭和電工に賠償命令 国の責任は認めず

 「ノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟」の判決が18日に新潟地裁であり、26人の原告を水俣病患者だと認め、旧昭和電工に1人400万円(計1億400万円)を支払うよう命じました。
 原告側は国の責任について、新潟水俣病を予見して被害拡大の防止策を図れたと主張しましたが、判決は「(国は)具体的に認識・予見し得たとはいえない」と述べ、国の責任は認めませんでした。
 しかし熊本大学がいち早く「有機水銀」が原因と特定したのに、国などが組織した委員会がそれを否定したことで解決を遅らせて、結果的に膨大な患者を生んだことに責任を負わないのは釈然としません。
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新潟水俣病 企業に賠償命令 地裁判決 原告多数を患者と認定 国の責任は認めず
                        しんぶん赤旗 2024年4月19日



(写真)判決が出され「多数水俣病と認める」「国の責任を認めず」と書いた旗を出す弁護団の人たちと、原告、遺族の人たち=18日、新潟地裁前



 新潟水俣病をめぐり、被害者を救済する特別措置法(2009年施行)が締め切られたため救済されなかった患者47人が、国と加害企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に対し、1人当たり880万円の損害賠償を求めた「ノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟」の判決が18日、新潟地裁でありました。島村典男裁判長(鈴木雄輔裁判長代読)は、多数の原告を水俣病患者だと認め、旧昭和電工に計1億400万円(1人400万円)を支払うよう命じました。国の責任は認めませんでした
 判決は26人を「水俣病にり患している高度の蓋然(がいぜん)性がある」と判断。不法行為から20年が経過すると損害賠償請求が消滅する「除斥期間」の適用を制限し、「損害賠償請求権が消滅していない」としました。
 3月にあった同種訴訟で熊本地裁判決は、一部の原告を水俣病と認定したものの「除斥期間」を適用し、原告全員の請求を棄却しました。

 原告側は、国の責任について、新潟水俣病を予見して被害拡大の防止策を図れたと主張していました。判決は、「(国は)具体的に認識・予見し得たとはいえない」と述べました。
 原告は、水俣病の症状がありながらも、公害健康被害補償法(公健法)では患者だと認められず、救済されていない人たちなどです。
 原告弁護団の味岡申宰(あじおか・しんさい)事務局長は、「判決は、公健法で救済されない被害者が多数いると示した」と強調。新たな救済制度の創設や公健法の認定基準の見直しを指摘しました。
 原告149人のうち、先行して47人が審理を終えていました。


新潟水俣病集団訴訟 原因企業に賠償命令 国への訴えは退ける
                 NHK 新潟NEWS WEB 2024年04月18日
新潟水俣病と認定されなかったり特別措置法による救済策でも対象から外れたりした新潟県に住む人など47人が賠償を求めた裁判で、新潟地方裁判所はこのうち26人を新潟水俣病と認め原因企業に賠償を命じる判決を言い渡しました。
一方、国に対する訴えは退けました。

新潟県阿賀野市などに住む50代から90代の47人は手足のしびれなどの特有の症状があるのに4大公害病の1つ新潟水俣病に認定されていないなどとして国と原因企業の昭和電工、現在のレゾナック・ホールディングスに1人当たり880万円の損害賠償を求めました。
18日の裁判で新潟地方裁判所の島村典男裁判長は「症状の内容などから、有機水銀が原因でり患している蓋然性が高い」として、原告47人のうち26人については新潟水俣病と認めました。
その上で、原因企業に1人あたり400万円を支払うよう命じました。

一方、国の責任については、「有機水銀が排出されていることや、周辺住民に健康被害が出ることについて、国は、具体的に認識し予見できたとはいえない」と指摘し、原告側の訴えを退けました。
住んでいた「地域」や「年代」で対象を区切った特別措置法の基準外でも水俣病と認められるかどうかなどが争われた同様の集団訴訟の判決は3件目で、去年、大阪地方裁判所は、原告全員を水俣病と認め国などに賠償を命じた一方、先月、熊本地方裁判所は原告の訴えを退けていて、司法判断が分かれる形となっています。

新潟地方裁判所の前では午後1時35分ごろ、裁判所から出てきた原告団の弁護士が「国の責任を認めず」、「多数水俣病と認める」と書かれた紙を掲げました。
紙が掲げられると、裁判所の前に集まっていた原告や支援者の中には「ああ」という声をあげて厳しい表情をする人もみられました。
判決を傍聴しようと新潟地方裁判所には多くの人が集まり、傍聴券の抽せんが行われました。
裁判所によりますと一般の傍聴席11席に対して243人が並び、倍率は22倍あまりでした。
大学で法律を学んでいるという女性は「判決が言い渡されるのを直接見て学びたいと思い、裁判所に来ました。全国で判決が割れるなか今回どのように判断されるのか注目しています」と話していました。
また、仕事の関係で新潟水俣病の症状がある人たちとの接点があったという50代の女性は「救済がないまま亡くなる人がいるなか、少しでも救いのある判決が出てくれればいいと思います」と話していました。