「マスコミに載らない海外記事」に掲題の記事が載りました。
ソチ(ロシア)冬季オリンピック終了(2014年2月23日)を待ってその翌日、バイデン副大統領(当時)の下でビクトリア・ヌーランドが主導したクーデターがウクライナで起きました。
それはどこから来たのかも不明な囚人部隊のような暴徒による残虐なもので、警官を含む多くの人たちが銃撃され、マイダン(独立)広場から近くのビルに逃げ込んだ市民はビルごと焼き殺されました。
その後クーデター政権軍隊(「ウクライナ義勇軍」と称しています)は ロシア住民が多数を占めていたドンバス地方の制圧に向かったのですが、旧国軍の一部の兵士がドンバス側につくなどしたため内戦に発展しました。
結局クーデター政権は制圧が果たせないまま翌年、ミンスク合意Ⅱでドンバスの「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の自治権を認めて内戦は終了しました。両共和国はロシアの保護下に入ることを望んだのですが、その時点ではプーチンは一貫して拒否し 筋を通しました。
それにしてもクーデター政権軍隊が、一地方に限定された内戦に勝てなかったというのは理解しにくいことでしたが、今度の記事は前半でその間の事情を明らかにしてくれます。
そして後半ではキーウ政権の腐敗の生々しい実態を明らかにしています。ゼレンスキーらの蓄財に関しては早い段階で数百億円と言われていましたが、それからもうかなり経っています。
先に紹介した(4月15日)国際司法裁判所の判決にみるウクライナ戦争 の著者で、キーウにも調査で出掛けたことのある羽場久美子氏も、別の記事で「ゼレンスキーが『武器を、武器を!』と要求しつつ、その半分を他の紛争地域に横流しして儲けている」と指摘しています。要するにウクライナ政権は恐ろしく堕落した政権です。
併せて櫻井ジャーナルの記事:「ウクライナでロシアに敗北したアメリカ/NATOは核兵器を持ち出してきた」を紹介します。
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ウクライナ・情況報告:発電所戦争 - イデオロギー的敗北 - 更なる汚職の兆候
マスコミに載らない海外記事 2024年4月21日
Moon of Alabama 2024年4月16日
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国メディアを通じて議会に武器と資金支援拡大を求めて働きかけている。それは彼にとって最終的に悲惨な状況を説明することが必要になる。
4月16日火曜日、ゼレンスキー大統領はPBSニュースアワーに出演し、ウクライナの防空体制が危機的な状況にあると強調した。 |
ウクライナが置かれている状況に、ゼレンスキーがようやく気づき始めたのは良いことだ。
電力インフラは確かに重要な点だ。ロシアはウクライナの発電所の破壊を利用して、無条件降伏を迫っているとジョン・ヘルマーは「Naked Capitalism」で示唆している。
ヘルマーはカサド大佐のブログを引用している。
カサド大佐の軍事ブログで参謀本部の考え方を広く代表しているボリス・ロジンは、4月11日に示された作戦上の突破口を報告し、現在の標的の地図が次の攻撃と、その後の攻撃を予見するものだと説明している。ロジンは自身の分析を国営メディアRTで公開した。 |
ゼレンスキーが抱えている解決不可能な問題は電力供給不足だけではない。
前線の状況は悪化している。現在、バフムットから約10キロ西にある重要地区の一つチャシフ・ヤルで、最近ロシア軍は重要な進歩を遂げることに成功した。
(説明用地図 省略)
第67独立機械化旅団の一部が保持していた土地はすぐに放棄された。
ウクライナ司令部が調査し「民族主義者」旅団のイデオロギー的枠組みに根本原因があることを発見した。
2024年初頭から激しい戦闘が続いているドネツク州のチャシフ・ヤル戦線で一部の陣地を失った後、右派ウクライナ義勇軍の第67独立機械化旅団が捜査されており、旅団中枢を担っていた軍関係者も捜査されている。主力は他の部隊に異動中だ。 |
いわゆるマイダン革命で主要な役割を演じたファシスト右派セクターの街のチンピラやフーリガンは本物の兵士になるのに熱心ではなかった。軍は動員で最も経験の浅い兵士を前線に配置し、イデオロギー的同胞は後方に置いた。
そのような行動は、極右「国家主義者」部隊との親和性がよく知られている元総司令官ザルジニ大将下では問題なく行われていた。しかし新最高司令官シルスキー将軍が必要としているのは、アマチュアのテロリストではなく本物の兵士のだ。
元最高司令官ヴァレリー・ザルジニ在任中、ウクライナ義勇軍の中心人物、特にアンドリー・ステンピツキーは参謀本部から支援を受けながら旅団内で、ある程度の自主性を維持できた。 |
Stranaが多少歴史を追加している。(機械翻訳)
「ウクライナ義勇軍」(DUK)が2014年に対テロ作戦中「右派セクター」によって結成されたことを想起ねがいたい。その後、長い間、彼はウクライナのどの公的法執行機関にも所属しておらず、法的地位の曖昧さについて疑問が生じた。これは2018年まで続き、その後DUKのほとんどがウクライナ軍に加わった。 |
ウクライナの他のファシスト集団、つまりアゾフと同様に、DUKや「右派セクター」は戦争中に増殖した。より多くの部隊に侵入した。
2023年、ウクライナ義勇軍は二つの部分に分割され、一方は特殊作戦軍に加わり、もう一方は第67独立機械化旅団を編成した。2024年2月、ダヴィンチ・ウルブズ部隊の一部が第67旅団から第59独立自動車歩兵旅団に編入された。
「国家主義者」旅団の「改革」は、シルスキ指揮下の新司令部にとって、かなり難題だろう。彼はロシア生まれなので、最終的に彼らは彼を究極の敵と宣言するかもしれない。
ゼレンスキーが対処すべきながら、そうしたがらない、もう一つの問題は、戦争により増大するばかりの汚職の兆候だ。
法律により、国会議員、検察官、裁判官などのウクライナの役人は、国家汚職防止庁(NACP)に資産を申告しなければならない。 |
ウクライナの悲惨な経済状況は、これに対して、汚職以外に説明の余地がない(機械翻訳)。
昨年、ウクライナで記録的台数の高級外車が販売された。平時とは思えないベストセラー車トップ10には、プレミアムブランドも含まれていた。そして、ウクライナにおけるテスラの台数は、2021年と比較してほぼ10倍に増加した。 |
ウクライナで、中古テスラが少し安くなった。しかし、ウクライナで高級車販売が急増している主な理由は次のとおりだ。
第三に(これが重要なことだが)、高級車の新規購入者のカテゴリーがある。これは、戦争が始まって以来、暮らしが大幅に向上した人々だ。 |
ゼレンスキー大統領が議会に懇願する中、「時流に乗って」利益を得ている連中の費用を誰かが支払わなければならないことを議会は考慮すべきだ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/04/ukraine-sitrep-the-power-plant-war-ideological-losses-more-signs-of-corruption.html#more
ウクライナでロシアに敗北したアメリカ/NATOは核兵器を持ち出してきた
櫻井ジャーナル 2024.04.24
ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は4月22日、ポーランドの日刊紙に対し、アメリカの核兵器をポーランドへ持ち込む問題について話し合ってきたと認め、受け入れる用意はできていると語ったが、ドナルド・トゥスク首相はこの件についてドゥダと早急に話し合う必要があると述べている。それに対し、ロシア政府はポーランドへアメリカ軍の核兵器が配備された場合、必要な措置を講じると述べた。
アメリカ/NATOの内部には、自分たちの代理人としてロシアと戦ってきたウクライナが敗北したことに危機感を抱き、パニックになっている人たちがいる。フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。
2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権が倒された直後から西側の傭兵がウクライナへ入ったと言われているが、フランスからも「傭兵」という形で戦闘員が派遣されている。
ロシア軍は今年1月16日にウクライナのハリコフを攻撃し、軍事施設のほか旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊した。この旧ホテルは西側の情報機関や軍関係者に使われていて、爆撃された際、200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われている。その攻撃で死傷した戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。
ドイツ軍もロシアとの戦争に積極的で、3月1日に公開された音声によると、ドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監、作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部のフェンスケとフロシュテッテ幹部が2月19日にリモート会議で「タウルスKEPD 350」ミサイルによるクリミア橋(ケルチ橋)攻撃について話し合っている。ゲルハルツらは昨年10月の時点で計画の内容を太平洋空軍司令官だったケネス・ウイルスバックに伝えているという。
4月23日には「ステッドファスト・ディフェンダー 24」の一環として「グランド・クアドリガ2024」がリトアニアで始まった。その軍事演習へドイツ軍は3000人以上を派遣している。
しかし、アメリカ/NATOはウクライナでの敗北が決定的。4月23日にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は2022年以来、ウクライナ軍は約50万人の兵士を失ったと述べているが、これは常識的な見方。兵士や兵器の補充がままならない状況になっている。そこでテロ攻撃を始めたが、限界がある。残された手段は核戦争だ。
アメリカ政府は停戦を実現するため、核兵器を脅しに使ったことがある。ハリー・トルーマン政権が中国で成立した共産党政権を倒すために始めた朝鮮戦争が思惑通りに進まず、1953年1月に新大統領となったドワイト・アイゼンハワーは早期停戦を目指した。そこで、新大統領は中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017)
アイゼンハワー政権で副大統領だったリチャード・ニクソンはベトナム戦争から抜け出すため、カンボジアに対する秘密爆撃を実行しながらアイゼンハワーの手法、つまり核兵器で恫喝した。(前掲書)
しかし、ロシア相手にこの手段は通じないだろう。