2024年4月29日月曜日

29- 米国は射程300kmの弾道ミサイルをウクライナに供給/再び歴史の間違った側にいるドイツ

 バイデンは24日、ウクライナ、イスラエル、台湾への援助を含む950億ドルの軍事援助法案に署名しまし。このうち608億ドル(約9兆4千億円)はウクライナ向けです。
 ドイツは米国に次ぐウクライナへの武器供与国で、イスラエルに対しても、武器輸入量のほぼ3分の1を占めているということです。
 イギリスは6・2億ドルの援助を発表しました。フランスは初期段階で2000人の軍隊をウクライナに派遣するとして、既に1000人がオデッサに入ったということです。
 こんな風にいまやNATO諸国は総力を挙げてウクライナを支援していて、ウクライナ戦争が事実上のロシア対NATOの総力戦になっています。

 「櫻井ジャーナル」の記事「米国で軍事支援法が成立、射程300kmの弾道ミサイルを供給、ロシア国内を攻撃へ」と「マスコミに載らない海外記事」の「再び歴史の間違った側にいるドイツ」を紹介します、
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米国で軍事支援法が成立、射程300kmの弾道ミサイルを供給、ロシア国内を攻撃へ
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 アメリカのジョー・バイデン大統領は4月24日、ウクライナ、イスラエル、台湾への援助を含む950億ドルの軍事援助法案に署名した。当初は難色を示していた共和党も4月20日、下院で民主党と同じように承認していた。このうち608億ドルはウクライナ向けだ。内訳はアメリカの兵器在庫を補充するために232億ドル、ウクライナ向け兵器システムの購入に138億ドル、そしてウクライナ周辺でアメリカが実行している軍事作戦に113億ドルだという。私服を肥やしていると西側でも批判されているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はマイク・ジョンソン下院議長に感謝を表明している。

 今回の支援法案の目玉は、最大射程距離300キロメートルの戦術ミサイルシステム「ATACMS」だとされ、国防総省のガロン・ガーンによると、バイデン大統領は2月、ウクライナ領内で使用するミサイルの譲渡を密かに承認し、ミサイルは4月初めにウクライナへ引き渡されたとされている。すでに100機を極秘輸送、ウクライナ軍は4月17日、クリミア半島の飛行場を攻撃した際に使用されたとも言われている。今後、攻撃範囲をクリミアやロシア内部へ広げてロシア市民を殺害、ロシア国内に政府に対する怒りの声を高めようとしているのだろう。

 イギリス軍のトニー・ラダキン参謀総長はロシア内部への攻撃が強化されると発言しているが、同国はウクライナへ5億ポンド(6億1700万ドル)相当の軍事支援を発表した。これには長距離ミサイル「ストームシャドウ」が含まれている。
 本ブログですでに書いたことだが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。セルゲイ・ナリシキンSVR(ロシアの連邦対外情報庁)長官は3月19日、フランス政府がウクライナへ派遣する部隊を準備しているとする情報を確認、初期段階では約2000人を派遣する予定だとしていた。

 しかし、こうした軍事支援で戦況が大きく変化することはないと見られている。アメリカ政府はウクライナでの軍事作戦を立てるため、「プロジェクト・メイブン」と名付けられたAIを利用しているというが、これも失敗に終わった。
 メイブンは以前から知られている軍事用AIだが、実際に使われたようだ。このAIはウクライナでロシア軍が負けると分析したようだが、結果は全く違った。単純なルールに基づくゲームとは違い、多くのファクターが複雑に絡みあう戦争では有効でない。核戦争のリスクを冒してのテストのつもりかもしれないが、アメリカ軍はベトナム戦争でも戦況の分析にコンピュータを使い、敗北している

 アメリカではウクライナに対する資金援助を目的とし、凍結しているロシアの資産を没収する動きもあるが、これは米英を中心とする金融システムにとって自殺行為とも見られている。このシステムが信頼できないことを示す行為であり、国際金融秩序は崩壊するからだ。日本はアメリカの財務省証券を購入しているが、日本の官僚や政治家はその資産が自国へ戻ってくるとは思っていないだろう。彼らは「絵に描いた餅」で満足している。損するのは何も知らされていない日本の庶民だ。
【参考】
櫻井ジャーナル「独の長距離ミサイルでクリミア橋を攻撃する計画を独空軍は米太平洋空軍に伝達


再び歴史の間違った側にいるドイツ
                マスコミに載らない海外記事 2024年4月18日
              Strategic Culture Foundation 2024年4月12日
 他の欧米諸国とともに、ドイツとアメリカはロシアに対する代理戦争を通じて根深い歴史的犯罪を続けている
 歴史の繰り返しは悲劇的で、茶番のようにさえ思えるかも知れない。どうしてこのような明らかな狂気が繰り返されるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。しかし、原動力は同じだと理解すれば、説明は簡単になる。
 今週、ドイツがガザ虐殺幇助の罪で国際司法裁判所で告訴されたのは実に恥ずべきことだ。1948年の虐殺条約に違反してガザにおけるイスラエルによる虐殺を促進したとして、ドイツはニカラグアに訴えられた。
 この条約は、第二次世界大戦中、ナチスドイツによる600万人のユダヤ人大量虐殺を受けて創設された。戦争終結からわずか79年が経ち、ドイツ国家は再び、自称ユダヤ人国家イスラエルによるガザ地区で進行中の大量虐殺共謀の罪で訴えられている。
 それは歴史における衝撃的で嘆かわしい捻れのように思える。記憶生きている中、ドイツは再び人道に対する忌まわしい犯罪で告発されている。
 さらに恥ずべきなのは、イスラエルが大量虐殺を行っていること、そして、第二次世界大戦の凶悪なホロコーストによる特別な義務のため、イスラエルの安全を気高く守っていることをドイツ当局が否定していることだ。

 ドイツがイスラエルを支持する理論的根拠とされるものは驚くべき歴史の歪曲だ。
 今週のドイツに対する訴訟は、1月にハーグの同じ国連裁判所で南アフリカがイスラエルに対して起こした以前の訴訟と同様、議論の余地がないものだ。両訴訟に対する裁判所の最終判決は係属中だ。
 それにもかかわらず、イスラエルによるガザ地区の軍事包囲は大量虐殺に相当し、複数の国際法違反を含んでいる点で、既に世界世論は多くの国際法と人権の専門家と一致している。つまりドイツの責任だ。
 過去6か月間、パレスチナ領土のイスラエルによる理不尽な破壊により、犠牲者に1万4,000人以上の子どもと1万人以上の女性を含む3万3,000人以上が死亡した。13,000人が瓦礫の下で行方不明になったり墓標のない墓に埋められたりしていることを考えると、実際の死者数はおそらく46,000人を超えるだろう。飢餓と病気が激化する中、今後数カ月間で最大10万人死亡すると懸念されている。

 イスラエルにとって、ドイツはアメリカに次ぐ第二位の武器供給国ドイツはイスラエルの武器輸入量のほぼ3分の1を占めている。
 200万人以上の大量飢餓という意図的政策を伴うイスラエルの残忍なガザ包囲は、アメリカとドイツの重要な軍事支援がなければ起きなかったはずだ。
 しかし、殺人機械や弾薬と同じくらい重要なのは、ドイツやアメリカや欧米同盟国全てが与えている揺るぎない政治的支援だ。信じられないことに、イスラエルは大量虐殺を行っていないとベルリンやワシントンやロンドンやパリや他の欧米諸国の首都は主張し続けている。アメリカのジョー・バイデン大統領同様、ドイツのオラフ・ショルツ首相もイスラエルの自衛権に関する皮肉で欺瞞的な呪文を繰り返している。

 ガザで起きているのは欧米帝国主義勢力によって可能になった大虐殺だ。アメリカとその全ての欧米同盟諸国は酷い戦争犯罪の共犯者だ。毎日テレビで生放送されているにもかかわらず、卑劣な欧米メディアはテロを熱心に浄化し和らげている。まともな世界なら、欧米諸国政府と企業が管理している「報道メディア」は、共犯者として、救いようのない非難を受けるはずだ。
 しかし、ドイツの責任は、シオニスト政権の責任と同様、極めて憂慮すべき不名誉な意味を帯びている。ナチス・ドイツによる犠牲者数百万人の名の下、ガザでの虐殺は言葉で言い表せない卑劣な非情さと独善性で行われている。ドイツによる歴史的なユダヤ人大量虐殺が、ユダヤ人だと主張する国家により、ドイツによって可能になった国家により、今も他の人々に対して繰り返されているのは全く極悪非道だ。このなとも忌まわしいものをでっち上げるのはほとんど不可能だ。
 ガザで行われているテロは、現在世界中で進行中の帝国主義犯罪の悪質な噴出の一つに過ぎないことも理解されるべきだ。

 ウクライナでは、マネーロンダリングや詐欺やかたりにどっぷり浸かった名目だけのユダヤ人傀儡大統領が率いる腐敗したネオナチ政権を利用して、NATO枢軸の欧米帝国主義者連中が、ロシアに代理戦争を仕掛けている。ドイツはウクライナ政権にとってアメリカに次ぐ第二位の武器供給国だ。
 80年前、ナチス・ドイツはユダヤ人とスラブ人を絶滅させるため、ウクライナ・ファシストを派遣し、最大3000万人のソ連国民が死亡した。現代のウクライナ政権は、これらナチス協力者を称賛している。第二次世界大戦後、冷戦時代、ソ連に対して秘密戦争を行うため、同じウクライナ・ファシストをアメリカは派遣した。
 このように、ドイツとアメリカは他の欧米諸国とともに、ロシアに対する代理戦争という形で根深い歴史的犯罪を続けている

 同じ帝国主義ならず者国家が、イランやシリアやレバノンに対するイスラエル侵略を可能にしている。今月初め、ダマスカスのイラン大使館をイスラエルが爆撃したのは特に厚かましい国際法違反だった。イスラエル・ファシスト政権の野蛮さは、欧米の後援者により全面的に可能となり奨励されている。痛烈な皮肉は、イスラエルが公然と主権を攻撃し国民を暗殺している一方、アメリカ政府とベルリン政府が、イランに対し「最大限の自制」を発動するよう叱責していることだ。
 一方アメリカやオーストラリアやイギリスは、中国を刺激するための軍事同盟に参加するよう日本をそそのかしている。日本の岸田文雄首相は今週ワシントンで祝宴を催されて、中国とロシアを対象とした新たな好戦的軍事措置に署名した。岸田首相はウクライナをアジアと結び付け、ロシアがウクライナ戦争で勝てば中国が東アジアを占領すると主張した。子分日本は半分正しい。この地域は確実に、ロシアと中国の違法行為疑惑によってではなく、日本が貪欲に奉仕しているアメリカ主導の帝国主義によって結びついている

 驚くほど短い歴史の中で、欧米帝国主義とファシズムは一周した。中国で最大2000万人の死者を出した太平洋戦争で日本が敗北してからほぼ80年経ち、東京は中国に対してあり得る核戦争を仕掛ける新たな計画の最前線に立っている。1945年、日本にアメリカが二発の原爆を投下した後、日本がアメリカに協力して、この事業に参加する倒錯は、歴史におけるもう一つのうんざりする捻れだ。
 ナチス・ドイツとファシスト日本の巨悪犯罪が今日復活しているのは、同じ勢力が今日の帝国主義の地政学的権益に奉仕しているためだ。

 しかし、歴史の捻れと矛盾は、一つの歴史的力の中に結晶化する。全ての犯罪や野蛮さや流血や壊滅世界戦争の危険は、帝国主義大国が原因で、その主なものはアメリカとその覇権的支配の飽くなき追求だ。
 欧米資本主義の歴史的失敗と組織的崩壊は、近代以前の時代と同様、世界を再び戦争へと駆り立てる原動力になっている。植民地主義者の大量虐殺や第一次世界大戦や第二次世界大戦や、今や第三次世界大戦の深淵に。

 大量虐殺でイスラエルと共に非難を受けているドイツは、一見そうみえるほど場違いではない。帝国主義とファシズムが再び世界中で猛威を振るっているためだ。ドイツとイスラエルはどちらも犯罪シンジケート・ギャング仲間で、それぞれ固有の正当化神話とアリバイがある。
 ロシアと中国は確実に歴史上ファシズムの被害を最も多く受けた国だ。今ロシアと中国が再び同じ勢力に直面しているのは嘆かわしいことでないにせよ完全に首尾一貫している。
 ドイツは再び歴史の間違った側に立っている。アメリカと全ての欧米属国も同じだ。彼らにとって永遠の恥だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/04/12/germany-stands-on-wrong-side-of-history-again/