2024年4月20日土曜日

カギ握るリベラル結集/区長選・衆院補選三つの見どころ(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。

 植草氏は、岸田首相は通常国会の会期末である6月23日に衆院を解散し、7月21日に衆院総選挙を挙行するシナリオを描いていると見られると述べています
 しかし直近の428日投開票の東京15区、島根1区、長崎3区の衆院補選で、自民党が唯一候補者を立てている島根1区で敗れれば、自民党の3戦全敗になるので自民党内で岸田降ろしが本格化するだろうから、岸田首相は衆院解散断念と退陣を迫られることになると見ています
 現在の野党勢力は、自公と通じる守旧勢力として存在する維新、国民民主党 守旧勢力とリベラル勢力の「水と油同居体」に回帰してしまった立憲民主党 共産、れいわ、社民のリベラル勢力 の三つに分立しているとして、立憲民主党が再度、リベラル勢力と守旧勢力に分離して、大きなリベラル勢力共闘を構築することが政権交代への期待を高める第一歩になるので、立憲民主党の分化=分離が強く求められているとしています
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カギ握るリベラル結集
             植草一秀の「知られざる真実」 2024年4月19日
2009年に麻生内閣が末期を迎えたとき、国民には別の選択肢があった。
小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏が率いる民主党が自民党に代わる政権政党としての期待を一身に背負った。
2009年8月30日の衆院総選挙で鳩山民主党が大勝。見事な政権交代を実現した。
残念ながら、この政権は8ヵ月で終焉してしまった。
米国・官僚機構・大資本が支配する日本政治。この日本政治を根幹から刷新しようとしたのが鳩山内閣だった。ところが、新政権はわずか8ヵ月で崩壊した。
崩壊した原因は内部に潜んでいた。
鳩山内閣のなかに米国と通じる勢力が潜伏しており、この勢力が鳩山内閣を政権内部から破壊した。本題から外れるため、これ以上言及しない。

2010年6月に発足した菅直人内閣は米国傀儡政権に回帰した。
財務省の支配下に入り、消費税大増税の方針を公約として示したのは菅直人氏。
2009年9月に誕生した鳩山内閣の政治刷新方針を実現することができなかったために、日本政治刷新の可能性は封殺され、現在に至っている。
いま、岸田内閣が2009年の麻生内閣同様の末期症状を示している。
しかし、次の政権を担う中心勢力が明らかになっていない。

野党は多党分立状況で政権交代の基本図式が明らかでない。
日本の主権者国民は岸田内閣の退場を望んでいるが、岸田内閣退場後にどのような政権を樹立するべきか、不明な状況が生じている。
野党は現在、三つの勢力に分立している。

野党第一党は立憲民主党だが、この政党がふらふらしていることが日本政治混迷の原因になっている
かつての民主党、そのあとを継いだ民進党には重大な問題が存在した。
「水と油の同居」である。「革新勢力」と「守旧勢力」が同居していた。
2010年の鳩山内閣破壊は「守旧勢力」が、「革新勢力」が主導して樹立した政権を破壊したもの。
2010年6月以降は政権が守旧派政権に回帰してしまった。

2017年の総選挙に際して、小池百合子氏が「希望の党」創設を推進したことが契機になり「水と油の同居」が解消されることになった。
「希望の党」が安倍政治終焉のための大同団結を目的に創設されたなら意義を発揮したと見られる。ところが、「希望の党」の本質は違った。
旧民進党からリベラル勢力を排除するために創設された政党だった
このことが明らかになり、旧民進党がリベラル勢力の立憲民主党と守旧勢力の国民民主党に分離された。旧民主党が抱えていた「水と油」問題がようやく解消されたかに思われた

「リベラル勢力」が分離独立した新政党であると理解された立憲民主党が躍進した。
共産党が選挙協力したことも立憲民主党躍進の大きな要因になった。
このまま立憲民主党が、守旧勢力と切り離されたリベラル勢力として成長を続けていれば、現時点で立憲民主党が政権交代を担う中核政党として一段飛躍したと考えられる。

ところが、立憲民主党が変節した。革新勢力による政権樹立を警戒する米国が立憲民主党の躍進を警戒した。
米国傀儡の労働組合勢力である「連合6産別」を通じて、連合が立憲民主党への介入を強めた。この結果として、2021年衆院総選挙で枝野幸男代表が共産党との共闘を否定。
これを契機に立憲民主党の凋落が始動した。現在に至っている。

現在の野党勢力は、
自公と通じる守旧勢力として存在する維新、国民民主党
守旧勢力とリベラル勢力の「水と油同居体」に回帰してしまった立憲民主党
共産、れいわ、社民のリベラル勢力
の三つに分立している。

政権交代を担うべき勢力は守旧勢力と正面から対峙するリベラル勢力である。
立憲民主党が再度、リベラル勢力と守旧勢力に分離して、大きなリベラル勢力共闘を構築することが政権交代への期待を高める第一歩になると考えられる。
立憲民主党の分化=分離が強く求められている。

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区長選・衆院補選三つの見どころ
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年4月17日
重要選挙の号砲が鳴り響いた。
4月28日投開票の衆院補選が全国3か所の選挙区で告示された。
東京15区、島根1区、長崎3区。
これに先立ち、4月21日に東京都目黒区長選挙が実施される。
さらに、7月7日には東京都知事選挙が実施される。
岸田首相は通常国会の会期末である6月23日に衆院を解散し、7月21日に衆院総選挙を挙行するシナリオを描いていると見られる。

2024年政治決戦が幕を開ける。焦点は三つある。
第一は岸田政治に対して主権者がどのような審判を下すのか。
第二は学歴詐称疑惑が取りざたされる小池百合子東京都知事に対して主権者がどのような審判を下すのか。
第三は立憲民主党と共産党との共闘に主権者がどのような審判を下すのか。
今後の政局を左右する重要な選挙になる。

岸田首相は自民党裏金脱税疑惑事件に対して党内処分を実行。訪米を実施。通常国会後半で政治資金規正法改正を成立させる方針。
しかし、国民は岸田内閣への不満を膨張させている。何の実績も示していないと断罪している

自民党裏金脱税疑惑事件では自民党が実施した「全議員アンケート」で85人の議員の政治資金収支報告書への不記載が判明している。
ところが、自民党の党内処分では一部派閥幹部を除き、500万円で線引きした。
政治資金収支報告書への不記載は違法行為。議員立法で制定した法律を議員が踏みにじってなぜ免責されるのか。およそ厳正な処分と言えない。
そもそもは、検察が政治家の犯罪を無罪放免にすることがおかしい。

日本は政治家の犯罪を放置する権力者重大犯罪放置国家に堕している。
正当性、厳正性がまったくない自民党党内処分を評価する国民はいない。
この問題の処理も不十分なまま、岸田首相は訪米したが、これを評価する者も誰もいない。
国内問題が山積しているときに海外旅行を楽しんでいる場合かというのが主権者の率直な感想。

議会で演説をさせてもらうために、どれだけの資金負担を求められたのか。
ウクライナ支援やウクライナ復興費用を日本が肩代わりさせられ、その重圧が主権者国民の肩にのしかかる。
国民生活が疲弊しているなかで海外に巨額の血税を散財する日本政治の不誠実さに主権者は怒り心頭だ。岸田内閣の支持率が上昇する気配がない

衆院補選では3つの選挙区のうち、2つの選挙区での自民党不戦敗が確定している。
自民党が唯一候補者を擁立したのが保守王国の島根1区。
この選挙区で与野党候補が一騎打ちを演じる。
岸田首相としては絶対に負けられない選挙。
島根1区で自民が敗北すれば衆院補選は自民党の3戦全敗になる。
保守王国の島根で自民が敗北すれば岸田首相の責任が問われることになる。

岸田首相は7月衆院総選挙を敢行し、9月の自民党総裁再選を狙うが、衆院補選3戦全敗になれば自民党内で岸田降ろしが本格化するだろう。岸田首相は衆院解散断念と退陣を迫られることになる。

第二の焦点は小池百合子氏の学歴詐称疑惑がどのような影響を与えるのか。
息を吐くように嘘をつく小池百合子氏。その人物像に対する主権者の新たな審判が下る。
目黒区長選、東京15区衆院補選で都民ファーストの会が支援する候補者が出馬している。
この候補が落選すると小池百合子人気が完全に下火になったことが確認される。7月7日都知事選に直結する重大問題になる。

立憲民主と共産の共闘が成果を上げると次期衆院選での野党共闘戦術に大きな影響が生じる。
野党共闘を妨害する連合に服従して立憲民主党が野党共闘を否定するなら、この党は没落するしかないが、再び共産党との共闘重視に回帰するなら復活の目が開ける可能性は残る。
最重要選挙のゆくえを見定めなければならない。

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