2024年4月8日月曜日

ガザ虐殺 7日で半年 /イスラエルに加担許さぬ 米国各地で若者の動き

 ガザ虐殺が始まってから半年が経ちました。ガザの人たちの願いは「もうたくさんだ。今すぐとめてくれ」です。
 NHKはガザの状況を伝えるにあたって、必ず「10月7日にハマスが越境攻撃をしたことを機に始まった」云々を枕詞にして、ハマス側に原因があるかのような言い方をしていますが、それが事態の真相であると本当に思っているのでしょうか。
 21世紀のいま、衆人が環視するなかで行われている史上類を見ない「戦争を装った大虐殺」はなぜ止まらないのでしょうか。
 親族が皆殺しにされたタバティピさんは、横たわる遺体の傍らで立ち尽くし「親族が皆殺しにされた責任はイスラエルにある。イスラエルを支える米国にある。そして(ガザヘの攻撃を止められない)国際社会にもある」と話しま
 10年間の不妊治療を経て授かった一人娘を爆撃で失ったサミハさんは「夫は精神を病み いつも泣きながら娘の名前を呼んでいる」と話し、自分も娘を永遠に失い、生きる意味も希望もなくなったと話します。
 ところで米国のバイデン政権はイスラエルによるガザ虐殺行為の「共同正犯 ()」です。
 折しも11月大統領選挙が行われるタイミングで、若者らの多様な団体が連帯して有権者に対して、「『該当者なし』投票しよう」と提言する運動が広がっていて、各地で有権者の10%~20%の賛同者が得られているということです。接戦の州でそれだけの『該当者なし』票が出れば勝敗は逆転します。

 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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ガザ虐殺 きょう半年
                        しんぶん赤旗 2024年4月7日
住民「今すぐとめてくれ」
 【カイロ=秋山豊」イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区への攻撃を始めて7日で半年です。この半年、ガザの住民数十人に電話で取材してきました。家族や友人、大切な人を殺された人たちは、悔しくて悔しくて、悲しくて悲しくて泣いていましたくの人が「もうたくさんだ。虐殺を今すぐ止めてくれ」と訴えかけてきました。なかには放心状態になる人もいました
 中部セイラット難民キャンプに身を寄せるムハンマド・タバティビさん(20)は3月16日未明、親族36を空爆で「皆殺し」にされました。14人が女性、11人が子どもです。
 タバティピさん一家はイスラム教徒。3月11日ごろから4月9日ごろまでの聖なる断食月(ラマダン)、日の出から日没まで飲食をたちます。
 タバティビさんたちは日の出前の食事(サフール)で集まっていたところをイスラエル軍に空爆されました。両親やきょうだいたちも殺されました。犠牲者の遺体は病院の中庭に運ぱれました。生きのぴたタバティピさんは、横たわる遺体の傍らで立ち尽くしました。
親族が皆殺しにされた責任はイスラエルにある。イスラエルを支える米国にある。そして(ガザヘの攻撃を止められない)国際社会にもある」と話しました。

唯一の生きがいの娘が
 サミハさん(38)は昨年12月、ガザ中部デイルアルバラの自宅が爆撃されました。夫は流血しながら、サミハさんと娘を連れて建物の外に逃れました。しかし娘の意識はなく、そのまま目を覚ましませんでした。10年間の不妊治療を経て授かった一人娘でした。
 サミハさんは「美しく優しい子だった。私たち夫婦には娘がこの世で唯一の生きがいだった。娘を永遠に失い、生きる意味も希望もなくなった。夫は精神を病み、いつも泣きながら娘の名前を呼んでいる」と話しました。
 サミハさんは今、南部ラファに避難しています。「地獄の6ヵ月だった。私たちの痛みを世界の人々に感じてほしい。いつになったらこの苦しみを止めてくれるのか」と訴えました。


イスラエルに加担許さぬ 米国各地
                       しんぶん赤旗 2024年4月7日
 米国のバイデン政権は、パレスチナのガザ地区に侵攻を続けるイスラエルを強固に支持してきました。侵攻当初から、ユダヤ系平和団体が「私たちの名前を利用するな」と声をあげ、イスラエル支持のバイデン政権に政策変更を迫ってきましたが、11月の大統領選挙に向け、政権への圧力を強める新たな動きが米国各地で起こっています
            (マディソン〈米ウィスコンシン州〉=石黒みずほ 写真も)
若者ら多様な団体 連帯
 3月30日、中部ウィスコンシン州の州都マディソンの街頭で、「『該当者なし』への投票について聞いたことはありますか」とリーフを片手に、呼びかけていたのはヤシーン・ナジープさん(25)。バイデン政権のイスラエルヘの加担を許さない意思を民主党の予備選で示そうと呼ぴかける運動団体「ウィスコンシンの声を聞いて」のメンバーで、パレスチナにルーツを持ちます。
 「即時停戦を求めなければ、バイデン氏は大統領の座に居続ける資格はない」とナジープさんは強調します。
 同州は大統領選挙の勝敗を左右する「激戦州」の一つ。2020年の大統領選ではバイデン氏が2万の差で問州を制しました。

「該当者なし」投票
 しかし2日に投開票された今年の大統領選の予備選では、「該当者なし」が4万8000票を獲得。目標2票の2倍を大きく上回り、ガザでの即時停戦を求める声が大きな存在感を示しました。
 ナジープさんは前回大統領選でイスラム教徒への差別をあおったトランプ前大統領の再選を阻止するため、バイデン氏の勝利に尽力しましたが、「今では彼を支持したことを恥ずかしく思う」と話します。「(イスラエルによるパレスチナの)ジェノサイド(集団殺害)を擁護できる人物は私たちの代表者とは言えない」と語りました。
 運動の発足は、予備選の2週間前。20以上の多種多様な団体、25人の地方議員が支援を表明し、一気に運動が広がりました。「ウィスコンシンの声を聞いて」は、投票を促す電話かけを50万件以上実施・200万人以上の有権者にメールを送信しました。

 即時停戦を求める声を可視化させる運動は、ミシガン州で始まりました。同州も激戦州のひとつで、アラ系の住民が多くいます。該当者なし」の得票は、運動団体の得票目標の10倍相当する10万票(約20の得票)に上りました。ミネソタ州でも投票者の約20が「該当者なし」を選択。ワシンン、ノースカロライナ、コネティカッ、ロードアイランドなどの州でも10%を超えています。
 運動の主体は、若者です。ウィスコンシン大学マディソン校に通うホールジー・ハーザードさんとリーム・イタニさんは大学周辺住宅での訪問・対話活動に参加していました。
 ハーザードさんは、「民主党支持者の票が割れ、トランプ氏をまた勝たせることになる」と懸念を示す男性に対し、「バイデン氏はガザをめぐる対応で多くの支持者を失っている本週でより良い候補者となるために行動を迫ることが必要です」と説得しました。
 学生たちは大学内でのリーフ配布や寮への訪問も行いました。ハーザードさんは「ガザで起きていることが、世界中の不正義の一部であることを若者は認識している」と語りました。

税金が軍事支援に
 イスラエルに対し、年間約38億ドル(約5700億円)の軍事支援を続ける米国。ミルウォーキーでアフリカ系の住民支援を行う「コミュニティーを組織する黒人リーダー」(BLOC)の一員のカイル・ジョンソンさんは、地域住民が抱える問題を目の当たりにしてきました。「国民の生活向上のために使われるべき税金が、他国で無数の罪なき命を奪うために使われている」とイスラエル支援をやめないバイデン政権に憤りました。
 「政権が命よりも政治駆け引きを優先するならば、国民は連帯して立ち向かう。政策を変更しないと大統領週で勝利できないという警告をパイデン氏は真摯に受け止めるべきだ」と話しました。


イスラエルの「誤爆」主張 国境なき医師団が批判“これまでも人道支援要員攻撃”
                        しんぶん赤旗 2024年4月6日
 国際NGO「国境なき医師団(MSF)」は4日、パレスチナのガザで食料支援を行っていた国際NGOの職員7人がイスラエル軍の空爆で殺害された事件について、故意はなかったとするイスラエルの立場を否定し、同国軍はこれまでも、多くの人道支援要員を攻撃してきたことを強調しました
 国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の職員7人がガザで1日にイスラエル軍の空爆によって殺害されました。イスラエル側は空爆を認めていますが、軍事作戦中の意図的ではない「遺憾な事件」と主張しています。
 ロイター通信によると、MSFのクリストファー・ロックイヤー事務局長は4日のスイス・ジュネーブでの記者会見で、「『遺憾な事件』とする物語は受け入れない」と強調しました。
 ロックイヤー氏は、今回の空爆は、これまでのイスラエル側の「人道支援者や医療従事者、ジャーナリスト、国連職員、学校、民家に対する意図的な攻撃と同じパターンだからだ」と説明しました。
 さらに「私たちはここ何週間も言い続けている。この攻撃のパターンは意図的なものか、無謀な無能さを示すもの」だと、イスラエルを厳しく批判。「人道支援活動家へのこうした攻撃が許されているのは、政治の選択だ」「国際人道法の完全な無視だ。そして今、説明責任を果たさなければならない」などと訴えました。
 WCK職員への空爆事件後も、MSFはガザで活動を続けていますが日常的に活動の危険性を見定めながら行っているといいます。
 ロックイヤー氏によると、昨年11月に起きたイスラエル軍によるMSFの護送車への襲撃や今年2月のMSFシェルターへの攻撃などについて、MSFとしてイスラエル側に調査を求めています。「どの事件についても、私は何の説明も受けていない」と述べました。
 国連によると、昨年10月の戦闘開始以降、少なくとも196人の人道支援関係者が犠牲になっています