2024年8月5日月曜日

原水爆禁止2024年世界大会 国際会議は宣言を採択し閉会 広島開会総会

 原水爆禁止2024年世界大会が3日、広島市内で国際会議を皮切りに始まり、4日には国際会議の閉会総会と広島開会総会が開かれました。国際会議では「2025年の被爆80年にむけて、核兵器廃絶を求める壮大な運動を展開しよう」と呼びかける国際会議宣言を採択しました。

 続く広島開会総会には被爆者、諸国政府代表、海外の運動代表、日本の草の根運動の代表らが集い「核兵器のない世界」をめざし共同を広げようと訴えました。
 広島開会総会には3200人が参加し、全国で800人が視聴しました。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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被爆80年へ 核廃絶の壮大な運動を 原水爆禁止2024年世界大会   政府・市民ら 国際会議宣言を採択
                        しんぶん赤旗 2024年8月5日
 広島市で開催されている原水爆禁止2024年世界大会は4日、国際会議の閉会総会と広島開会総会を開きました。国際会議では「2025年の被爆80年にむけて、核兵器廃絶を求める壮大な運動を展開しよう」と呼びかける国際会議宣言を採択。続く広島開会総会には被爆者、諸国政府代表、海外の運動代表、日本の草の根運動の代表らが集い、「核兵器のない世界」をめざし共同を広げようと訴えました
 広島開会総会には3200人が参加し、全国で800人が視聴しました。
 主催者報告で冨田宏治国際会議宣言起草委員長は「核兵器禁止条約を力に、世論と運動をさらに発展させ、核兵器に固執する勢力を追いつめ、核兵器廃絶への展望を確実に切り開こう」と訴えました。
 日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳(てるみ)代表委員はあいさつで、核戦争の最大の危機を解決する道として、唯一の核兵器被害を体験し、平和憲法を持つ日本が真価を発揮すべきだと語りました。
 オーストリアのアレクサンダー・クメント大使は、核兵器と核抑止力を中心とした安全保障の抜本的な転換が必要だとのべ、禁止条約を支持する主張や条約の重要性は鮮明だと強調しました。
 駐日インドネシア大使館のマリア・レナタ・フタガルン副大使は「核軍縮はわが国の最優先課題」と表明。禁止条約は核兵器廃絶の重要なステップだとして、すべての国に早期の署名・批准を呼びかけました。
 核兵器国と核依存国の代表が発言。「非核日本キャンペーン」を広げる経験や決意を、壇上を埋めた各地の代表が発言しました。
 松井一実広島市長のメッセージが代読されました。


核なき世界へ共同 原水爆禁止世界大会始まる
国際会議 核被害を告発 運動交流
                         しんぶん赤旗 2024年8月4日
「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに原水爆禁止2024年世界大会が3日、広島市内で国際会議を皮切りに始まりました。核兵器禁止条約を力にした核兵器廃絶、非核平和のアジアの実現などに向けて、国連、各国政府、市民社会の共同した行動を議論し、廃絶を求める声を発信します。
主催者あいさつした世界大会実行委員会の野口邦和運営委員会共同代表は、核兵器禁止・廃絶の流れを促進し、朝鮮半島の非核化・平和体制の構築と日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫る方針を打ち出す大会にしようと呼びかけ。「平和の波」行動の開始を宣言しました。

第1セッション「被ばく者の声を世界に」では、日本と韓国の被爆者が証言。広島「黒い雨」被害と長崎「被爆体験者」のたたかいが報告され、ビキニ水爆実験の被害をマーシャル諸島の代表と、多くの被災船が帰港した高知県の代表が発言。禁止条約第6条、7条の被爆者援護と国際協力について、オーストリアのトーマス・ハイノッチ大使が説明しました。
第2セッション「核兵器のない平和で公正な世界を」では、核保有国の米国、「核の傘」にあるスペイン、韓国、日本の平和団体の代表が各国の情勢と運動を報告。英国・核軍縮運動(CND)のケイト・ハドソン事務局長は、世界で新たな軍拡競争が進む一方、核兵器廃絶を求める市民社会の運動・連帯が広がっていると述べました。
第3セッション「市民社会の連帯と運動交流」では、来年の被爆80年に向けて、核兵器のない世界のための共同行動などについて、米国、ロシア、フランス、日本の代表が報告。国際平和ビューロー(IPB)のショーン・コナー事務局長は、核抑止の対案は核兵器廃絶だとして、運動の推進を呼びかけました。


核なくし核戦争の危険止めよう
原水爆禁止2024年世界大会・国際会議
                         しんぶん赤旗 2024年8月4日
 原水爆禁止2024年世界大会・国際会議が3日、広島市内で始まりました。第1セッション「被ばく者の声を世界に」、第2セッション「核兵器のない平和で公正な世界を」で、海外代表や被爆者らが核被害の告発、大軍拡が進む世界情勢と核兵器廃絶に向けた取り組みを交流しました。

第1セッション 被ばく者の声を世界に
隠ぺいも差別も許さぬ
 第1セッション「被ばく者の声を世界に」では、日韓の被爆者や「黒い雨」被害者、核実験被害者らが被害の実相とたたかいを訴え、国際法の専門家が核被害者支援の課題について報告しました。
 日本原水爆被害者団体協議会の木戸季市(すえいち)事務局長は「今、核戦争が起こされるのではないかという恐怖にかられている」と切り出しました。長崎での被爆体験を語り「原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない兵器だ」とのべ、「核抑止」論は「核脅し」論以外の何物でもないと批判しました。
 広島で被爆した韓国原爆被害者協会釜山(プサン)支部の朴貞順(パク・ジョンスン)さんは、村が全滅し「地獄だった」と告発。韓国に逃れたものの、日本で生まれた朴さんには見知らぬ国で言葉もできず、両親は病気がちに。「原爆じゃなかったら」との思いが募ると語り、「核兵器を世界からなくしてほしい」と訴えました。
分断を告発
 広島の「『黒い雨』被害者を支援する会」の高東征二事務局長は、「黒い雨」被害者が被爆者健康手帳の交付を求めて提訴し、広島高裁で勝訴をかちとるまでのたたかいを報告。原告46人が第2次訴訟を進めているとのべ「内部被ばくを無視して、被害を小さく見せようとしていることを許すことはできない」と強調しました。
 長崎総合科学大学の大矢正人名誉教授は、「黒い雨」広島高裁判決の立場に立てば、長崎の「被爆体験者」も「被爆者」であることは明白だと指摘。「政府・厚労省による広島と長崎の分断を許すことはできない」と訴えました。
 マーシャル諸島のアバッカ・アンジャイン・マディソン元上院議員は、水爆実験を行った米国が、特にロンゲラップ島民をモルモットのように調査したと指摘。マーシャル諸島島民の多くが死に、がんにかかり、今後もがんと診断される人は増えるだろうと話し、「手をとりあい、将来の世代と地球のために、核兵器の存在そのものを廃絶しよう」と呼びかけました。
条約を力に
 高知の「太平洋核被災支援センター」の橋元陽一副代表は、ビキニ事件で放射能に汚染されたマグロを放棄した漁船は1000隻に及び、3分の1が高知県の船だと指摘。1万人を超えるマグロ漁船員の健康調査や救済が見捨てられ、被ばくの実態が隠ぺいされてきたとのべ、元漁船員らが裁判をたたかっていると報告しました。
 オーストリアのトーマス・ハイノッチ大使は、核兵器禁止条約の第6条の被害者援助と環境修復、第7条の国際協力と支援について詳述。第6条第1項は、被害者への援助が十分で差別のないものでなければならず、「黒い雨」被害者のような特定グループに対する差別は許されないとしていると指摘しました。

第2セッション 核兵器のない平和で公正な世界を
世論と運動がカギ握る
 第2セッションで、米国の平和・軍縮・共通安全保障キャンペーンのジョゼフ・ガーソン議長は、ウクライナやガザの二つの戦争や台湾、南・東シナ海、朝鮮半島などの対立が「核戦争に発展する危険がある」と警告し、「現瞬間は1950年代の歯止めない核軍拡競争の時代を思い起こさせる」と指摘しました。バイデン現政権やトランプ前大統領も核軍拡の路線を持つ中で、米国では核軍拡の悪循環の脱却を求める「瀬戸際から引き返せ」キャンペーンへの支持が広がり、全米市長会議が核兵器廃絶の声明を出すなど「突破口」も開かれていると報告しました。
若者が活動
 英国の核軍縮運動(CND)のケイト・ハドソン事務局長は、NATO首脳会議で、▽米長距離ミサイルのドイツ配備▽ウクライナによるロシア国内の標的への攻撃承認―を決めたことで「第3次世界大戦の危険が迫っている」と警告。政権交代で生まれた労働党政権も「NATO、核兵器、戦争、軍事費増大を熱心に進めようとしている」と批判しました。一方でガザの平和を求める若者の活動が広がり、米国が新型核兵器を持ち込もうとするレイクンヒース空軍基地での抗議活動は大きな支持を集めたと報告しました。
 スペインから参加した核軍縮同盟のマリベル・エルナンデス氏は、1966年に核爆弾を搭載した米軍機がスペインで事故を起こし、核汚染が発生した事件に言及。当時の独裁政権下で、事故の真相究明が置き去りにされたと指摘しました。今の政府も核兵器禁止条約に背を向けているなか、昨年、スペインの諸団体63団体が結集し、核軍縮を求め、政府に核兵器禁止条約調印を迫るために「核軍縮同盟」を発足させたことを紹介。6月には、バルセロナなど100都市で禁止条約支持と政府に条約調印を求める決議を上げさせる成果も達成しました。
署名を推進
 韓国の韓信大学客員研究員の李俊揆(イ・ジュンギュ)氏は、北朝鮮が「核武力の高度化」と先制攻撃の方針を打ち出し、米の先制攻撃戦略とぶつかり合う構図が生まれていると警告。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が、韓米同盟に基づく核の傘=拡大抑止の強化を進めていると指摘しました。朝鮮半島では「敵対的」な関係から「平和と共存の二国間関係」への変革に取り組み、「この地域で対話・協力のための多国間の国際的枠組みが求められている」と述べました。
 日本原水協の安井正和事務局長は、日米軍事同盟の大変質が進む中で、「カギを握るのは世論と運動だ」として、来年の被爆80年に向けて、「非核日本キャンペーン」を進めていると述べました。来年8月末まで、核兵器禁止条約加盟を求める署名活動や、核被害の実相を伝える活動に取り組もうと訴えました。


核兵器のない世界実現を 原水爆禁止2024年世界大会・国際会議
                         しんぶん赤旗 2024年8月4日
 3日始まった原水爆禁止2024年世界大会・国際会議での野口邦和大会運営委員会共同代表の主催者あいさつと、第3セッション「市民社会の連帯と運動交流」を紹介します。

主催者あいさつ 世界大会実行委員会運営委員会共同代表 野口邦和さん
新たな決意で前進へ
 被爆者の平均年齢は85・8歳(2024年3月末現在)となり高齢化が進んでいます。被爆者の願う「生きている間に核兵器のない世界の実現」にこたえる私たちの新たな決意と運動の一層の前進が求められます。
 ウクライナを支援する各国政府、国民に対するロシアによる核使用の威嚇は、核兵器は他国への侵攻、威嚇、緊張を高めるものでしかないことを教えています。人類が核兵器使用の惨禍から免れる唯一の確実な保証は、核兵器禁止・廃絶以外にないことに確信を持ちましょう。
 岸田政権は、仮想敵国の領域内を直接攻撃する敵基地攻撃能力の保有など米国言いなりの大軍拡を進めています。東アジアの軍事的緊張を激化させる「戦争の準備」でなく、憲法9条に基づく外交による「平和の準備」の実行を国民の多数が求めています。
 実行委員会が世界に呼びかけた核兵器廃絶を目標とする草の根からの国際的な共同行動「平和の波」の開始を宣言します。全国そして世界の皆さん、核兵器使うな、なくせの波を大きく広げましょう。
 核兵器禁止・廃絶の流れを促進し、日本政府に禁止条約参加と平和外交を迫る共同と方針を打ち出す場となることを期待しています。

第3セッション 市民社会の連帯と運動
若者の行動に希望
 第3セッションでは「市民社会の連帯と運動交流」をテーマに話し合いました。ニューヨーク州立大学ボイコット・投資撤収・制裁キャンペーンのレックス・アレックスさんは、イスラエル軍と取引のある企業からの資本引き揚げを要求する座り込みや学内キャンプなどを報告。「停学処分にすると脅され私たちはキャンパスを出ていくことになったが、数百人の学生が集まって声をあげ、全米70カ所以上で行動が広がった。世界中で何百万人もの若者が立ち上がったことに私は希望を見いだす」と語りました。
 フィンランド湾南岸公共評議会(ロシア)のオレグ・ボドロフ議長は、核・放射線施設は実際に軍用機によって破壊されており、原発が破壊されれば世界規模で人体に深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘。「フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟し緊張が高まる下、市民社会は重要な任務を負っている」と話しました。
 フランス平和運動のロラン・ニベ全国書記は、国連憲章や数々の国連決議、国際法を土台にした平和構築が必要だと強調。「ネット署名などを通じて、すべての国、国際組織、各国組織、地方自治体と協力する必要がある」と述べました。
 国際平和ビューロー(IPB)のショーン・コナー事務局長は、核大国間での威嚇は新たな冷戦の様相を呈しており、核保有国や「核の傘」依存国でも市民が声をあげる必要があると指摘。「どの国家も他国を犠牲にして自国の安全を確保することはできない。完全廃絶の目標へ核兵器を削減することは、国家間の信頼を高め、対話を促進し、私たちを破壊の瀬戸際から引き戻す」と語りました。
 日本平和委員会の千坂純事務局長は、核搭載可能な米国の戦略爆撃機と自衛隊の戦闘機の共同訓練が急増するなど、岸田政権による大軍拡は米国の「拡大抑止」(いざという場合の核兵器使用態勢)の強化と一体に進められていると強調。「米国の指揮下で日本全土が戦場になる危険性が高まる下、沖縄をはじめ全国で反対運動が繰り広げられ、それらがつながり、広がろうとしている」と話しました。
 ドイツのローザ・ルクセンブルク財団のハインツ・ビアバウム理事長が特別発言しました。