2024年8月29日木曜日

関東大震災 朝鮮人虐殺101年を前に差別反対のパレード 在日朝鮮人と日本人の学生

 関東大震災・朝鮮人虐殺から9月1日101年になるのを前に、在日朝鮮人の学生や日本人の学生ら約10027日、新宿駅東口前から都庁にかけて昨年に引き続き2回目のデモ・パレードを行いました。小池百合子都知事が虐殺犠牲者の追悼式典に追悼文を送付しない姿勢を取っていることに対し「東京都は朝鮮人虐殺を否定するな」などとコールしました。

 1923年の大震災後「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言が広がり、数干人といわれる朝鮮人が軍隊や民衆によって虐殺されました。墨田区の横網町公園に建てられた追悼碑は、関東大震災から50年目の1973年に、虐殺の犠牲となった朝鮮人らを悼む目的で当時の実行委員会が寄付を募り都と連携して建立し、翌74年から毎年9月1日に追悼式典を開いてきました。それ以降歴代の都知事が追悼文を送ってましたが、小池都知事は2017年からそれを拒否しています。
 その理由が「大震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方も含めて、全ての方々に対して慰霊する気持ちを表している」という、大震災により亡くなった被災者への追悼に震災とは別の虐殺による犠牲者への追悼も含めるという、到底通用し得ない、常識に反するものでした。
 小池氏はまた大震災での朝鮮人虐殺について問われても、「何が明白な事実かについては歴史家がひもとくもの」などと述べて事実だと認めようとしません。事件後100年も経過したのに未だに「虐殺はなかった」というような説が存在すると本当に思っているのでしょうか。広い地域に渡って虐殺が行われたために犠牲者の正確な数は確定されていませんが、数千人に上ることは明らかで、大虐殺自体を認めようとしないのは余程どうかしています。
 虐殺を否定する組織に「そよ風」がありますが、小池氏はそこの幹部とかつて親交があったことが知られています。従ってその影響が考えられますが、余りにも偏っていて常識のある人間が取るべき態度ではありません。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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関東大震災 朝鮮人虐殺101年を前に差別反対のパレード 在日朝鮮人と日本人の学生
                        しんぶん赤旗 2024年8月28日




「東京都は(関東大震災での)朝鮮人虐殺を否定するな」とコールする参加者=27日、東京都内




 関東大震災・朝鮮人虐殺から9月で101年になるのを前に、虐殺の歴史を記憶し、差別に反対する在日朝鮮人の学生や日本人の学生らが27日、東京都内でデモ・パレードを行いました。小池百合子都知事が虐殺犠牲者の追悼式典に追悼文を送付しない姿勢を取っていることに対し、「東京都は朝鮮人虐殺を否定するな」などとコールしました。

 昨年に続き2回目となったデモ・パレードには各地から約100人が参加。新宿駅東口前から都庁にかけて歩きました。
 愛知県から来た在日朝鮮人4世で大学3年生(20)は、朝鮮学校に対する自治体の補助金が停止されている問題について、「朝鮮人への差別は現代でも起きている。今すぐ是正してほしい」と話しました。
 女性(23)=千葉県=は、日本の植民地支配から解放された「光復節」に合わせ、大学のゼミ仲間と渡韓した際に現地の活動家の思いにふれ、初めてデモに参加。「小池都知事は虐殺犠牲者への追悼文を送るべきだ」と語りました。
 都庁前のスタンディングでは、一橋大学大学院で朝鮮近現代史を専攻している男性(24)がスピーチ。朝鮮人虐殺は国家的犯罪であるとし、「公権力が差別に“NO”とはっきり言わなければ、差別はなくならない。国や都は歴史わい曲をやめ、植民地支配の責任を果たすべきだ」と訴えました。


追悼文拒否 小池都知事に抗議 朝鮮人犠牲者追悼式典 実行委、声明提
                        しんぶん赤旗 2024年8月27
 関東大震災時のデマにより虐殺された朝鮮人犠牲者への追悼文について、東京都の小池合子知事が今年も送付を拒否した問題で、追悼式典の実行委員会は26日都庁を訪れ都知事あての抗議声明を提出しました。歴史的事実を「なかったことにしたい、との思いがあるのではないか」と批判し、都知事に再考を求めました。
 1923年の大震災後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言が広がり、数干といわれる朝鮮人が軍隊や民衆によって虐殺されました。追悼式典は毎年9月1日、東京都墨田区の横網町公園で行われています。74年以降、歴代知事が追悼文を送っていましたが、小池知事は2017年から拒否しています。
 26日、都庁で会見した式典実行委員会の宮川泰彦実行委員長は「大地震という自然災害により命を失った被災者への追悼と、人の手によって命を奪われた被害者への追悼は意味合いが異なる」として、小池都知事が送付を拒否した理由について批判。「人として恥ずかしかった歴史に目を向けず逃げまわる。その姿こそが恥ずかしい」「事実に向き合い、二度とこのような過ちを起こさないよう、自治体の長としての態度を明確にすべきである」と述べました。
 声明を受け取った都の担当者は「都知事、関係者にすみやかに伝えたい」と答えました。


主張 朝鮮人虐殺と知事 史実を直視し追悼文の送付を
                        しんぶん赤旗 2024年8月28日
 東京都の小池百合子知事は、1923年の関東大震災直後に虐殺された朝鮮人犠牲者らを追悼する式典に今年も追悼文を送らない考えを示しています。
 歴代都知事は式典に追悼文を送ってきました。ところが、小池氏は知事に就任した2016年は送付したものの、翌年からは取りやめました。今回も見送れば8年連続となります。式典を主催する実行委員会(日朝協会東京都連合会などで構成)が、小池氏の追悼文送付拒否を厳しく批判しているのは当然です。

■式典の意味を無視
 追悼式典は9月1日に都立横網町公園(墨田区)内にある東京都慰霊堂そばの朝鮮人犠牲者追悼碑の前で営まれます。追悼碑は関東大震災から50年目の1973年に虐殺の犠牲となった朝鮮人らを悼む目的で当時の実行委員会が寄付を募り都と連携し建立したものです。翌74年から毎年、大震災のあった9月1日に追悼式典を開いてきました。
 小池氏が追悼文を送るのをやめたのは、2017年3月の都議会で自民党の古賀俊昭議員(当時)が碑文の内容などに難癖をつけ、碑の撤去や追悼文送付の再考を求めてからでした。
 小池氏は今月23日の記者会見で、追悼文を出さない理由について「(9月1日に)東京都の慰霊堂で開かれる大法要で、(関東大)震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方も含めて、全ての方々に対して慰霊する気持ちを表している」と、これまでの主張を繰り返しました。
 しかし、朝鮮人犠牲者追悼式典は「人の手によって命を奪われた朝鮮人犠牲者を追悼し、二度と同じ過ちを起こさないことを誓い合う式典」(実行委員会)です。大地震による自然災害で命を失った被災者への追悼と、震災とは別の人災による犠牲者への追悼は意味が異なります。そのため歴代の知事は都慰霊堂の大法要で追悼の辞を述べるとともに、朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送ってきました。小池氏の態度は式典の意味を無視するものです。

■虐殺は歴史の事実
 小池氏は、大震災での朝鮮人虐殺について問われても、「何が明白な事実かについては歴史家がひもとくもの」などと述べ、事実だと認めません。しかし、大震災の発生直後から、朝鮮人が暴動を起こすなどといったデマが流れ、軍や警察、自警団が集団虐殺を行ったことを示す公的資料は数多く存在しています。
 政府の中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」は09年に関東大震災に関する報告書を公表しています。
 同報告書は「当時の公的機関が作成した記録に依拠」してまとめたもので、「朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた」「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」と明確に認定しています。

 朝鮮人虐殺は動かしようのない歴史の事実です。「極度の混乱下での事情で犠牲となった」などとあいまいにすることは許されません。小池氏は史実を直視し、追悼文を送るべきです。