櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
西側が口にする「言論の自由」は、体制側の意に適う範囲での自由であることはもはや論を俟ちませんが、ウクライナ戦争が始まりさらにイスラエルによるガザ攻撃が始まってからは、言論弾圧は一層厳しくなりました。
国際(刑事/司法)裁判所が犯罪と見做した蛮行を止めないイスラエルを批判しただけで、人種差別法違反の疑いで告訴されたり、イスラエル軍によるガザ虐殺を伝えただけで逮捕されるなど、正に常軌を逸しています。
どこまで狂おうとしているのか、窮地に追い込まれた体制側がついに本性を現わしたのでしょう。
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西側で進む言論弾圧
櫻井ジャーナル 2024.08.30
最近、オーストラリアの有名ジャーナリスト、メアリー・コスタキディスはイスラエルを批判するXのツイート2件をリツイートしたことから人種差別法違反の疑いで告訴された。ヒズボラ指導者ハサン・ナスララの演説を撮影したビデオを含む書き込みのリツイート、イギリスのジャーナリスト、リッチ・メドハーストによる書き込みのリツイートが問題にされた。
メドハーストはイスラエル軍によるガザでの虐殺を伝えていたジャーナリストで、虐殺を続けるイスラエルやその虐殺を支えている欧米諸国から睨まれていた。彼は8月15日、ロンドンのヒースロー空港で逮捕されている。
同じようにイスラエルによる虐殺を暴き、さらにウクライナでの実態を伝えていたアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはパスポートを空港で押収され、家宅捜索を受けている。
また、内部告発を支援していたWikiLeaksの象徴であるジュリアン・アッサンジは長期にわたって刑務所で拘束され、ウクライナに住みながら同国のクーデター体制を取材していたチリ系アメリカ人ジャーナリストのゴンサロ・リラは刑務所内で拷問され、死亡している。
欧米の私的権力に弾圧されたジャーナリストはほかにもいる。例えばウクライナ東部のドンバスではドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレット。ドイツ人ジャーナリストのパトリック・バーブは職を失い、アリナ・リップは銀行口座を接収された。
こうしたジャーナリストと協力して支配システムの腐敗、犯罪を明らかにしてきた内部告発者も弾圧されている。例えば、ベトナム戦争の実態を明らかにする国防総省の機密文書、「ベトナムにおける政策決定の歴史、1945年-1968年(ペンタゴン・ペーパーズ)」を公表したダニエル・エルズバーグ、電子情報機関NSAの不正を明らかにしたウィリアム・ビーニーやエドワード・スノーデン、CIAの危険な作戦を組織内部で警告したジェフリー・スターリング、そしてCIAなどによる拷問を告発したジャニス・カルピンスキーやジョン・キリアク、WikiLeaksへアメリカ軍の犯罪行為を明らかにする映像などを渡したブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)。いずれも支配者から報復され、刑務所へ入られた人もいる。
アメリカやイギリスを中心とする帝国主義諸国は1990年代に侵略戦争を本格化させたが、シリアで苦戦、ウクライナを制圧してロシアを潰しにかかったところで反撃にあい、軍事的に劣勢。経済も厳しい状況。自分たちが支援しているイスラエルもパレスチナで窮地に陥った。
現在、西側諸国は有力メディアを使い、情報操作で人心をコントロールしようとしている。西側の体制を支配する私的権力にとって都合の良い物語を人びとに信じさせ、操ろうとしているのだが、インターネットには事実を伝える仕組みがまだ残されている。帝国主義者はそれを潰そうと必死だ。
テレグラムのパベル・ドゥロフは8月24日にパリのル・ブルジェ空港で逮捕されたが、その罪状の中に、法執行機関の要請に基づく、法律で認められた盗聴の実施および実施に必要な情報または文書の提供の拒否が挙げられている。この逮捕を指示した人物はエマニュエル・マクロン大統領だとされているが、その文書から逮捕の黒幕はフランス以外の国だとも指摘されている。
フランス政府によるドゥロフ逮捕が許されるなら、どの国の政府でも同じような逮捕が許されることになる。実際、欧米の情報機関はグーグル、フェイスブック、X(ツイッター)などインターネット・サービス会社をすでに支配していると言われている。(この問題は2005年に三一書房から出版した拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも取り上げている。)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。