かつて米国において奴隷制度があったことはよく知られていますが、実はそれは母国の英国で300年来行われてきたものをそのまま踏襲したものでした。
国連人種差別撤廃委員会は23日、英国内で人種差別的なヘイトスピーチや排外主義的な言説が急増しているとする報告書を発表し、過去に行った植民地支配や奴隷制への関与を英政府が誤りと認めないことが現代の人種差別の背景の一つだとして「関係国への公式な謝罪と賠償を検討すべきだ」と勧告しました。
それは英政府の取り組みを4年間にわたり分析したもので、英国が過ちを認めないことが、「人種差別、不寛容、人種に基づく偏見をあおっている。特にアフリカ系の人たちの人権と基本的自由の完全な享受を阻んでいる」と強調し、加害者が「効果的に調査され、制裁を受ける」ような取り組みの実施を促しました。
何か1世紀も前に戻ったかのような話です。先進国を気取っていてもこれでは他国から尊敬されることはありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
植民地・奴隷制 英国は謝罪必要 国連報告書「ヘイト・排外主義の背景」
しんぶん赤旗 2024年8月25日
国連人種差別撤廃委員会は23日、英国内で人種差別的なヘイトスピーチや排外主義的な言説が急増しているとする報告書を発表し、政府に対応を促しました。英国が過去に行った植民地支配や奴隷制への関与を英政府が誤りと認めないことが、現代の人種差別の背景の一つだとして「関係国への公式な謝罪と賠償を検討すべきだ」と勧告しました。
報告書は、人種差別に関する英政府の取り組みを4年間にわたり分析したものです。極右団体や白人至上主義者による移民や難民、少数民族への暴力、人種差別、ヘイトスピーチが繰り返されていると指摘・各種メディアやオンライン上の交流サイトで排外主義的な言説が急増しているとして、加害者が「効果的に調査され、制裁を受ける」ような取り組みの実施を促しました。
警察が人種に基づくプロファイリング(捜査対象の判別)を行っている点も問題視。移民・難民にルーツを持つ生徒が多く通う学校で過剰な取り締まりが行われたと例示しました。
報告は、英国が過去に植民地主義や奴隷制に関与した過ちを認めない点について「人種差別、不寛容、人種に基づく偏見をあおっている。特にアフリカ系の人たちの人権と基本的自由の完全な享受を阻んでいる」と強調しました。
その上で、大英帝国下での植民地主義と奴隷制の歴史について、学校の授業で明確に説明することなどを要求。「植民地主義の遺産や奴隷制の下で行われた人身売買と、現代の構造的な人種差別との関連について利害関係者と緊密に協議し、認識を高める努力を強化すべきだ」と迫りました。
英国内では今月、殺人事件の加害者が不法入国者だったとする偽情報を基に、不法移民の排斥を訴える大規模な暴動が起きたばかりです。報告書作成の調査を担当したギュン・クト委員は記者団に対し、政治家や公人が拡散する憎悪が人種差別に伴う暴力を招いているとの見方を示しました。
奴隷貿易犠牲者追悼 記念碑デザイン公開 ロンドン
しんぶん赤旗 2024年8月25日
英国のロンドン市は23日、国連が定めた「奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー」に合わせ、過去に英国が関与した奴隷貿易の犠牲者を追悼する記念碑のデザインを公開しました。ロイター通信が報じました。
記念碑は、ロンドン東部のウエストインディアキーに建設予定です。この場所には、カリプ海の農園で奴隷を酷使して生産した砂糖などを受け取る倉庫がありました。
英国は奴隷制が廃止される19世紀までの約300年間で300万人以上のアフリカ人を奴隷として船に積み込み、大西洋を横断させました。ロンドンの金融街「シティー」地区は当時行われた人身売買取引の中心地でした。
ロンドンのウィークスバーナード副市長は記念碑のデザイン発表を受け「私たちは、ロンドンの富の多くが奴隷にされた人たちの背中の上に築かれたことを知っている」と語りました。