2024年8月31日土曜日

31- 善人が何もしないようにするために存在している民主党

 米国の二大政党には本質的な差はなくて似たような政党なのだ、ということは兼ねてから言われてきたことです。それなのにその二つの政党が推薦する大統領候補を巡って半年近くもお祭り騒ぎをするのですから米国民は根ってからお祭りが好きなのでしょう。
 いま行われているイスラエルのガザ攻撃を実質的に支えてきたのは米国で、その残虐さと規模は世界史に残るものです。それにもかかわらず民主党候補も共和党候補も、「ジェノサイドを止めさせる」と明言できないのは不思議なことです。しかしどちらの候補が当選しようとも、イスラエルを制止できないのですからそうするしかないのでしょう。意志がなければ道を拓けないわけで その点では不毛の選挙です。

 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
 彼女は先ず「共和党が『悪』なのは良心がある人なら誰でも一目でわかる」として、「悪」でありながらすぐに見分けがつくとしてそれ以上は言及していません。
 問題は民主党の偽善ぶりの方です。女性下院議員のアレクサンドリア・オカシオが、「カマラ・ハリスがガザでの停戦確保に精力的に取り組んでいる」というあからさまな嘘を広めているので彼女を信頼する人々はそれを聞いて安心して、カマラ・ハリスに投票することになると述べています。
 そして問題は、単に一人の女性議員の発言云々ではなくて、民主党は常に「悪」の党に対して自らは「善」の党であると振る舞って国民を誤魔化してきたと指摘しています。
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善人が何もしないようにするために存在している民主党
                 マスコミに載らない海外記事 2024年8月29

  「悪の勝利のために必要なことは、善人が何もしないことだけだ」という認識を帝国
  は武器にしてきた。それゆえ、民主党は善人ではなく、良いことをしていないという
  現実を広めることは、その武器を奪うのに役に立つ。
                  ケイトリン・ジョンストン 2024年8月23日


 私がこれほど民主党を批判する理由は悪の勝利のために必要なことは、善人が何もしないことだけだという格言で説明できる。善人が決して何もしないようにするために民主党は存在しているのだ。
 ガザはまさにその完璧な例だ。インスタグラムの進歩主義者アレクサンドリア・オカシオ=コルテスAOCが:カマラ・ハリスが「ガザでの停戦確保に精力的に取り組んでいる」というあからさまな嘘を広めると、AOCを信頼する人々は安心して、大量虐殺を終わらせろという要求をやめることになる。現政権は、この問題に対処できると信頼しており、ガザを救うために必要なのは11月に副大統領に投票することだけなのだと、極左として売り出された、この女性下院議員は人々に語っている。
 共和党員に、このような操作を強いる必要はない。共和党員は、イスラム教徒を絶滅させるべきだと信じ、イエスを復活させ、異教徒全員を地獄で焼くという聖書の予言を実現するというだけの理由で、ガザでのイスラエルの残虐行為を支持しているのだ。このような操作は、ガザで起きていることを知って、この大量虐殺を終わらせるため、あらゆる手段を講じるような人々を政治的に無力化するためにのみ必要なのだ。

 だから、もし民主党が、そのふりをしている通りのものであれば、世界の多くの問題は存在しなかったはずなのだ。もし民主党が、本気で共和党の最も病んだ衝動に対抗して、本気で平和と正義と平等と一般労働者を支持していれば、アメリカのみならず、世界中で見分けがつかないほど事態は違っていたはずだ。善人が何もしないのではなく、何かをするがゆえに、悪は勝利できないのだ。
 このようなことが起きるのを防ぐために民主党は存在している。悪の派閥に善の派閥が対抗する代わりに、世界最強力で影響力ある政府には、悪の計画を推進するために協力する二つの悪の派閥があるのだ。しかし、これが非常に破壊的になっているのは、単に公然と悪の派閥が二つあるせいではない。公然と悪の派閥が一つあり、もう一つの派閥は、悪の派閥に対して、善人と共に立っているふりをしているのだ。
 もしそれが明らかに邪悪な二つの派閥だったら、自分達の目標がどちらの党にも代表されていないのを善人は即座に認識し、本当の革命運動が生じるはずだ。民主党がこれほど効果的な心理作戦になっている理由は、国内で権力と影響力を持つ連中全員敵だという認識を善人にさせないためだ。そして、それに応じた対応をさせないことだ。

 アメリカの進歩主義者連中は、停戦や二国家解決について、そのどちらも実現する本当の意図を持ったことがない政党の空虚な言葉で、10か月半も麻痺状態に陥っている。ネタニヤフ政権そのもの同様に、バイデン政権は、イスラエルの大量虐殺残虐行為の罪を犯しているが、口先だけで、人道的懸念をし、和平に向け取り組むふりをしながら、ネタニヤフに対して、バイデンがどれほど怒り、厳しい態度を取っているかという話をマスコミに頻繁に漏洩して、多くの人々の目に、この罪を覆い隠しているのだ。
 それが今回の大統領選唯一の特徴だ。初の女性大統領を選出しないこと。トランプを阻止しないこと。(それが何を意味するにせよ)アメリカ民主主義を救わないこと。今回の大統領選唯一の特徴は、アメリカ二大政党の一方が、恐ろしい大量虐殺でパレスチナ人を虐殺してきた政権を支持しながら、パレスチナ人のために平和と正義を求めると主張しているのだ。
 それが民主党の効果で、10月7日よりずっと前から連中はそうしてきたのだ。前任者の最も堕落した残忍な政策を全て継続し拡大しながら、オバマは深い思いやりと平和と正義への愛を表現する華麗な散文の織物を織り上げて政治的遺産を作り上げた。バイデン就任時、欧米諸国のリベラル派は安堵のため息をついた。なぜなら、ようやく「大人が部屋に戻ってきた」からだ。そして今や彼は、本物の大量虐殺を支持しながら、核超大国に対する代理戦争を着実にエスカレートさせている

 国内外での果てしない暴力や抑圧や搾取に依存して存続している帝国には、そうした物事に反対するような主要政党を持つ余裕はないのだ。だから、そういう政党はないのだ。そして、そうであるかのように装いながら、そうではないからこそ、連中はこの暴政への異議申し立てを政治討論の片隅に追いやれるのだ。
 だから共和党よりも民主党を私は批判するのだ。彼らの方が、より多くの批判を必要とするからだ。共和党が悪なのは良心がある人なら誰でも一目でわかる。一方、民主党が悪なのは遙かにわかりにくく、理解するには通常より多くの意識や論評が必要だ。

 「悪の勝利のために必要なことは、善人が何もしないことだけだ」という認識を帝国は武器にしてきた。それゆえ、民主党は善人ではなく、良いことをしていない現実を広めることは、その武器を奪うのに役に立つのだ。
 善人が何もしない限り、悪は勝利し続けるだろう。そして、悪を確実に勝利させることだけを目的とする政党に、自分たちの価値観や願望が代表されていると善人が思い込んでいる限り、彼ら何もしないまま居続けるだろう。そういう思い込みの粉砕が、健全な世界への絶対的に不可欠な第一歩だ。これこそが世界中の善人が目指すべき主要目標だ。

  (中 略)

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/08/23/the-democratic-party-exists-to-make-sure-good-people-do-nothing/