2024年8月7日水曜日

収容中に衰弱したウガンダ出身女性 仮放免で「命つないだ」

 ウガンダで政治活動に対する弾圧から逃れて昨年12月に成田空港に到着した女性が難民としての保護を求めたものの認められず東京入管に収容されました。7カ月以上収容されるなかで食事が喉を通らなくなり、無理に食べると吐いてしまうため卵だけを食べたり水だけを飲んで済ませました。体重が11キロ痩せ、栄養不足でたびたびめまいを起こし、シャワー中に倒れるなどしました。

 女性はこれまで仮放免を2度申請しましたが許可されず、代理人の駒井知会弁護士は7月8日に3度目の仮放免許可申請するに当たり「今すぐ許可するよう最大限に強い要請」をしました。その結果8月5日にようやく一時的に収容を解く「仮放免」が実現しました。
 
 ところで6月10日付で改定入管法が施行されました。そのため入管庁は被収容者に対し「仮放免」ではなく新制度の「監理措置」を申請するよう誘導していますが、それは解放された被収容者を監視する「監理人」を必要とするため簡単には申請できません。元々それは国が管理すべきものを善意の民間人に代行させるもので大変な改悪でした。
 今回は支援者たちの努力で「仮放免」が実現でき 女性は健康回復が期待出来そうですが、名古屋入管で死亡したウィシュマ・サンダマリさんの事件を機に批判された入管の非人道性は、いまも改善されていません。
 7月25日付と8月6日付の2つのしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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収容女性体調急激 東京入管 代理人「仮放を」
                        しんぶん赤旗 2024年7月25日
 東京出入国在留管理局(港区)の施設に7ヵ月以上収容されている女性の体調が急速に悪化していることが24日、わかりました。食べても吐くなど、名古屋入管で死亡したウィシュマ・サンダマリさんと似た症状を示しており、代理人弁士が即時の解放を求めています。
 収容施設で面会したウガンダ出身の女性は、2ヵ前の面時と比べてやせ細りうつむき加減で会話も途切れがちでした。収容当時から体重が10キロ減少したと言います。
 収容施設で出される食事は喉を通らず、無理に食べると吐いてしまうため、卵だけを食べたり水だけを飲んで済ませています。栄養不足でたびたびめまいを起こし、シャワー中に倒れたこともあると訴えました。
 入管施設内の医師からは「体が弱っている。この体重減少はとても心配だ」と言われ貧血や低血圧、栄養不足を指摘されたといいます。
 女性はこれまで一時に収容を解く仮放免を2度申請しましたが、いずれも許可されませんでした。代理人の駒井知会弁護士は東京入管に対し、8日に提出した3度目の仮放免許可申請を「今すぐ許可するよう最大限に強い要請」をしています。
 女性は昨年12月に成田空港に到着し、難民として保護を求めたものの認められず、東京入に移送されました。


仮放免「命つないだ」ウガンダ出身女性、収容中に衰弱
                         しんぶん赤旗 2024年8月6日
 東京出入国在留管理局(港区)の施設に7カ月以上収容されていたウガンダ出身の女性が5日、一時的に収容を解く「仮放免」となりました。収容中に体重が11キロ減るなど衰弱したため、支援者らは「命をつないだ」と喜びました

 女性が東京入管6階の廊下に出てくると、歓声を上げた支援者らと抱き合い、女性は手で顔を覆いました。2ヵ月前より声の力強さが衰えたものの、「とてもうれしく、興奮しています。収容から解放まで長くかかりとてもつらかったが、今は幸せ。皆さんの尽力に感謝しています」と話しました。
 女性は出身国での政治活動に対する弾圧から逃れ、昨年12月に成田空港に到着。保護を求めたものの認められず東京入管に収容されました。施設で提供される食事がのどを通らず、「無理に食べると吐いてしまう」と訴えていました。
 7月に入ると体重の減少が加速し、めまいで倒れるようになったため、日本共産党の本村伸子衆院議員が7月29日、入管庁に対して即時の解放を求めていました。解放直前はあばら骨が浮き上がり、読書や日光浴もできなくなったため横になって過ごしていました。
 6月10日の改定入管法施行後、入管庁は被収容者に対し、「仮放免」ではなく新制度の「監理措置」を申請するよう誘導していると複数の支援者や被収容者が証言しています。監理措置では、解放された被収容者を監視する「監理人」のなり手がつかず、申請できない人がいます。
「仮放免」は健康上、人上の理由がある場合のみ認める運用。女性の代理人の駒井知会(ちえ)弁護士が仮放免を認めるよう何度も要請していました
 駒井氏は「まずは彼女を病院に連れて行かなくてはならない。その後、難民の証拠を集めて提出する」としたうえで、入管庁の対応を批判しました。
「仮放免を得られるまでこんなに苦労しなくても、空港到着時に一時庇護(ひご)上陸許可などができたはず。監理人を立てられない人にとって監理措置は非現実的で、死を招きかねない」。
 駒井氏は、今後も必要な人への仮放免許可を求めていくとしています。