2024年8月3日土曜日

国連安保理会合でハマス指導者殺害は国際法違反の指摘相次ぐ

 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。

・国際法違反 指摘相次ぐ ハマス指導者殺害 国連安保理会合 外交努力を求め
 31日、ニューヨークの国本部で国連安保理は緊急の公開会合を開き、多くの国がハマスの最高指導者ハニヤ氏暗殺を国憲章と国際法に違反すると指摘しました。会合に先立ち国連のグテレス事務総長は声明を発表し、レバノンの首都ベイルートヘのイスラエルの空爆や、今回の暗殺について「危険な激化だ」と批判しました。
 安保理の緊急会合開催はイランが要請したもので、イスラエルによる暗殺は「テロ行為」であり、国際法と国連憲章の最も深刻な違反で、米国の支援と承認なしには起こり得なかったと批判しました。ガザでの停戦交渉を仲介するエジプトとカタールは、イスラエルの行為は「緊張緩和の意図の欠如で状況をより複雑化する」と指摘し、カタールのムハンマド首相はで「一方が他方の交渉人を殺害して、どうして仲介が成功するのか」と批判しました。
・ガザ侵攻300日経過 「人間性 組織的に抹殺」 国連幹部がイスラエル批判
 国連人道問題調整事務所でパレスチナ被占領地事務所の所長を務めるアンドレア・デドメニコ氏は1日、ガザ地区とヨルダン川西岸では「民間人の人間性が組織的に抹殺されている」「全住民が身体的にも心理的にも疲弊し切っている」と述べ、「安全保障の名の下でどれだけ人間を苦しめることが許されるのか。国際社会はこの問いに答えねばならない」と訴えました。
ハマス指導者殺害遠隔操作か 米報道2ヵ月前から爆破装置
 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、ハニヤ氏の滞在先である施設に秘密裏に設置された爆破装置で暗殺されたと伝えました。装置は約2ヵ月前に持ち込まれ、遠隔操作で起爆したといいます。イスラエル情報当局者は殺害直後に米国や西側諸国に爆破の詳細を説明しました。
・トルコで数千人デモ行進 各地で抗議
 トルコの最大都市イスタンブールで31日、ハニヤ氏が殺害されたことに抗議して、数千人がデモ行進しました。
 イラクの首都バグダッドでも同日、女性たちがハニヤ氏殺害を非難してデモ行進し、ヨルダン川西岸ラマラ、パキスタンのカラチでも抗議デモがありました。
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国際法違反 指摘相次ぐ ハマス指導者殺害 国連安保理会合 外交努力を求め
                        しんぶん赤旗 2024年8月2日
【ワシントン=関口昇幸】イスラム組織ハマスの最高指導者八二ヤ氏がイランで殺害されたことを受け、国連安全保障理事会は7月31日、米ニューヨークの国本部で緊急の公開会合を開きました。多くの国がハニヤ氏暗殺を国憲章と国際法に違反すると指摘し、積極的な外交努力による緊張緩和を求めました
 会合に先立ち国連のグテレス事務総長は声明を発表。レバノンの首都ベイルートヘのイスラエルの空爆や、今回の暗殺について「危険な激化だ」と批判しました。
 声明は、これまで「最大限の自制を求めてきた」が、「自制だけでは不十分だということが明らか」だと指摘。「長期的な平和と安定のため、地域の緊張緩和に向けて精力的に取り組むことを全ての人たちに促す」と呼びかけ、「包括的な外交活動」を進めていくことを訴えました。
 緊急会合開催はイランが要請したもの。同国代表はイスラエルが暗殺を行ったと主張。「テロ行為」であり、国際法と国連憲章の最も深刻な違反で、国の支援と承認なしには起こり得なかったと批判しました。イスラエルの代表はイランこそテロ組織を支援していると主張し、非難の応酬となりました。
 アルジェリアの代表は、ハニヤ氏暗殺は単なる人の男に対する攻撃」では
なく、「外交関係の根幹、高潔な国家主権、そして国際秩序を支えている原則に対する悪質な攻撃」だと強調。パレスチナ自治区ガザでイスラエルが続ける軍事侵攻などについても「自衛の行為ではない」と指摘し、ガザでの即時停戦を求めました。
 モザンビークの代表は、現在の事態はガザでの停戦やハマスに拘束されているイスラエル人の人質解放に向けた合意を目指す外交努力を損なう可能性があると警告しました。
 スイスの代表は、紛争に対する軍事的解決策はないと主張。国連憲章を含む国際法と、中東のての国の主権の尊重を訴えました。
 スロベニアやエクアドルなどの各国代表がガザ停戦を求めた6月の国安保理決議の実施を要求。エクアドルの代表はイスラエル・パレスチナの「2国家解決」紛争を決定的に終わらせる唯一の方法だと強調しました。

「危険な展開」各国が批判
 パレスチナのイスラム組織ハマスの政治指導者ハニヤ氏が7月31日に訪間中のテヘランで暗殺されたことを受け、各国から厳しい批判の声があがっています。パレスチナ自治政府のアッバス議長は同日の声明で、イスラエルによるハニヤ氏の暗殺は「臆病な行為で危険な展開」だと厳しく糾弾し、パレスチナの人々に団結を呼びかけました
 ガザでの停戦交渉を仲介するエジプトとカタールは、イスラエルの行為は「緊張緩和の意図の欠如で状況をより複雑化する」(エジプト外務省)ものだと指摘。カタールのムハンマド首相は、(旧ツイッター)で、停戦交渉の最中で政治的暗殺とガザ市民への攻撃が続いており、「一方が他方の交渉人を殺害して、どうして仲介が成功するのか」と批判しました。
 インドネシアのジョコ大統領は1日、「イランの主権の及ぶ場所で起こった暴力、殺害は容認できない」と糾弾。マレーシア外務省は7月31日の声明で、「今回の暗殺について即時、全面的な捜査を行い、責任ある者を処罰する」ことを求めました。


ガザ侵攻300日経過 「人間性 組織的に抹殺」 国連幹部がイスラエル批判
                        しんぶん赤旗 2024年8月3日
 国連人道問題調整事務所(OCHA)でパレスチナ被占領地事務所の所長を務めるアンドレア・デドメニコ氏は1日、イスラエルが軍事侵攻するパレスチナのガザ地区とヨルダン川西岸では「民間人の人間性が組織的に抹殺されている」と批判しました。
 エルサレムからオンラインで臨んだニューヨーク国連本部での記者会見で語りました。イスラエル軍がビザ更新を拒んだため、デドメニコ氏が同地から行う記者会見は今回が最後になり
ました。
 昨年10月にイスラエル軍がガザ侵攻を始めてから1日で300日が経過しました。イスラエル軍は同日もガザ市で学校を攻撃し、少なくとも15人を殺害しました。
 デドメニコ氏は、ガザでもヨルダン川西岸でもイスラエル軍の攻撃で「全住民が身体的にも心理的にも疲弊し切っている」と指摘。
 安全保障の名の下でどれだけ人間を苦しめることが許されるのか。国際社会はこの問いに答えねばならない」と訴えました。
 またガザではイスラエルが自ら「避難地帯」に指定した地域にまで退去命令を出しているため、住民が行き場を失っていると述べました。OCHAの努力にもかかわらず、人道支援は「満たすべき水準に全く近づいていない」と強調しました。
 デドメニコ氏は人道支援要員へのイスラエル軍の態度がますます攻蓼的になっている」と非難。「イスラエル軍は検問所で人道支援要員を足止めし、車から外に出るよう求め、車の鍵を取り上げている」と非難しました。


ハマス指導者殺害遠隔操作か 米報道2ヵ月前から爆破装置
                        しんぶん赤旗 2024年8月3日
【イスタンブール=時事】パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が訪問先のイランで殺害された事件で、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、イランや米国の複数の当局者の話として、ハニヤ氏の滞在先である施設に秘密裏に設置された爆破装置で暗殺されたと伝えました。装置は約2ヵ月前に持ち込まれ、遠隔操作で起爆したといいます。
 米ネットメディア「アクシオス」も、人工知能(AI)を使った爆破装置が事前に寝室に仕掛けられていたと報道。イラン国内にいるイスラエル対外情報機関モサドの工作員が起爆したといいます。
 イランのメディアは、ハニヤ氏が空爆で死亡したと報じていました。イランの防空網を回避したミサイルやドローンを使った攻撃との主張には、信ぴょう性を疑う声が出ていました。
 タイムズ紙によれば、ハニヤ氏が滞在していたイランの首都テヘラン北部の施設は、同国の精鋭軍事組織 「革命防衛隊」が管理。爆発物を誰がどのように持ち込み、保管されていたかは不明です。
 イスラエルはハニヤ氏の殺害への関与を公式には認めていません。しかし、紙によると、イスラエル情報当局者は殺害直後に米国や西側諸国に爆破の詳細を説明しました。


トルコで数千人デモ行進 各地で抗議
                        しんぶん赤旗 2024年8月3日
 トルコの最大都市イスタンブールで7月31日、パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が殺害されたことに抗議して、数千人がデモ行進しました。
 ハニヤ氏はハマスと敵対するイスラエルに暗殺されたとみられています。イスタンブール中心部に集まった人たちは殺害者のイスラエルはパレスチナから出ていけ」「ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)をやめろ」などと声を上げました。
 イラクの首都バグダッドでも同日、女性たちがハニヤ氏殺害を非難してデモ行進しました。このほかヨルダン川西岸ラマラパキスタンのカラチでも抗議デモがありました。