2024年8月31日土曜日

BRICS三か国はイスラエルをどう見ているか

「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 米国はイスラエルのガザ攻撃を支持し、それに必要な武器と資金を供与してきました。つまりイスラエルのジェノサイド(大量殺戮)は米国なしでは行えなかったのですが、そうであればさすがに最終段階では米国のいうことを聞くものと思われていたのですが、ネタニヤフにはそんな積りはなく、バイデンにもそんな意思も能力もなかったのでした。。
 いまや米国は手をこまねくことしかできず、この蛮行を止められるのは中国、ロシア、イランなどのBRICS側しかありません。
 しかし彼らも、米国(とG7)側が、イランと抵抗の枢軸による深刻な軍事的報復を防ぐために、形だけでハマスとイスラエル間のガザ停戦合意をもまとめるようと努力している間は、静観するであろうと述べています。
 そして「イランは、待機戦術、心理作戦、耐え難い戦略的曖昧さという孫子の兵法を極限まで駆使して、完全に全面的な、調整された戦略が整い、致命的な一撃を与えるまで、イスラエル人入植者たちを地下の掩蔽壕でじっと待機させておく」作戦だと述べています。
 まことに無力感しか漂わない世界になってしましました。
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BRICS三か国はイスラエルをどう見ているか
                  耕助のブログNo. 2252  2024年8月28日
 How a BRICS trio is staring down Israel
  イスラエルが国際社会でますます孤立を深める一方、BRICSメンバーのイラン、ロシ
  ア、中国は、外交的・軍事的にパレスチナを支援するためのあらゆる努力を密かに調
  整している。            by Pepe Escobar

グローバル・マジョリティーは、大量虐殺を行うテルアビブイスラエル)政府が(もちろん米国の軍事支援を全面的に受けながら)終末戦争を引き起こそうと全力を尽くしていることを十分に認識している。
その好戦的な考え方と対照的なのが2500年にわたるペルシャ⇒イラン)外交である。イランの外務次官、アリ・バゲリ・カーニーは最近、テヘラン⇒イラン)は「中東地域全体を巻き込む戦争を引き起こすというイスラエル政権の『夢』を阻止しようと全力を尽くしている」と発言した。
しかし敵が完全にパニックに陥っているときは決して邪魔をすべきではない。孫子もこの格言に賛成だろう。イランは、米国とG7諸国がイランと抵抗の枢軸による深刻な軍事的報復を防ぐために、ハマスとイスラエル間のガザ停戦合意を形だけでもまとめるよう全力を尽くしている時は干渉することはないだろう。

今週初め、その警告が現実のものとなった。レバノンのハマス代表、アフメド・アブデル・ハディは昨日、{1}ハマスは木曜日(今日)の暫定交渉には出席しないと報告した。その理由は?
ネトヤイフタニヤフの欺瞞に満ちた時間稼ぎをして先延ばしにする態度、その一方で枢軸は殉教者暗殺(ハマス政治局長イスマイル・ハニヤ氏)と(ヒズボラ軍司令官フアド・)シュクル氏に対する対応を準備している。(ハマスは)ネトヤイフと彼の過激派政府を援護するような交渉には参加しないだろう。
つまり、イスラエルの神経を逆なでする戦略的あいまいさの真骨頂ともいえる、この「待機ゲーム」が続くということだ。欧米諸国がイランに反応しないよう懇願する安っぽいドラマの裏には、何もない。見返りは何もないのだ。
さらに悪いことに、ワシントンの属国であるヨーロッパの英国、フランス、ドイツは、絶望の行進からそのまま抜け出してきたような声明を発表した。「イランとその同盟国に対し、地域の緊張をさらに高め、停戦と人質解放の合意の機会を危うくするような攻撃を控えるよう求める。彼らは、平和と安定の機会を脅かす行動に責任を負うことになるだろう。中東におけるさらなるエスカレーションから利益を得る国や国家は存在しない。」

予想通り、イスラエルに関する言葉はひとつもない。このネオ・オーウェル的な表現では、まるでイランがテヘランでのハニヤ暗殺{2}に対する報復を表明したときにすべてが始まったかのようだ。
イラン外交は素早くこれらの属国に返答し、イランには西アジアにおける真のテロの源であるイスラエルに対して国家の主権を守り抑止力を生み出す権利があることを強調した。極めて重要なのは、彼らはその権利を行使するにあたり、{3}「誰の許可も求めない」と強調していることだ。
予想通り、問題の核心は西側の論理から抜け落ちている。もし昨年ワシントンがガザ停戦を強制していたら、西アジアを揺るがす終末戦争のリスクは回避されていたはずなのだ。
その代わり、米国は水曜日にテルアビブに200億ドルの追加武器パッケージを承認し{4}、恒久的な停戦を確保することにどれほど米国が尽力しているかを示した。

パレスチナとBRICSの出会い
イスラエルの挑発行為、特にハニヤ氏の暗殺は、BRICSのトップ3メンバーであるイラン、ロシア、中国に対する直接的な侮辱であった。
したがってイスラエルへ対応は、相互に連携する包括的な戦略的パートナーシップから派生したこの3か国の協調的な意思表示を意味する。
月曜日の早い時間、中国の王毅外相はイランのアリ・バゲリ・カーニー外相代行から重要な電話を受け、そこでテヘランが地域の平和と安定を確保するために行っているあらゆる努力を断固として支持した。
これはまた中国がイランのイスラエルへの反応を支持していることも示している。特に、ハニヤ氏の暗殺は、北京が多大な外交努力を払ってきたことに対する許しがたい侮辱と見なされており、ハマスの議長が他のパレスチナの政治代表者たちとともに「北京宣言」{5}に署名したわずか数日後の出来事であったことを考慮するとなおさらである。
そして火曜日には、パレスチナ自治政府(PA)のアッバス議長が、モスクワのノヴォ・オガリョヴォにある邸宅でプーチンと会談した。プーチンがアッバスに伝えた言葉は、控えめな表現の逸品だ:
 ロシアは今日、遺憾ながら自国の利益を守り、武器を手に自国民を守らなければならないことは周知の事実である。しかし中東(西アジア)で起きていること、パレスチナで起きていることは、確実に見逃されることはないのである。
しかし深刻な問題がある。米国とイスラエルに支援されているアッバス⇒パレスチナ解放機構議長)は折れた葦のようにパレスチナではほとんど信頼されておらず、最新の世論調査によるとヨルダン川西岸地区の住民の94%、ガザ地区の住民の83%が、アッバスの辞任を求めている。一方で現在の悲惨な状況の原因はハマスにあると非難しているのはパレスチナ人の8%以下にすぎない{6}。ハマスの新指導者であるヤヒヤ・シンワル{7}には圧倒的な信頼が寄せられているのだ。

モスクワは複雑な立場にある。パレスチナにおける新たな政治プロセスを、中国よりもはるかに強力な外交手段で推進しようとしている。しかし、アッバスはそれに抵抗している。
一方で、いくつかの明るい兆しもある。モスクワでアッバス議長は、BRICSについて話し合ったと述べた。「パレスチナが『アウトリーチ』形式で招待されるという口頭での合意に達した」と述べ、次のように希望を表明した。
特定の形式の会議を組織し、パレスチナ問題に専念する。そうすれば、すべての国が現在起きている事態について意見を表明できるだろう。この連合(BRICS)の国々はすべてパレスチナに友好的であるという事実を考慮すれば、すべてが可能な限り関連性のあるものとなるだろう。
それ自体がロシア外交の大きな勝利である。パレスチナがBRICSの枠組みで真剣な議論の俎上に載せられるという事実は、イスラム諸国やグローバル・マジョリティー全体に多大な影響を与えるだろう。

致命的な反応を調整する方法
より大きな視点では、イスラエルに対する抵抗の枢軸の反応として、ロシアも深く関与している。最近、ロシアの航空機が次々とイランに到着し、あらゆる種類の無線信号、GPS、通信、衛星、電子システムを最大5,000キロメートル離れた場所から妨害およびスクランブルできる、ゲームを変える可能性のあるムルマンスク-BNシステムを含む、攻撃および防御用の軍事装備を運んでいると報じられている。
これはイスラエルとNATOの同盟国にとって究極の悪夢である。イランがムルマンスク-BN電子戦システムを配備した場合、文字通り、わずか2,000キロしか離れていないイスラエルの軍事基地と電力網を標的にすればイスラエルの電力網全体を破壊することが可能なのだ。
もしイランの対応が本当に常軌を逸したものとなり、イスラエルに忘れがたい壮絶な教訓を与えるつもりであるならば、それはムルマンスク-BNとイランの新型極超音速ミサイルの組み合わせとなるかもしれない。
そして、おそらくロシアの極超音速ミサイルによるさらなるサプライズもあるだろう。結局のところ、セルゲイ・ショイグ国家安全保障会議書記は最近テヘランを訪問し、イランのバゲリ参謀総長と会談している。その目的は、軍事分野を含む包括的な戦略的パートナーシップの細部を詰めるためだった。
バゲリ参謀総長は、「イラン、ロシア、中国の三国間協力を歓迎する」と発言し、BRICSの秘密を暴露した。これが西側の「民主的」寡頭制に組み込まれた「永遠の戦争」の精神と戦うために文明国家が実際に行っている団結の形なのである。

ロシアと中国がいくつかのレベルでパレスチナとイランを支援しているように、永遠の戦争の焦点が今やそれらすべての向けられるのは避けられない。ウクライナ、イスラエル、シリア、イラク、イエメン、そしてバングラデシュ(成功)から東南アジア(中断)に広がるカラー革命など、いたるところでエスカレートしている。
そしてテヘランでの重要なドラマに導かれる。それは、イスラエルを後悔させるように慎重に対応を調整しながら、イランからロシアや中国にまで傷口が広がるのを防ぐにはどうすればよいか、というものだ。

ユーラシアとNATO諸国{8}の間の全面的な衝突は避けられない。プーチン自身も、「ウクライナが一般市民への攻撃を継続し、原子力発電所を脅かしている限り、ウクライナとの和平交渉は不可能である」と、はっきりと述べている。
ガザにおけるイスラエルも同様である。ガザや、シリア{9}、イラク、イエメン{10}といった主権国家が思いのまま砲撃されている限り、「和平交渉」すなわち停戦交渉は不可能である。
それに対処するには、スマートフォースを使った軍事的な方法しかない。
イランは、戦略的パートナーであるロシアと中国と協議し、第三の道を見つけようとしているのかもしれない。プロジェクト・イスラエルは、イスラエルをイランと抵抗の枢軸による致命的な反撃から守るために、事実上イスラエル経済を止めている{11}。
つまりテヘランは、待機戦術、心理作戦、耐え難い戦略的曖昧さという孫子の兵法を極限まで駆使しているのかもしれない完全に全面的な、調整された戦略が整い、致命的な一撃を与えるまで、イスラエル人入植者たちを地下の掩蔽壕でじっと待機させておくのだ

Links:
{1} https://thecradle.co/articles-id/26418 
{2}https://thecradle.co/articles/entire-resistance-axis-will-respond-to-haniyeh-assassination-irgc 
{3}https://thecradle.co/articles/iran-takes-european-nations-to-task-we-do-not-need-permission-to-retaliate-against-israel 
{4} https://thecradle.co/articles/us-greenlights-20bn-arms-package-for-israel 
{5} https://thecradle.co/articles/china-throws-clout-behind-palestine 
{6} https://www.pcpsr.org/en/node/985 
{7}https://thecradle.co/articles/hamas-confirms-gaza-ceasefire-talks-will-continue-under-sinwar 
{8} https://www.amazon.com/dp/B0CWZJ2WML 
{9}https://thecradle.co/articles/irgc-officer-dies-from-wounds-sustained-in-us-attack-on-syria 
{10}https://thecradle.co/articles/losses-from-israels-strike-on-yemens-hodeidah-port-exceed-20mn-official 
{11}https://thecradle.co/articles/israeli-economy-on-the-brink-as-it-awaits-retaliation-from-resistance-axis

https://thecradle.co/articles/how-a-brics-trio-is-staring-down-israel