「われわれ全員に死んでほしいのだろう」。ガザ中部のデイルバラで避難生活を送るユセフ・ムハンマドさん(35)は、2日間で食事は一度、レンズ豆のスープだけ。蚊の幼虫ボウフラが湧く汚水で空腹を紛らわせていると語ります。腎臓の持病が悪化して高熱が続きますが、医薬品もありません。
イスラエルと米国が主導するガザ人道財団は、ガザの数カ所で支援物資を配給していますが、常に住民が殺到し、食料を得るには住民同士の争奪戦を制する必要もあり、体力が落ちたムハンマドさんは「行くのをやめた」といいます。そこでは人々がイスラエル軍の銃撃により死傷するケースが相次ぎます。
ガザ保健当局によれば、今年7月以降186人が栄養失調で死亡しました。
ガザ地区の住民をアフリカ中央部にある政情不安定な国に移住させる協議を、イスラエルと南スーダンが行っていることを、匿名の関係者3人が明らかにしました。まだ合意に達していないものの話し合いは継続しているといいます。まさに棄民の構想で、1948年の戦争で多くの住民が避難や、強制移住を余儀なくされた「ナクバ(大災厄)」と同様の事態になると想定されています。
イスラエルで17日、軍事作戦の拡大に抗議し、即時停戦とイスラム組織ハマスに拘束された人質全員の解放を求める全国行動が同国各地で取り組まれました。
「イスラエル停止の日」と名付けられたこの全国行動では、集会やデモ、ストライキ、座り込み、駅頭宣伝、道路封鎖など多様な行動が全国350ヵ所以上で行われ、主催者の人質・行方不明家族会によると、100万人以上が参加しました。
家族会も声明を発表し、これまで解決に至る多くの機会があったのにそれを拒み、人質の帰還を妨げたのは首相だと指摘し、「首相の責任の下で、人質は22カ月もガザに捕らわれている。世論を欺き、流言をばらまき、人質の家族を中傷するのではなく、合意を実現して愛する者を帰還させ、戦争を終わらせて。それこそが唯一の解決策だ」と訴えました。
しんぶん赤旗が3つの記事を出しました。
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ガザ 飢餓さらに悪化 ボウフラ湧く水で空腹紛らわす
しんぶん赤旗 2025年8月19日
【カイロ=時事】イスラエルのイスラム組織ハマスに対する掃討作戦が続くパレスチナ自治区ガザで食料危機が一段と悪化しています。飢餓の拡大を憂慮する国際社会はイスラエルに支援拡大に向けた措置を取るよう求めますが、状況が改善されるかは不透明です。
「われわれ全員に死んでほしいのだろう」。中部デイルバラで避難生活を送るユセフ・ムハンマドさん(35)は、時事通信の電話取材に対し、声を絞り出すように語りました。2日間で食事は一度、レンズ豆のスープだけ。蚊の幼虫ボウフラが湧く汚水で空腹を紛らわします。腎臓の持病が悪化して高熱が続きますが、医薬品もありません。
イスラエルと米国が主導する「ガザ人道財団(GHF)」は、ガザの数カ所で支援物資を配給していますが、常に住民が殺到。食料を得るには住民同士の争奪戦を制する必要もあります。厳重に警備された配給所周辺で混乱が広がる中、人々が銃撃により死傷するケースが相次ぎます。体力が落ちたムハンマドさんは「行くのをやめた」。
一方、国連などの配絵所は機能していません。警備が手薄で略奪が常態化しているためです。略奪者の「利益」が上乗せされた盗品は市場に流れますが、貧しく弱い人々には「あまりに高額すぎる」(ムハンマドさん)といいます。
食料不足は確実に深刻化しています。ガザ保健当局によれば、2023年10月の軍事作戦開始後に栄養失調で死亡した251人のうち、186人が今年7月以降に集中しています。各国によるガザ上空からの物資投下が始まりましたが、危機は全く解消されていません。
日本や英国など26カ国と欧州連合(EU)の外相は今月12日、「想像を絶する」ガザの人道状況に対処するため、国連や国際NGOによる支援拡大を可能にする措置をイスラエルに求めました。
イスラエルはハマスが体制維持のために物資を横取りしていると一方的に主張し、食料供給を制限してきました。その結果、食料不足が進み、ハマスと無関係の略奪も横行しているとみられます。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は「世界のどの紛争地でも、物が不足すれば略奪は起きる」と指摘します。現状ではむしろ、盗まれるリスクがあっても物資を供給し続け、略奪の誘因を低減させることが重要だと強調。「今、大量の食料をガザに入れなければ、皆どんどん弱っていく」と強い危機感を示しました。
ガザ住民 アフリカ移送か 南スーダンと協議の情報
しんぶん赤旗 2025年8月19日
【ナイロビ=ロイター】紛争で荒廃したパレスチナ・ガザ地区の住民をアフリカに移住させる協議を、イスラエルと南スーダンが行っていることがこのほど、明らかになりました。匿名の関係者3人がロイター通信に語りました。
関係者によると、合意に達していないものの話し合いは継続しているといいます。計画は、2年にわたるイスラエルとの戦争で破壊されたガザの住民を、アフリカ中央部にある政情不安定な国に移住させる構想。イスラエルの首相府と外務省にコメントを求めましたが、速やかな返事はありませんでした。
イスラエルのネタニヤフ首相はこの間、ガザヘの軍事支配をさらに拡大する考えを示し、最近もパレスチナ住民が自発的に退去すべきだと繰り返し発言しています。
アラブ諸国や世界各国はガザ住民の他国へ移住させる案を拒絶してきました。パレスチナの人々は、1948年の戦争で多くの住民が避難や、強制移住を余儀なくされた「ナクバ(大災厄)」と同様の事態になると指摘。パレスチナ解放機構(PLO)のワセル・アブ・ユセフ執行委員は、パレスチナの指導者と人々は「住民を南スーダンなどに強制退去させる考えを拒否する」と語りました。
3人の関係者によると、移住計画は、イスラエルの高官と南スーダンのセマヤ・クンバ外相が7月に協議した際に議論されたといいます。
同協議を巡っては、AP通信が6人の関係者からの情報として12日に報道。南スーダン外務省は、「事実無根だ」と13日に否定しました。
イスラエルのネタニヤフ首相は7月、クンバ外相と会談。ネタニヤフ氏は、ガザから退去したいパレスチナ人の行く先を見つけるために数カ国と連絡を取り合っていると述べてきましたが、詳細を語ることは拒否してきました。
全人質解放・即時停戦求め イスラエル全土で100万人
しんぶん赤旗 2025年8月19日
【カイロ=米沢博史】イスラエルのネタニヤフ政権がパレスチナ・ガザ地区全域の再占領を狙い、軍事作戦を拡大するなか。これに抗議し、即時停戦とイスラム組織ハマスに拘束された人質全員の解放を求める全国行動が17日、同国各地で取り組まれました。
「イスラエル停止の日」と名付けられたこの全国行動では、集会やデモ、ストライキ、座り込み、駅頭宣伝、道路封鎖など多様な行動が全国350ヵ所以上で行われ、主催者の人質・行方不明家族会によると、100万人以上が参加しました。
イスラエル政府は8日の治安閣議で自治区ガザ市制圧計画を承認。ガザではイスラエルによる封鎖で食料不足が深刻化し、本格的な地上侵攻に踏み切ればガザ市民だけでなく人質にも被害が及ぶ可能性があることから、今回の大規模な抗議デモにつながりました。
各地の駅頭では、人質解放を訴える合計20kmに及ぶ黄色いリボンが配布され、数十の主要道路が封鎖されました。さらに数千の企業が業務を止め、従業員の参加を認めるなど、全国で人質解放と戦争終結を求める一日となりました。
商都テルアビブの中心部にある「人質広場」では、前夜に数万人規模の集会が開かれ、当日の午前には犠牲となった子どもたちを象徴する空のベビーカーを並べ座り込みが行われました。夜には50万人が参加する大集会へと発展しました。
これに対し、ネタニヤフ首相は全国行動を「ハマスを助長し、終戦を遅らせ、再攻撃を許すものだ」と非難。イスラエル軍のザミル参謀総長も「まもなくガザ市制圧作戦の次段階を開始する」と宣言し、いっそうの反発を呼びました。
人質の母「講義こそ」
イスラエル100万人 極右閣僚に対抗
抗議集会に向け、人質の母親のー人、エイナブ・ザンガウケルさんは「首相の毒のある発言は、抗議をどれほど恐れているかの証拠」と指摘。「抗議こそが、(極右の)スモトリッチ財務相やベングビール国家治安相に対抗する力です。みなさん街頭に出よう」とX(旧ツイッター)で行動への参加を呼びかけました。
家族会も声明を発表し、これまで解決に至る多くの機会があったのに、それを拒み、人質の帰還を妨げたのは首相だと反論。「首相の責任の下で、人質は22カ月もガザに捕らわれている。世論を欺き、流言をばらまき、人質の家族を中傷するのではなく、合意を実現して愛する者を帰還させ、戦争を終わらせて。それこそが唯一の解決策だ」と訴えました。
イスラエル紙マアリブが発表した事前の世論調査によれば、今回の全国行動に「参加する」または「参加しないが賛同する」と答えた国民は56%に達し、「賛同しない」と答えた29%を大きく上回りました。
家族会は、ガザとの境界近くに、現在の人質数50人にちなんで「チェックポイント50」と名付けた抗議キャンプを設置し、泊まり込みを始めると発表。今後も人質全員の帰還を目指し、抗議行動を続けようと訴えました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。