パレスチナの市民団体「パレスチナ人の権利擁護国際委員会」のサラ・アブデルアティ議長は12日、しんぶん赤旗のインタビューで、イスラエルによるガザ地区全域の再占領計画は、ジェノサイド(集団殺害)であり民族浄化の極致。「事実上の死刑宣告」であると厳しく批判しました。
国境なき医師団、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、アムネスティ・インターナショナルなど104の人道・人権団体は14日、イスラエルによるガザ支援の妨害に抗議する共同声明を発表し、イスラエル政府が3月に導入した国際NGOに対する新規則が、ガザ地区への支援物資の搬入拒否に利用され、「援助の兵器化」を招いていると強く非難しました。
声明によれば、3月2日以降、ガザヘの支援物資をトラック1台分も届けられず、7月だけでも、少なくとも60件の搬入申請が「支援を届ける権限がない」との理由で却下されました。
ガザ保健当局は14日、これまでに確認された餓死者は239人で、そのうち106人が18歳未満の子どもだと発表しました。
イスラエルのスモトリッチ財務相は14日、英仏などが最近 相次ぎパレスチナ国家を承認する方針を示したことヘの対抗措置として、凍結していた占領地ヨルダン川西岸の一部地域での入植計画を進める意向を表明しました。対象地域は「E1」と呼ばれる地区で、ここが入植地になれば、パレスチナが将来の国土と見なす西岸と東エルサレムを分断する形となり、国家樹立が困難になります。
国連のドゥジャリク事務総長報道官は「『2国家共存』実現の可能性がなくなる」と非難。パレスチナ当局も「国家樹立の機会を破壊しようとする占領者の試みだ」と憤りました。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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〝ガザ再占領は死刑宣告″
パレスチナ人の権利擁護国際委員会 サラ・アブデルアティ議長
しんぶん赤旗 2025年8月17日
パレスチナの市民団体「パレスチナ人の権利擁護国際委員会」(ICSPR)のサラ・アブデルアティ議長は12日、本紙のインタビューで、イスラエルによるガザ地区全域の再占領計画を「事実上の死刑宣告」と厳しく批判しました。米国の拒否権行使で国連安保理が機能しない場合には、国連総会が必要な行動をとる「平和のための結集」決議を活用するなど、国際社会の迅速な対応を求めました。 (カイロ=米沢博史)
イスラエルの計画は、ガザ市など北部から約100万人のパレスチナ人を南部へ強制移住させるものです。壊滅的な飢餓のなか安全な避難路も必要物資もありません。これはジェノサイド(集団殺害)であり民族浄化の極致です。国際人道法の規範を否定し、国際司法裁判所による「占領は違法であり、終了させなければならない」との判決に対する重大な違反です。
このまま計画が実行され、地上軍事作戦が拡大すれば、前例のない規模で民間人虐殺が起こるでしょう。こうした暴挙を可能にしているのは、米国による軍事・政治支援です。
残された地域まで再占領すれば、国連パレスチナ難氏救済事業機関(UNRWA)など国際機関の活動は完全に停止し、かろうじて続く人道支援も崩壊します。事実上の死刑宣告です。
外部から押し付けられた政策や占領の既成事実化を阻止しなければなりません。国際司法裁判所や国際刑事裁判所への付託と併せ、「平和のための結集」決議の方式で国連憲章第7章を発動させ、侵略の中止、占領国への制裁や加盟資格の停止、民間人保護を実現する国際的な人道連合の結成を呼びかけます。
また、国連機関や国際赤十字などを通じた人道支援物資を、無条件かつ無制限に全住民へ届けることを求めます。
この悲劇を終わらせ、地域の安全と安定を確保する唯一の道は、占領を終結させ、エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家を樹立し、国連決議を履行することです。
*パレスチナ人権利擁護国際委員会(ICSPR)
パレスチナでの人権保護を目的とする非営利の市民団体。パレスチナ内の人権侵害
を監視・記録し、国連の関係機関に定期報告。国際刑事裁判所(ICC)にイスラ
エルによる占領犯罪の資料を提供しています。
「援助の兵器化」やめよ ガザ国際NGO圓団体が声明
しんぶん赤旗 2025年8月16日
【カイロ=米沢博史】国境なき医師団、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、アムネスティ・インターナショナル、オックスファムなど104の人道・人権団体は14日、イスラエルによるガザ支援の妨害に抗議する共同声明を発表しました。
声明は、イスラエル政府が3月に導入した国際NGOに対する新規則が、ガザ地区への支援物資の搬入拒否に利用され、「援助の兵器化」を招いていると強く非難しています。
声明によれば、3月2日以降、多くの国際NGOがガザヘの支援物資をトラック1台分も届けられていません。7月だけでも、少なくとも60件の搬入申請が「支援を届ける権限がない」との理由で却下されました。
この新規則は、イスラエル国家の正統性を損なった場合など、あいまいな基準で登録を拒否または取り消すことを可能にしています。さらに、寄付者やパレスチナ人職員などの個人情報をイスラエルに提出することも義務づけられています。イスラエル政府は、規則はハマスの介入を防ぐための安全対策だと主張していますが、支援団体側は、中立性や独立性を脅かし、活動を不当に制限するものだと反発しています。
ガザ地区で過去数十年にわたり安全に援助を届けてきた実績のあるNGOもこの規則により支援提供が認められません。ガザ地区で飢餓が深刻化する一方、工ジプトやヨルダンの倉庫には大量の食料・医薬品・飲料水などの支援物資が足止めされています。
声明では、支援の提供は普遍的な人権であり、政治や軍事の取引材料にしてはならないと強調。国際社会がイスラエルに圧力をかけ、① 国際NGOの登録制度など「援助の兵器化トをやめさせること ② 個人情報の提供を支援の条件としないこと ③ すべての検問所を即時かつ無条件に開放し、人命を救う支援物資の搬入を可能にすること-を求めています。
ガザ保健当局は14日、これまでに確認された餓死者は239人で、そのうち106人が18歳未満の子どもだと発表しました。
イスラエル 西岸入植計画推進ヘ 「パレスチナ国家承認」対抗
しんぶん赤旗 2025年8月16日
【カイロ=時事】イスラエル極右政党党首のスモトリッチ財務相は14日、国際社会の批判を受けて凍結していた占領地ヨルダン川西岸の一部地域での入植計画を進める意向を表明しました。ロイター通信などが報じました。英仏などが最近、相次ぎパレスチナ国家を承認する方針を示したことヘの対抗措置。国連などからは早速批判の声が上がっています。
対象地域は「E1」と呼ばれる地区。E1が入植地になれば、パレスチナが将来の国土と見なす西岸と東エルサレムを分断する形となり、国家樹立が困難になります。西岸での入植は国際法違反で、専門家らは特にE1計画を批判してきました。イスラエルも米国などの圧力を受け、これまで入植地建設を控えていました。
スモトリッチ氏は、ネタニヤフ首相やトランプ米大統領も今回のE1建設案を支持していると指摘。「パレスチナ国家を承認しようとする世界の誰もがわれわれの答えを受け取る。文書や声明ではなく、家々や集落(の建設)といった事実だ」と主張しました。
これに対し、国連のドゥジャリク事務総長報道官は「(パレスチナ国家樹立を認める)『2国家共存』実現の可能性がなくなる」と非難。パレスチナ当局も「国家樹立の機会を破壊しようとする占領者の試みだ」と憤りました。欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)も声明で「国際法違反だ」とし、イスラエルに自制を求めました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。