植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
自民党は衆院選、都議選、参院選の3つの選挙で軒並み敗北し、特に参院選では歴史的惨敗を喫しました。自民党内にはまだ石破退陣要求の動きもありますが、大勢としては石破続投の方向で収まりそうです。当初はあったメディアによる石破退場への世論誘導の動きもいまはなくなりました。
自民党惨敗の原因は「政治とカネ」問題でした。石破内閣は国民民主党と結託して企業団体献金の全面禁止という最重要の施策を葬り、野党が結束すれば実現できた消費税減税も結局実りませんでした。
植草氏は、NHKがニュース報道で必ず鈴木宗男議員の発言だけを紹介するなど、メディアを巻き込んだ石破首相続投を誘導する情報操作が行われていて、それを背後で指令を発しているのは財務省であると述べます。要するに財務省が石破内閣存続を求めているということです。
因みに財務省の至上命題は、消費税率を「絶対に下げないこと」で、もしも下げるような事態になったらその時の「主税局長は次官になれない」という不文律があるといわれています。まさに「省益があって国益がない」ことの見本です。
参院前の怒涛のような消費税減税の動きに流されなかったことが評価されたのでしょうか。その点は財務省派の野田氏も同様なので、財務省は石破自民党と野田立民党の合流を望んでいるかも知れません。まさに「省益の塊り」で これでは日本経済の頽勢は改善されません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こうもり立民支える財務省
植草一秀の「知られざる真実」 2025年8月27日
国民のレベル以上の政治は実現しないという。
政治の混迷は国民に責任があるというのも一面の真理である。衆院総選挙も参院通常選挙も現政権に対する信任投票の意味を持つ。
昨年10月の衆院総選挙、本年7月の参院通常選挙の結果、石破内閣与党は衆参両院で過半数割れに転落した。参院選では125議席が争われたが政権与党の自公が獲得した議席はわずかに47。歴史的惨敗である。
「政治とカネ」問題への批判が強かったと言われるが、それは自民党の問題である。
問題の中心は旧安倍派だが、あくまで主権者国民から厳しい評価を下されたのは自民党である。
「政治とカネ」問題に明確なけじめをつけるには企業団体献金全面禁止を通常国会で決める必要があった。しかし、石破内閣は国民民主党と結託して企業団体献金全面禁止という最重要の施策を葬った。
これは自民党旧安倍派の問題ではなく自民党そのものの問題。その自民党の最高責任者が石破茂氏である。参院選での自民党惨敗の責任は存在する。
ところが、石破首相続投を支援する情報誘導が行われている。NHKもニュース報道で必ず鈴木宗男議員の発言だけを紹介する。石破首相続投を誘導する情報操作である。
背後で指令を発しているのは財務省。財務省が石破内閣存続を求めている。
このなかで立憲民主党が参院選の結果についての総括をまとめた。
立憲民主党は議席を伸ばせなかった参院選の結果について「事実上の敗北と言わざるをえない」とする総括をまとめまた。そのなかで、「重大な危機感を持って体制を抜本的に見直し党改革を進める」とした。問われるのは、どのように体制を抜本的に見直すのかである。党首・幹事長が辞任することが適正な責任の取り方。
参院選では自民、公明、維新、立民、共産が獲得票を大幅に減らした。
22年と25年の比例代表選での得票は以下の通り(単位:万票)。
22年 25年 増減
自民 1826 1281 -545
公明 618 521 - 97
維新 785 438 -347
立民 677 740 + 63
共産 362 286 - 76
自民と維新の得票減が突出している。共産も得票を減らした。
投票総数は5303万から5919万に600万票も増えた。
維新は兵庫県知事問題での混乱で有権者の支持を一気に失った。それにもかかわらず党首が留任することも極めて奇怪。
旧態依然の政党に対する支持が大きく後退している。
立憲民主党は2017年に創設された。当初は野党共闘を牽引する役割が期待されて躍進した。
しかし、2021年衆院総選挙で急激な右旋回を示した。
共産、れいわ、社民を共闘対象ではないとし、国民民主と連合と共闘する方針が明示された。
右旋回した立民は国民民主と違いがない。路線転換に連動して立民の凋落が進んだ。
その立民が新代表に野田佳彦氏を選出。
野田氏は2012年に消費税大増税法制定を強行した上で総選挙に突き進む暴走を演じて民主党を崩壊させた張本人。民主党崩壊の主犯で、この野田氏を党首に担ぎ上げる見識のなさが問われることになった。
背後にあるのが財務省の工作である。財務省は立民の野田佳彦代表を温存しようとしている。
そして、石破首相と野田代表を結び付けて消費税をさらに増税することを目論む。
完全に国民不在の永田町政局が財務省工作で展開されている。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4171号
「誰も責任取らない「日本流」」でご高読下さい。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご高読をお願い申し上げます。
https://foomii.com/00050
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
財政政策発動をかき消す力
植草一秀の「知られざる真実」 2025年8月26日
石破内閣が存続する可能性を高めている。
衆院総選挙が昨年10月、参院通常選挙が本年7月。衆院解散がなければ全国規模の国政選挙は2028年まで行われない。空白の3年が生まれる。石破氏の自民党総裁任期は27年9月まで。総裁任期満了までも2年ある。
衆院総選挙、参院通常選挙、そして東京都議選で自民党は三連敗。石破氏の責任を問う声が噴出したのは当然のこと。自民党では総裁選前倒しを要請する声が噴出した。
しかし、総裁選前倒しを決定する投票が「記名投票」にされた。総裁選を実施しないことになる場合、総裁選前倒しに賛成した議員は冷や飯を食うことになる。
記名投票は総裁選前倒し票を減らす効果を持つ。公正な選挙と言えない。
しかし、大きな論議もなく記名投票が決まった。また、この間、メディアが石破内閣叩きを抑制した。石破首相が辞任したときに誰が次の首相になるのか。誰もが認める後継首相が不在のなかで、あえて石破降ろしをしなくてもという気持ちは分かる。
前回自民党総裁選で僅差で敗北した高市早苗氏が首相に就任することだけは御免だという国民は多い。リベラル陣営の国民が高市首相誕生を阻止するために石破続投を支援したいという気持ちも分かる。しかし、これだけで石破続投の流れが生まれてきたとは考えられない。
とりわけ、メディアの石破内閣擁護のスタンスの裏に大きな力が存在することを否めない。
強い力なくしてメディアが特定の方向に足並みを揃えることはない。
最大の要因は財務省の意向。財務省が石破首相温存の強い意思を有していると見られる。
理由は単純明快。石破氏がザイム真理教に沿う行動を示してきたことだ。
昨年10月総選挙での最大争点は消費税減税だった。自公の与党完敗で消費税減税論議に弾みがつくはずだった。
ところが、2025年の通常国会で消費税減税は話題にすら上らなかった。
これに最大貢献したのは国民民主だ。国民民主は「消費税減税」を「103万円の壁」にすり替えた。結果として消費税減税は完全に姿を消した。
俎上に載せられた「103万円の壁」の結末を知る者は少ない。
2024年度の、ほとんど話題にもならなかった定額減税。これでも減税規模は3・3兆円だった。国税では2・3兆円減税。
これに対して、2025年度に実施された103万円の壁減税の規模は、わずかに0・7兆円だった。
2025年度は定額減税廃止で所得税負担は24年度比で2・3兆円増加する。
したがって、25年度の所得税負担は差し引き1・7兆円増税である。
消費税率を5%に引き下げる場合の減税規模は国・地方合わせて15兆円。
衆院で自公が過半数割れしたから、野党が結束すれば衆院で消費税率5%を可決できた。
これを参院が潰せば、どの党が潰したのかが明らかになり、その政党は本年の参院選で壊滅的な打撃を受けただろう。
消費税率5%を実現することは可能だったが石破内閣とこれに協力する国民民主が潰した。
参院選では2万円給付が掲げられたが、選挙後の混乱で、これも消滅しつつある。
もう一つ、高額療養費制度見直しというテーマも残る。
財務省は国民全体に恩恵が行き渡る財政政策を破壊しようとしている。
この政策運営にもっとも好都合なのが石破首相の続投である。
石破内閣存続が国民世論に沿うものだと勘違いすると大きな代償を支払わされることになる。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4170号
「石破続投論拡大の黒幕」でご高読下さい。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご高読をお願い申し上げます。https://foomii.com/00050
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。