2025年8月7日木曜日

被爆80年・原水爆禁止 2025年世界大会(しんぶん赤旗)

 被爆80年「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに「原水爆禁止2025年世界大会・国際会議」が3日、広島市内で始まり、フランスや英国、韓国など15カ国から政府や平和団体、被爆者、核実験被害者の代表が集まりました。
 4日には、国際会議の閉会総会、特別集会「被爆体験の継承と未来―被爆80年広島のつどい」が行われ、国際会議では「核戦争阻止と核兵器廃絶を求める壮大な行動を展開しよう」と世界に呼びかける国際会議宣言が採択されました。続く「広島のつどい」では、広島の被爆者らが証言し、青年らが運動を引き継ぐ決意を語りました。
 そして5日には、二つのフォーラムをはじめ、「核兵器禁止条約に参加する日本を―非核日本キャンペーン」など12の分科会が広島市内で開かれ、核保有国による核使用の緊張が高まるもと、各国政府、議員、市民社会が連帯して大軍拡を阻止し、核兵器廃絶に向けて共同を広げる決意を語り合いました。全労連は初の国際会議を開催し、各国労組と交流しました。
 しんぶん赤旗が報じました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
被爆80年 原水爆禁止世界大会・国際会議始まる
核なき世界へ転換迫る 国際共同行動を討論
                       しんぶん赤旗 2025年8月4
 被爆80年「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに原水爆禁止2025年世界大会・国際会議が3日、広島市内で始まり、フランスや英国、韓国など15カ国から政府や平和団体、被爆者、核実験被害者の代表が集まりました。核兵器による被害を明らかにし、「核抑止力」論を克服するとともに、自国の核政策を変えるために核保有国、依存国の市民社会の闘いや核兵器のない世界の実現に向けた国際共同行動について討論、交流しました。
 主催者あいさつで、野口邦和世界大会実行委員会運営委員会共同代表は、被爆80年の今年、国連憲章と国際人道法に基づく平和の秩序を回復させ、平和で持続可能な世界の実現に向け全地球的規模の連帯と共同を発展させようと呼びかけました。日本被団協と日本原水協、原水禁の共同アピールを歓迎し、「平和の波」行動を宣言しました。

 第1セッションでは、日本と韓国の原爆被害者が証言。マーシャル諸島での核実験被害への補償・救済の課題やベトナムの枯れ葉剤被害も報告されました。
 第2セッションでは、核保有国と核依存国における市民社会の闘いを米国、英国、フランス、韓国、日本の代表が報告。英国・核軍縮運動(CND)のキャロライン・ルーカス副会長は、「核抑止力」の誤りについて指摘しました。
 第3セッションでは、核なき世界に向けた国際連帯と運動を交流。エジプトのモハメド・エゼルディン・アブデルモネイム大使は被爆者の功績とパレスチナ・ガザ攻撃について報告。国際平和ビューロー(IPB)のコラソン・ファブロス共同会長は核兵器禁止条約の普遍性を強調し、新たな共通の安全保障のために連帯を呼びかけました。


核廃絶へ壮大な運動を 被爆80年・原水爆禁止2025年世界大会
国際会議宣言採択・特別集会
                       しんぶん赤旗 2025年8月5日
 広島市で開催している被爆80年・原水爆禁止2025年世界大会は4日、国際会議の閉会総会、特別集会「被爆体験の継承と未来―被爆80年広島のつどい」を開きました。国際会議では「核戦争阻止と核兵器廃絶を求める壮大な行動を展開しよう」と世界に呼びかける国際会議宣言を採択。続く「広島のつどい」では、広島の被爆者らが証言し、青年らが運動を引き継ぐ決意を語りました。

 国際会議宣言は、再び核使用の危険に直面している今、「核抑止」論の克服が重要だと述べ、「核抑止」政策の放棄を核保有国と同盟国に強く要求。被爆者を先頭とする市民社会と諸国政府との共同こそが世界の本流だと強調し、核兵器禁止条約支持への世論を広げ、参加国を拡大することが急務だとしています。
 ヒロシマ・ナガサキの被爆の体験と実相を受け継ぎ、広げることを運動の中心にすえて、核兵器廃絶を共通課題とする行動を世界各地で多様に繰り広げようと訴えています。
 「広島のつどい」には2000人が参加し、全国で600人が視聴しました。
 あの時、広島で何が起きたのかを、被爆者の証言と映像で迫るプログラムで、矢野美耶古さん(94)、本谷量治さん(97)、韓国の朴貞順(パク・ジョンスン)さん(90)が今も鮮明な体験を証言。4歳のとき「黒い雨」で被爆した高東征二さん(84)、母親のおなかの中で8カ月のとき被爆した胎内被爆者の三村正弘さん(79)が体験などを語りました。
 スペイン・核軍縮同盟のマリベル・エルナンデス・サンチェスさんや高校生らが「世界から核兵器がなくなるまで一緒にがんばりましょう」と表明。広島被爆者団体連絡会議の田中聰司事務局長が「核を持つ国のリーダー、被爆国政府を動かそう」と訴えました。


広島きょう被爆80年 「核抑止力」論打破し禁止条約普遍化を
世界大会 各国政府・議員・市民が連帯
                        しんぶん赤旗 2025年8月6日
 被爆80年・原水爆禁止2025年世界大会は5日、二つのフォーラムをはじめ、「核兵器禁止条約に参加する日本を―非核日本キャンペーン」など12の分科会を広島市内で開きました。核保有国による核使用の緊張が高まるもと、各国政府、議員、市民社会が連帯して大軍拡を阻止し、核兵器廃絶に向けて共同を広げる決意を語り合いました。全労連は初の国際会議を開催し、各国労組と交流しました。

フォーラム 志位議長が発言
 フォーラムⅠ「政府代表と市民運動の交流」、フォーラムⅡ「議員と市民の国際連帯」では、各国政府・議員、市民社会が連帯して「核抑止力」論を打破し、核兵器の禁止・廃絶と平和構築に向けた連帯を広げることを確認しました
 フォーラムⅡで、英国のジェレミー・コービン前労働党党首・核軍縮運動(CND)副会長は、世界で巨額が核兵器に費やされ、巨額が軍事産業に流れていると批判。広島、長崎、核被害者らに耳を傾け、持続可能な平和の実現に向け核兵器をなくすことは私たちの責任だと述べました。

 ベルギー労働党のマルク・ボテンガ欧州議会議員は、トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)に求める軍事費の国内総生産(GDP)比5%では社会は破壊されるとして、各国で軍事化に反対しなければならないと語りました。
 ドイツ左翼党のマルティン・シルデワン欧州議会左翼会派共同議長は、ドイツ人の3人に2人が核兵器禁止条約に加盟を望んでいるが、政府は無視していると告発。「広島・長崎は過去の悲劇だけでなく、現在と未来への警告だ」と語りました。
 米国・平和のための退役軍人会のアン・ライト氏は、米下院議員2人が米国が、核兵器の削減と廃絶に向けた世界へ主導するよう求める決議を提出したことを紹介しました。
 日本共産党の志位和夫議長は、世界が「戦争か、平和か」の岐路に立つもとで、各国に共通する四つの死活的な課題についての国際連帯を訴えたいとして、(1)核兵器廃絶、とくに核兵器禁止条約の推進(2)国連憲章にもとづく平和秩序の構築(3)大軍拡反対、外交による平和創造のたたかい(4)極右・排外主義とのたたかい―を提起。この中で核廃絶について、核軍拡競争が起きる一方、核兵器禁止条約が広がっていると指摘。各国で「核抑止力」論を打ち破り、禁止条約に参加する流れをつくりだそうと呼びかけました。
 フォーラムⅡは、参加者からの自由な質問に、各国代表が答える質疑が活発に行われ、あたたかい国際連帯の空気に包まれたものとなりました。志位議長の発言

 フォーラムⅠで、オーストリアのトーマス・ハイノッチ元大使は、安全保障で問われるのは国家ではなく「人間の安全保障だ」と指摘。エジプトのモハメド・エゼルディン・アブデルモネイム元外務次官は、核不拡散条約(NPT)は過渡的なものであり、禁止条約の全面実施につなげないといけないと述べ、キューバのヒセラ・ガルシア駐日大使は、禁止条約の普遍化への努力を継続的に支持すると語りました。

 米国の平和・軍縮・共通安全保障キャンペーンのジョゼフ・ガーソン議長は、来年のNPTと禁止条約の各再検討会議にむけた大きな行動を呼びかけ、原水爆禁止日本協議会の土田弥生事務局次長は、来年のNPT再検討会議でニューヨーク国際共同行動の開催を提起しました。