イスラエルのネタニヤフ首相は7月27日、「ガザに飢餓は存在しない」と発言しました。同国のキシュ教育相はSNS上で、「ガザ住民を飢えさせる政策は存在しない。イスラエル国防軍は世界で最も道徳的な軍」と強弁しました。
イスラエル紙ハーレツは同日、「飢餓の否定はホロコーストの否定と同じくらい卑劣」とする著名ジャーナリストのギデオン・レビ氏の寄稿を掲載しました。
その中でレビ氏は、「母親の腕の中で飢えて死ぬ子どもに、これは意図的な飢餓ではないと言い放つのは、苦しむ者を侮辱する行為」であり、「倫理の崩壊」だと非難しました。
ネタニヤフらはよくそこまで鉄面皮にふる舞えるものです。
ガザ地区で深刻な飢餓をもたらしているイスラエル政府に抗議するため、イスラエルの10以上のさまざまな分野の市民団体が7月31日夜、テルアビブで共同の集会とデモを開催し、1万5千人以上が参加しました。
参加者たちは「もうたくさんだ」「戦争をやめよ」と書かれたプラカードや、「飢餓に苦しむガザの子どもたち」の写真を掲げ、ガザ侵攻の即時中止と人質の解放、そして極右政権の退陣を求めて商都の中心街を行進しました。
しんぶん赤旗の6つの記事を紹介します。
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イスラエル首相 ガザの飢餓否定 「倫理崩壊」非難拡大
しんぶん赤旗 2025年8月3日
【カイロ=米沢博史】イスラエルのネタニヤフ首相が放った「ガザに飢餓は存在しない」との発言(7月27日)に対し、同国内で強い反発が広がっています。
イスラエル紙ハーレツは同日、「飢餓の否定はホロコースト(ナチスによるユダヤ人の大量虐殺)の否定と同じくらい卑劣」とする著名ジャーナリストのギデオン・レビ氏の寄稿を掲載しました。
レビ氏は、ガザの飢餓否定は、ホロコーストを無かったと否定する言説と同じ論理構造であると指摘。「母親の腕の中で飢えて死ぬ子どもに、これは意図的な飢餓ではないと言い放つのは、苦しむ者を侮辱する行為」であり、「倫理の崩壊」だと非難しました。
翌7月28日にはイスラエルの主要5大学(ヘブライ大学、テルアビブ大学、ワイツマン科学研究所、イスラエルエ科大学、オープン大学)の学長が署名した公開書簡が発表されました。
学長らは「ホロコーストの犠牲者であったユダヤ人として、罪のない市民や子どもに対する残酷かつ無差別な加害を防ぐ特別な責任がある」と訴えました。
さらに、ガザの破壊や住民追放を扇動する政治家の発言について、「戦争犯罪であり人道に対する罪に該当する」との法律家の見解を紹介。政権が南部ラファに建設予定とする「人道都市」についても、「自制と人間性の喪失を示しており、イスラエルに回復不能な損害を与える」と批判しています。
これに対しキシュ教育相はSNS上で、「大学学長らは(イスラム組織)ハマスのプロパガンダに加担している」との決まり文句で非難。「ガザ住民を飢えさせる政策は存在しない。イスラエル国防軍は世界で最も道徳的な軍」などと強弁しました。
イスラエル市民 ガザ飢餓で政府に抗議 「もうたくさんだ」
しんぶん赤旗 2025年8月3日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区で深刻な「飢餓をもたらしているイスラエル政府に抗議するため、平和、人権、学術、文化、女性、ラビ(ユダヤ教指導者)など、さまざまな分野のイスラエルの市民団体が7月31日夜、商都テルアビブで共同の集会とデモを開催しました。主催者によると、1万5000人以上が参加しました。
参加者たちは「もうたくさんだ」「戦争をやめよ」と書かれたプラカードや、飢餓に苦しむガザの子どもたちの写真を掲げ、イスラエルによるガザ侵攻の即時中止と人質の解放、そして極右政権の退陣を求めてテルアビブの中心街を行進しました。
主催団体の一つ「スタンディング・トゥゲザー」のルラ・ダヴード共同議長は、集会での演説の中で「ユダヤ人とパレスチナ人がともに声を上げてこそ、この政府の暴走を止めることができる」と訴えました。同団体は、ここ数週間にわたり、各地の商店街や交差点などで宣伝してきました。
今回の集会・デモの主な呼びかけ団体は以下の通りです。▽平和団体「スタンディング・トゥゲザー」▽エルサレム・ヘブライ大学▽イスラエル最大の女性平和団体「女性は平和を訴える(WWP)」▽性差別に反対する芸術家団体「ピンク戦線」▽「人権のための一フビ(RHR)」▽イスラエルとパレスチナの共同遺族会「ペアレンツ・サークル家族会(PCFF)」▽「社会正義のための女性弁護士会」▽遺跡や文化遺産の保全を訴える団体「エメクシヤベ」▽非暴力の抵抗を掲げる団体「イスラエルの方向転換を」▽SNSを通じて活動する左派団体「メハズキム」
すぐには承認しない 独 パレスチナ国家承認巡り
しんぶん赤旗 2025年8月3日
ドイツのワデフル外相は1日、パレスチナ国家承認に関するドイツの立場について説明した前日の発言をトーンダウンさせ、すぐに承認する予定はないと述べました。
外相は7月31日、イスラエルヘ出発する前に、イスラエルの一方的な行動に対してパレスチナ国家の承認で対応する可能性があると示唆していました。
これに対しイスラエルのベングビーール国家治安相は「ホロコーストから80年、ドイツは再びナチズムを支持する」とXで批判しました。
ワデフル外相は31日に、イスラエルの外相、首相、大統領と会談。1日になると、「ドイツはパレスチナ国家をすぐに承認する予定はない、それは2国家解決の一環として取られる最終段階の一つだからだ」と説明しました。(ロイター)
医療物資搬入訴え イスラエルにWHO
しんぶん赤旗 2025年8月3日
【カイロ=時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は7月30日、パレスチナ自治区ガザとイスラエルの境界にあるケレム・シャローム検問所に、隣国エジプトからトラック10台分の医療関連物資が到着したと明らかにしました。その上で、「(ガザに)継続的に医療物資を運び込むことが決定的に重要だ」と述べ、イスラエルに対して物資の搬入拡大を求めました。
イスラエルは3月、ガザヘの支援物資搬入を全面停止。5月にー部再開されたものの、WHOによれば、医療物資は6月下旬まで許可されず、依然として極度に不足しているもようです。
テドロス氏はX(旧ツイツター)で「われわれは医療物資が持続的かつ安全に、妨害されずにガザに届くこと、そして停戦を求める。和平が一番の薬だ」と強調しました。
停戦交渉で方針転換か イスラエルが米と調整
しんぶん赤旗 2025年8月3日
【カイロ=時事】イスラエルメディアは7月31日、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの停戦交渉に関し、米国とイスラエルが従来方針の限定的停戦ではなく、包括的取引を進める方向で調整していると報じました。イスラエル政府高官の話として伝えました。ハマスが拘束する人質全員の解放と引き換えに、戦闘を終了させる内容とみられます。
イスラエルのネタニヤフ首相は31日、米国のウィトコフ中東担当特使とエルサレムで会談。停戦交渉の停滞を受け、今後の方針などについて協議したとみられます。
これまでの停戦案は、60日間の合意期間中にハマスが人質の一部を引き渡し、引き換えにイスラエルが収監するパレスチナ人を釈放。この間に残る人質の解放と恒久停戦に向けた協議を開始するという内容でした。これに対し、包括的取引では人質全員の解放とハマスの武装解除、ガザの非武装化が行われるといいます。
ただ、ハマスはイスラエルによる占領が続く限り、武力闘争はやめない構えで、双方が折り合うのは容易ではありません。ハマスはガザの危機的な人道状況が改善するまで停戦交渉に戻らない意向を仲介国に伝えたとも報じられています。イスラエル当局者は地元メディアに、協議が進まない状況では、「軍事作戦拡大は避けられそうにない」と語りました。
米、パレスチナ高官に制裁 他のG7の国家承認と逆行
しんぶん赤旗 2025年8月3日
【ワシントン=時事」米国務省は7月31日、パレスチナ自治政府高官と自治政府を主導するパレスチナ解放機構(PLO)幹部に制裁を科すと発表しました。主要7力国(G7)内では、パレスチナを国家として承認する意向を示す国が相次いでいますが、米国は逆行する動きを見せました。
制裁対象者は米国への渡航ができなくなります。国務省は制裁理由に関し、中東和平を巡ってパレスチナ側が「約束を履行せず、和平の展望を損なっている」と主張。「国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)を通じてイスラエルとの紛争の国際化を図る行動を続けている」と批判し、「パレスチナ人テロリストとその家族に支払いを行っている」などと指摘しました。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザでは、飢餓による死者が増え続けるなど人道状況が著しく悪化しています。これらを踏まえ、フランス、英国、カナダが9月の国連総会でパレスチナを国家承認する方針を表明し、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を呼び掛けています。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。