2025年8月23日土曜日

参政党の「文化的マルクス主義」と勝共連合の「文化共産主義」が酷似

 参政党神谷代表は今月1日、「戦後80年に際する首相見解の形式及び位置付け」「SNSにおける言論操作及び政府答弁の整合性」など4つの質問主意書を提出しました。質問項目は全部で7つありましたが、うち6項目について 政府は「お尋ねについてお答えすることは困難」と一蹴する〝塩対応″(日刊ゲンダイ)だったということです。
 しんぶん赤旗が神谷氏の質問主意書をコラム記事で取り上げました。
 同紙は質問主意書が、共産主義について「暴力革命や一党独裁」を特徴とする一方で、「文化的マルクス主義」と呼ぶ潮流が「暴力革命ではなく、価値観・言語・教育・文化などを通じて既存の社会構造の変革を目指しているとされている」と問題視しているが、それは勝共連合の主張「共産党の主張が社会や官僚機構に浸透することを警戒し、これを防ぐために思想調査・思想選別や日常的監視体制の強化(スパイ防止法制定など)が必要」と酷似しているとして、「神谷氏は『…されている』ことの根拠を示すべきである」と指摘しています
 併せて日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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参政党の「文化的マルクス主義」と勝共連合の「文化共産主義」が酷似
                       しんぶん赤旗 2025年8月22日
 参政党が質問主意書で事実も示さず取り上げた「文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響」は、統一協会の政治団体「国際勝共連合」が訴える文化共産主義問題」と酷似しています。
 参政党の神谷宗幣代表は1日提出の質問主意書で、共産主義について「暴力革命や一党独裁」を特徴とする一方で、「文化的マルクス主義」と呼ぶ潮流が「暴力革命ではなく、価値観・言語・教育・文化などを通じて既存の社会構造の変革を目指しているとされている」と問題視。個人の尊厳にかかわる問題として世界的な潮流で日本共産党も重視している「ジェンダー平等」などの課題を「共産主義的政策」と決めつけ、これらが家族や教育といった国家の基盤を崩していると述べています。
 一方の勝共連合(1968年設立)はこれまで、同様の主張を繰り返しています。同連合の歩みを振り返った『勝共連合かく闘え』(同連合編)では、「国家権力を敵としてきた革命思想としての共産主義は影を潜めた代わりに、もっと身近で、根源的な『文化解体』としての共産主義思想が、知らず知らずの間に社会に根を深く下ろし、いつのまにか圧倒的な勢力をもつに至っている」と述べ、ジェンダーフリーや性教育、性的少数者の権利運動、同性婚、選択的夫婦別姓などをその現象として挙げています
 両者の特徴は、共産党の主張が社会や官僚機構に浸透することを警戒し、これを防ぐために思想調査・思想選別や日常的監視体制の強化(スパイ防止法制定など)を主張する点です。
 具体的な根拠を示さず展開する神谷氏の質問主意書ですが、「とされている」根拠を示すべきです。


参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり
                          日刊ゲンダイ 2025/08/22
〈共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書〉──。参政党の神谷宗幣代表が今月1~5日の臨時国会に提出した質問主意書のひとつだ。質問7項目のうち6項目について、政府は「お尋ねについてお答えすることは困難」と一蹴。ぶっ飛んだ質問内容と政府答弁の“塩対応”が話題になったが、注目すべきは「文化的マルクス主義」という一般には聞きなじみの薄い言葉だ。

 神谷代表は質問の中で、共産主義の〈思想的共鳴者〉が政府中枢に入り込み、〈教育、福祉、男女共同参画、外国人政策などの分野で、保守的な国家観や公共的価値観を否定するような制度設計を進めているとの見方もある〉と持論を展開。こうした〈文化的マルクス主義〉が米国や日本でも影響を及ぼしているとして、次のように訴えた。
〈我が国においても、ジェンダー平等、ダイバーシティ推進、多文化共生、外国人参政権といった一見穏当な政策用語が用いられつつも、その裏側で、家族、国籍、国語、教育内容、歴史観といった国家の独立性や公共秩序の基盤を成してきた制度や概念が見えない形で崩されてきていると思料する〉
 文化的マルクス主義がDEI(多様性・公平性・包括性)を推進し、伝統的価値観や制度を覆そうとしている──。
 これとソックリな主張を掲げている団体がある。反共産主義の旧統一教会(世界平和統一家庭連合)だ。
 旧統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は「伝統的な家庭を敵視し、個人だけを絶対視する思想」が共産主義から派生したと訴え、それを「文化共産主義」と呼称。ジェンダーフリーや性的少数者の権利擁護などを敵視してきた
 ちなみに、友好団体の「世界平和連合」や「平和大使協議会」が自民党議員に選挙の見返りに求めた推薦確認書にも、「文化共産主義勢力の攻勢を阻止」との文言が盛り込まれている。神谷代表は旧統一教会との蜜月を否定しているが、よほど教団の「思想的共鳴者」に見える。

起源は反ユダヤ陰謀論
 オックスフォード英語辞典によると、文化的マルクス主義は「ユダヤ人知識人が西洋文化の転覆を企てている」という反ユダヤ主義的な信念が起源だという。それゆえ、海外では極右や反ユダヤ主義に結びつく陰謀論とされ、しばしば論争の的になっている
 2011年、ノルウェーで76人が犠牲になった連続テロ事件。犯人は極右思想の持ち主で、犯行声明文では多文化共生を文化的マルクス主義と断じ、批判していた。
 19年には、イギリスの保守党の元閣僚が演説で文化的マルクス主義を引用したところ、非難が続出。この時、労働党議員は「反ユダヤ的な意味を持つ醜悪で不快な言葉」と指弾し、「国会議員はもっと分別を持つべきだ」として謝罪を求めた
 神谷サンに分別を求めるのは酷か。